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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第4章 シーフ王国編②
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第43話 ドラゴンの串焼き

「ここら辺だな」


 アーシュ、ラニア、ベルク、レナ、オーギの5人はエビニカの森を抜けた先、聳え立つ山々の麓にきていた。アルスは今日予定があり来れなかったらしい。


「そんな簡単に現れるものなのか?」


 そうベルクが言うと、大きな鞄を背負ったアーシュが答える。


「ドラゴンの好物を使って誘き出すんだよ」


 そう言ってアーシュは何かの液体を地面に撒き始めた。


「う、なにこれ臭い!」


 レナが鼻を抑えながら言った。


「これは人間の血だよ。治癒院から買ってきて、少し腐らせたやつ。私たちの狩るレッドドラゴンは腐肉を食うらしくて、この方法が1番誘き出しやすいんだってよ」


 血を撒き終わった後、みんなで近くの茂みに隠れる。

 暖かな陽気で少しウトウトしてきた頃、思ったよりも小さい5メートルほどの赤いドラゴンが血を舐めていた。それを見たベルクが茂みから飛び出そうとするが、アーシュがそれを止める。


「どうしたんだ?早くいかないと」


「いや、見ててくれ」


 小声でそう返すアーシュ。

 言われた通りにしばらく見ていると、ドラゴンが眠ってしまった。そのドラゴンをアーシュが切り裂く。


「え、終わり?」


 ベルクとレナとオーギは少し困惑した。


「あ、言ってなかったっけ。あの血に睡眠薬混ぜたんだよ」


 なんだかあまり達成感のないまま、ドラゴンを解体する。


「じゃあその大きい鞄には何入れてるんだ?」


 解体しながらベルクが聞く。

 

「少しだけここで食べるために色々持ってきたんだ」


 そう言って鞄から野菜や調味料なんかを取り出す。


「ねえねえ、どんな料理にするの?」


「肉と野菜を串で焼くんだよ。きっとレナちゃんも気にいると思う」


 5人は捌いた肉を野菜と一緒に串に刺し、火を起こしてそれを焼く。いい匂いの串焼きは、油が溢れ出て火に当たり、ジュージューと音を立てていた。


 いい感じに焦げ目がついたところで串焼きを一本ずつ取る。


「おいしい!」


 鱗に覆われた硬いドラゴンの皮膚とは裏腹に柔らかい肉。そして、塩だけのシンプルな味付けが肉の味を引き立てる。それに肉汁の量がすごい。


「レナちゃんおいしい?」


「これレナ好き!」


「ははは、苦労した甲斐があったってもんだな」


 ワイワイとみんなが騒ぐところに、3人の男が近づいてきた。


「やはりやはりやはり、司祭様の言う通り。あの男がおそらくあの方から力を得た男」


「そして、私たちの生贄になる」


「我らがあの方に会える時も近いかもですね」


***


「ちょっと飲み過ぎた......うう」


 ベルクはアーシュが持ってきた酒を調子に乗って飲み過ぎていた。


「ベルク大丈夫?もう飲んじゃだめだよ」


 ベルクの背中をさするレナ。


「おいおい、男のくせに情けないぞー!」


 顔を赤くするアーシュの足元にも、酒の空瓶が転がっていた。


「アーシュちゃんもお酒はもうだめ」


 ラニアがアーシュにそう言い聞かせる。


「2人ともだらしないなー」


 オーギはまだ昼なのにフラフラな2人を笑っていた。

 そんな5人の前に3人の男が現れた。1人は小柄で黒い布を顔で覆っていた。1人は大柄で同じように黒い布で顔を覆っている。残りの1人は黒い山羊の被り物をかぶっていた。


「こんにちはこんにちはこんにちは。早速ですが、そこで寝ている男を私たちに渡して頂きたい」


 大柄な男が、いつのまにか寝息をたてているベルクを指差してそう話す。


「なんだお前ら!」


 オーギが剣を抜き、男たちに刃を向ける。


「贄を渡せ。それは地獄の皇帝ルシファー様に会うための糧」


 山羊の被り物をの男が言う。


「抵抗するなら殺すかもしれないです。きっとそうかもしれないです」


 明らかに異常な3人に、ラニアとオーギとレナが恐怖し、危機感を覚える。


「2人とも早く起きて!」


 ラニアがベルクとアーシュを揺さぶる。


「ベルクは渡さない!レナが守る!」


 背中の戦鎚を構えるレナ。


「仕方ない仕方ない仕方ない」


 男たちは似たような黒いロングソードを鞘から抜いた。


「覚悟しろ!【生命創造魔法妄想癖の独創的創造(オリジナル・クリエーション)】」


 オーギは投げナイフを男たちに向かい投げる。


「遅い遅い遅い」


「当たらない」


「下手くそかもです」

 

 男たちは素早い動きでナイフを避ける。


「お前ら被り物してるからよく見えてないんじゃないかー?」


「負け惜しみ負け惜しみ負けっ、グフっ」


 大柄な男の背中に3本のナイフが刺さっていた。


「なにしてる、役立たずが」


 山羊の被り物の男が、大柄の男の背中のナイフを思い切り引き抜いた。流れる血をもろともせず、首をコキコキと鳴らして再び剣を構える。


「な、なんだよこいつら」


「オーギくん落ち着いて」


 レナがオーギの背中を叩き横に並ぶ。


「邪魔する必要あるか?」


 そんな言葉を無視して、レナとオーギが男たちを攻撃する。華麗にそれをかわす男たちは反撃を試みるが、レナとオーギには隙がなく斬撃は当たらない。


「オーギ君普通の攻撃じゃ当たらないよ。だからアレするよ」


「わかったアレだな!」


 レナは戦鎚を大きく振りかぶる。


「それは当たらないかもです」


 明らかに射程外で振りかぶるレナに小柄な男がそう言った。それも気にせず振り下ろした戦鎚にオーギが乗り、男たちに向かって飛び出す。


「喰らえ!」

 

 高速で飛び出したオーギは刀身の平たい部分で、大柄の男の腹を叩く。メリメリという音をたて、男は倒れる。


「はは!俺の勝ちだぜー!」


「このガキめ」


 山羊の被り物の男がオーギの剣を弾いた。


「やば......」


「オーギ君!」


 すぐにオーギを助けようと走るレナは、倒れていた大柄の男に捕まえられた。


「逃がさない逃がさない逃がさない」


「は、離して!」


 その時ベルクとアーシュがラニアに起こされて立ち上がった。


「おい、2人になにしてんだお前ら......」


「私らに喧嘩売ってんのか?」


 怒るベルクとアーシュに、3人の男たちはめんどくさそうな表情を見せた。


「あーめんどくさいな」


「だるいだるいだるい」


「大変かもしれないです」


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