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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第4章 シーフ王国編②
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第41話 知らない2人

 レナは焼ける肉の匂いで目が覚める。キッチンに立つベルクは、昨日よりも元気そうだった。


「ベルクおはよー」


 眠い目を擦り、いつもの挨拶をする。


「おはよう」


 豚のベーコンと目玉焼きが盛られた皿を、ベルクはレナの前に置く。


「朝ごはん食べたら、エビニカの森に行くから準備しておいて」


 洗い物をしながらベルクはそう言った。


「また狩り?」


「それもあるが、お爺さんを助けられるかもしれない」


***


 狩りが終わり、解体した肉をラニアとアーシュに届けた後。4人はお爺さんの家へと向かっていた。


「どこで呪いを治す薬なんか手に入れたんだ?」


 昨日ベルクがベルからもらった小瓶を見ながら、アルスが聞いてくる。


「いろいろあってな」


 木の陰から少し見えてきた家の屋根。

 

「見えてきたぞ」


 オーギが少し足早に家へと向かう。それを追うように3人も歩いていった。



「皆さんどうかされましたか?」


 連日訪れた4人に、お爺さんは不思議そうに尋ねる。


「呪いを解けるかもしれません」


 その言葉を聞いた途端、お爺さんは涙目になりながら4人をすぐに孫のいる部屋へと案内する。


「これを飲ませてください」


 ベルクは小瓶をお爺さんに手渡した。そしてそれを飲ませる。

 少女の顔色がみるみるよくなり、お爺さんが少女の服を捲ると、腹のアザは消えていた。


「ありがとうございます。なんとお礼を言ったら良いか......」


 お爺さんは涙をこぼす。


「私にできることであればなんでも言ってください」


 そう言うお爺さんに、ベルクはひとつ願いを言う。


「料理が美味しかった国を教えてもらえませんか?」


「そうですね。ティルシ王国なんかどうですかね?」


「どんな国なんですか?」


「世界の7割ほどの魔道具を作っている魔道具師の国ですよ。見たことのないような物が沢山で、料理用の物もありますよ」


 次に行く国が決まったベルクは、ティルシ王国の料理を想像しながらニヤニヤする。


「レナは魔法使えるようになりたい!」


「魔法ですか。生憎専門外で......。何かいい物がないか探してきます」


 お爺さんは自分で作ったであろう、薬の並ぶ棚を探す。

 しばらくして、お爺さんはひとつの瓶を持ってきた。


「これが1番近いと思いますよ。でも使うのはお勧めしません」


 お爺さんはそれを机の上に置く。


「これは?」


 アルスが気になり尋ねると、お爺さんは説明を始めた。


「それは細胞分裂の速度を遅らせる薬を作ろうとした時の失敗作でして、真逆の効果が......あ!ちょっと!」


 お爺さんはの視線が向く方向で、オーギとレナが薬を飲み干していた。

 

「2人とも大丈夫か!?」


 ベルクが焦りレナとオーギを心配するが、2人はケロッとした顔をして、特に何も起こらない。


「すいません、これ大丈夫なんですか?」


 心配になり、お爺さんにそう聞く。


「健康面での問題はありません。しかし、徐々に薬の効果がでてきてしまいます。今日はもう帰って安静にさせてください。それで、もし何かあればまた尋ねてきてください」


 丁寧に説明してくれるお爺さんに、呑気にレナが質問する。


「魔法使えるようになる?」


「一般的には成長と共に魔力の扱いが上手くなるので、おそらく使えますよ」


 嬉しそうなオーギとレナを連れて、4人は森を後にした。

 

***


 その夜。

 ベルクは誰かに揺さぶられ起こされる。


「ねえ、なんだか体がおかしいの」


 薄目を開けるとベルクは叫んだ。


「だ、誰だ!」


 赤髪の亜人の女。彼女は、体に似合わぬ小さすぎる服を着ていた。


「誰って......レナだよ!」


「レナはそんな色々と大きくは......あ......」


 お爺さんの言葉を思い出す。

 

『それは細胞分裂の速度を遅らせる薬を作ろうとした時の失敗作でして、真逆の効果が......』

 

 目の前の光景を見たら、その言葉を信じざるを得ない。


「と、とりあえず朝になったら、服買ってくるから毛布にでもくるまってて」


「わかったよ。はぁ、服がきついよー。特に胸のところなんか......」


 不機嫌そうなレナの横のベットで、1人の見知らぬ男が目を覚ます。


「そうだよな、オーギもそうなるよな」


「どうしたの?なんか騒がしいけど......って俺の声おかしくね?」


「2人が説明も聞かずに薬を飲むからだろ?」


「え、2人?あ、ほんとだ。レナでかっ」


 ベルクは見た目が16、7歳ほどになった2人に、再び寝るように言い、服屋が開くのを待った。

 

***


「これで外に出られるだろ」


 ベルクは急いで買ってきた服を2人に手渡した。

 

「なんだかもう朝ごはん作る元気もないぞ」


 疲れ切ったベルクはそんなことを呟き、2人に外に出るよう促した。

 

「朝から外食ってリッチて感じー」


 いつもよりも低い声のオーギが言う。隣に立つオーギはベルクの顔あたりまで背が高くなっていた。もうすぐ抜かれるんじゃないかと不安感を抱き、すぐに前を向く。


「すんごくお腹空いてるからなんでも食べれちゃいそう」


 隣のレナがそう言った。レナはベルクの胸ほどの身長で、ベルクはまだ抜かされなさそうだと安堵する。


「あ、ベルク今失礼なこと思ったでしょ」


「い、いやぁ......あ、あそこなんか美味しそうじゃないか?」


「レナの話そらしたってことは絶対思ってたでしょ!」


 見た目が変わっても賑やかな3人は、楽しく朝を過ごした。


***


「ラニアこれ知ってるか?」


 ベルクたちが朝食を食べる頃、アーシュは一枚の紙をラニアに見ていた。


「なにこれ、怖い」


 紙にはドラゴンの絵が描かれていた。


「この近くに最近こいつが出るらしいんだよ」


「それがどうかしたの?」


「狩りに行こうって思ってるんだ」

 

 その後アーシュはベルクたちに会いに行き、レナとオーギの姿を見て驚いた。

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