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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第5章 ティルシ王国編①
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第46話 どっちがボスだかわかったもんじゃない

 3人は森を抜けるために歩いていた。

 オーギはベルクの持っていた荷物の半分ほどを持たされていた。


「重い......なんで動けなくなるまで食べすぎるんだよ!」


「ごめんなオーギ、これからは作る量を減らすから」


 鞄を前に、レナを後ろに背負ったベルクは申し訳なさそうにオーギに言った。


「えー......」


「えー、じゃないよ。このままじゃ太っちゃうぞ」


「そ、そんなぁ......」


 落ち込みレナは顔を埋める。

 ため息をつくベルクは、ふと右斜め前を向く。そこからは声が聞こえてきた。


「なあ、そろそろいいやろ?あの専属の殺し屋もシードから連れてきた言うてたやないかい。そいつでいいやろが」


「無理ですボス」


「俺いつまで我慢すればいいんや?」


「それ以上近づかないでください」


 2人の男女の声に気を取られる3人。そのせいで、左からこちらに向かってくる足音に気づかなかった。


「ブオオオオ!」


 巨大な猪、ワイルドボアだ。


「ま、まずいやんけ!【道化魔法|現実は喜劇よりも嬉なり(ア・プレザント・リアリティ)】」


 前の茂みから男が飛び出して、腕を広げて、ワイルドボアを迎え撃つ。


「やめろ!」


 ベルクの声は男には届かず、男の横腹に風穴が空く。


「まずい!レナ降りてくれ」


 ベルクはレナを降ろして、ワイルドボアを斬りつける。だが、ワイルドボアは力一杯に、ベルクに突撃してくる。


「傷が浅かったか」


 ベルクは横に転がり、ワイルドボアを避ける。


「その牙貰うぞ【火精霊魔法 精霊憑依(ポゼッション・バイ・スピリッツ)】」

 

 イフリートを憑依させたベルクは、ワイルドボアの牙を掴み、思いきり引っこ抜いた。

 ミチミチと音を立てて千切れた牙。ワイルドボアは怯んで逃げてしまった。


「そこのおっちゃんありがとな」


 腹に穴の空いていたはずの男は、いつのまにか腹の傷が塞がっており、元気そうに話しかけてきた。


「え?」


 驚きの表情を見せるベルクと後ろの2人。


「あーごめんな、驚かせて。俺の魔法おもろいやろ?」


「あ、ああ」


「俺は、えーっと、フォルクや。ありがとうな」


 男はそう意気揚々と話し、手を差し出してくる。


「どういたしまして。俺はベルクだ」

 

 ベルクは差し出された手を握った。

 

「ボス大丈夫ですか?」

 

 フォルクの後ろから白髪の女の子が出てきた。


「大丈夫やで。このおっちゃんが助けてくれたんや」


「うちのボスを助けていただいてありがとうございます」


 その女の子は見た目の幼さからは程遠いしっかりとした口調でそう言った。


「おっちゃん、こっちはシアや」


「ベルクさん。突然で申し訳ありませんが、私たち戦える人を探してたんです。頼みたい仕事があるので――」


 シアの声を遮り、フォルクが話し始めた。


「おい!ベルクは誘わんでいいやろ!」


「ちょっと、ボスは黙っててください」


 シアはフォルクを叩いて、話を再開する。


「すみませんね。それで頼みたい仕事があるので、ここに暇な時にでも尋ねてください」


 急にそんなことを言われ、押し付けられるように住所の書かれた紙を渡された。


「それと、ここは危ないですから、早めに帰ったほうがいいですよ」


 シアは最後にそう言って、フォルクと2人でどこかに行ってしまった。


「なんか気持ち悪い奴らだな」


 唐突にオーギがそう言った。


「おいおい、初対面に失礼だぞ」


「あのフォルクとか言う男はともかく、あの女は変な作り笑いしてやがった。ベルクは騙せても、この俺は騙せねえぜ!」


「わかったわかった」


 適当にあしらうベルクに地べたに座っていたレナが手を伸ばす。


「そろそろお尻痛いからおんぶして」


 そうだった。レナ運ばないといけないのか。そうだ、オーギに代わってもらうか。


「すまないけど、レナを代わりに運んでくれ」


 オーギは渋々レナを持ち上げようとする。


「ごめんねオーギ君」


「ふん!ぐぬぬぬ。お、重い」


 失言をしたオーギの顔にレナの拳がめり込む。気絶したオーギを見てベルクが呟く。


「はぁ、2人とも俺が運ぶわけね」


 ベルクは2人と荷物を引きずり、ギルドに行くのも忘れて宿へと帰った。


***


 次の日、ベルクはギルドに行くのを忘れていたことに気づき、2人を起こしてギルドへと向かった。


「ごめんなさい、遅れちゃって」


 昨日送り出してくれた人と同じギルド職員にそう話しかけた。


「お疲れ様です。映像拝見させていただきましたよ」


「あ、魔物素材って買い取ってもらえる?」


「大丈夫ですよ」

 

 ベルクは袋に詰まっていた牙なんかを渡した。


「お金をお渡しできるのは、査定が終わる3日ほど後になります」


「わかった。ありがとう」


「あ、あの!」


 去ろうとするベルクたちに、受付嬢が声をかけた。


「なにか忘れてたか?」


「いえ、そう言うことじゃなくて......。すみません。個人的な質問なんですが、ベルクさんって色んな国の料理に詳しかったりしますか?」


「まあ、世界を回っているからそれなりには」


「その、お願いがあるんです!」


***


「俺はよく料理を教えさせられるな」


 受付嬢は1週間後に料理を教えて欲しいとお願いしてきた。お金を払うとまで言われたので思わず承諾してしまった。


「ベルクのご飯は美味しいもんね」


「褒めてもこれからは作る量減らすからな」


「うぅ......」


***

 

「ほ、本当か!?なら騎士団に連絡するぞ」


 何か騒がしいギルド職員たち。

 ベルクたちが知らぬ間に何か事件が起きていた。


「何があったんだ?」

 

 状況が把握できない1人のギルド職員が騒ぐギルド職員に聞く。


「近くの森で冒険者の遺体が3体見つかったんだよ」


「魔物に襲われたんだろ?いつものことじゃないか」


「違うんだよ。首を絞められた跡があったらしいんだ」


 

 ベルクたちが行っていた森で起きた事件は内々で処理され、ベルクたちの耳に届くことはなかった。

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