第4話 市場に行こう
「よぉ、ベルクすまなかったな、俺が油断したばかりに......」
オスカルの声が聞こえてくる。
「嬢ちゃんが心配してたから構ってやんな。俺はギルドマスターにお前が目覚めたこと伝えてくるわー」
ゆっくりと立ち上がり扉の方へ歩いていく。
足の包帯が痛々しい。
何か下半身の方に温もりを感じる。
布団をめくるとレナが、俺に抱きつきスヤスヤと寝息を立てている。
「心配してくれたんだな、ありがと」
そう言ってレナの頭を撫でる。
「大丈夫か、ベルク」
扉から飛び込んできたヴァレリアが心配そうに話しかけてきた。
「多分大丈夫だ」
痛い頭を持ち上げ、体の動きを確認しながら話す。
「君は半日ほど眠っていたんだ。その間に大体のことは片付いたよ」
「奴は、冒険者狩りはどうなったんだ」
「今取り調べしているところさ。今聞く限り酷い幼少期を過ごしてきたようだよ。唯一の家族の兄が殺されてから事件を起こし始めたらしい。まぁ、罪を犯したのには変わりないが......」
「気の毒だな......」
ギルドの治療棟で簡単な検査を終え、ギルドを後にする。
少し西に傾いた太陽は、昼時を過ぎたことを告げていた。
「お腹空かなかったか?」
手を繋ぎ隣を歩くレナに尋ねる。
「すいたー」
何を食べようか。
悩んだ末、屋台の並ぶこの都で1番大きな市場へ向かう。人と亜人で賑わう市場は、見てるだけでワクワクしてくる。
「嬢ちゃんチーズいらないかい?」
「いる!」
「そこの子豚の丸焼き食べるかい?」
「うん!」
「そこのべっぴんさんこのパン食べて見ないかい?」
「モゴモゴ......くだひゃい」
レナは両手に抱えるように食べ物を持ちながら、無心で食べている。左右に振られる尻尾から、美味しさが伝わってきた。
適当なチーズとワインを買い、しばらく市場を見て歩く。
「ストーンクラブ専用ハサミ?」
一軒の屋台の前で立ち止まる。なんだこれめちゃくちゃ欲しい。これがあれば......いろんな妄想を膨らましニヤニヤする。
「なぁレナ、これどう思う?」
返事が返ってこず、思わず後ろを振り向く。
レナがいない。
冷や汗が噴き出る。
迷子になっただけならまだいいが、人攫いに襲われてたら......嫌な想像が頭をよぎった。
人混みを掻き分け大声でレナの名前を呼び続ける。
ベルクが必死にレナを探している時、レナは両手いっぱいに持った食べ物に夢中だった。
それを食べ終えると、ふと違和感に気づく。
ベルクがいない?
「もーベルクったら迷子になっちゃったんだ。レナがしょうがないから探してあげる」
そう言い、あてもなく歩き出す。
混んでいる市場は、子供が歩くには困難で、歩こうとしてもぶつかられ人の波に流された。
時間が進むごとに少しづつ不安感が増す。
泣きそうになり、道にしゃがみ込み下を向いていると声をかけられる。
「君大丈夫かい?」
顔を上げると、ヴァレリアがこちらを心配そうに見つめる。
「ヴァレリアー!」
勢いよくレナがヴァレリアに抱きつく。
安心感からか少し涙が溢れる。
「レナじゃないか、ベルクはどうしたんだ?君たちにわたし忘れたものがあって来たんだが」
「ベルクがね、迷子になっちゃったの」
「そうか、逸れてしまったのか。おい、オスカル」
「ギルドマスターは人使いが荒いんだよぉ。今日は魔物を倒して、あんまり魔力残ってないんだよなー」
はぁとため息をつきオスカルが魔法を唱え出す。
「影操作魔法【神の影遊び(プレイング・ウィズ・シャドウズ)】」
オスカルが指を複雑に組み合わせ、鳥の形の影を作る。その影は次第に膨らみ、やがて黒い鳥が現れる。
「いけ」
そう呟くと黒い鳥は羽ばたき、空高く飛んでいく。
しばらく滑空した後、50メートルほど先で旋回し始める。
その鳥に近づくと、ベルクの声が聞こえる。
「おーいレナ!レナー!」
「ベルクー!」
「レナ!」
心配していた気持ちを込めるように、思いっきりレナを抱きしめる。
「ところで、その2人はどうしたんだ?」
レナの後ろに立つ、ヴァレリアとオスカルに目をやる。
「わたし忘れたものがあってな」
ヴァレリアがポケットから、ジャラジャラと音がする布袋を取り出す。
「これは?」
「報酬だ。よく働いてくれたからな」
「こんなにもらっていいのか?そんなに役に立てた気がしないが」
かなりずっしりとした重量の布袋を受け取る。
中には金貨が7、8枚......グリフォンに換算すると24匹分......
「そういえば、ギルドマスターなんかがこんなところにいて大丈夫なのか?」
「仕事の合間を見て会いにきたんだ。君のおかげで、冒険者狩りは捕まえられたんだから、こういうのは直接渡したかったんだ」
「ありがたく受け取っておくよ」
「また借りを作ってしまったな。何かあれば私を頼ってくれ。すぐに手を貸そう」
「あぁ、ありがとう」
報酬をポケットにしまい、2人と別れ帰路に着く。
「ベルク、もう迷子にならないでね」
目の下を赤く腫らしたレナが、頬を膨らませてそう言う。
「もうならないよ。ずっとそばにいる」
「よぉ、ベルクお目覚めかい」
オスカルの声が聞こえてくる。
「嬢ちゃんが心配してたから構ってやんな。俺はギルドマスターにお前が目覚めたこと伝えてくるわー」
ゆっくりと立ち上がり扉の方へ歩いていく。
足の包帯が痛々しい。
何か下半身の方に温もりを感じる。
布団をめくるとレナが、俺に抱きつきスヤスヤと寝息を立てている。
「心配してくれたんだな、ありがと」
そう言ってレナの頭を撫でる。
「大丈夫か、ベルク」
扉から飛び込んできたヴァレリアが心配そうに話しかけてきた。
「多分大丈夫だ」
痛い頭を持ち上げ、体の動きを確認しながら話す。
「君は半日ほど眠っていたんだ。その間に大体のことは片付いたよ」
「奴は、冒険者狩りはどうなったんだ」
「今取り調べしているところさ。今聞く限り酷い幼少期を過ごしてきたようだよ。唯一の家族の兄が殺されてから事件を起こし始めたらしい。まぁ、罪を犯したのには変わりないが......」
「気の毒だな......」
ギルドの治療棟で簡単な検査を終え、ギルドを後にする。
少し西に傾いた太陽は、昼時を過ぎたことを告げていた。
「お腹空かなかったか?」
手を繋ぎ隣を歩くレナに尋ねる。
「すいたー」
何を食べようか。
悩んだ末、屋台の並ぶこの都で1番大きな市場へ向かう。人で賑わう市場は、見てるだけでワクワクしてくる。
「嬢ちゃんチーズいらないかい?」
「いる!」
「そこの子豚の丸焼き食べるかい?」
「うん!」
「そこのべっぴんさんこのパン食べて見ないかい?」
「モゴモゴ......くだひゃい」
レナは両手に抱えるように食べ物を持ちながら、無心で食べている。左右に振られる尻尾から、美味しさが伝わってきた。
適当なチーズとワインを買い、しばらく市場を見て歩く。
「ストーンクラブ専用ハサミ?」
一軒の屋台の前で立ち止まる。なんだこれめちゃくちゃ欲しい。これがあれば......いろんな妄想を膨らましニヤニヤする。
「なぁレナ、これどう思う?」
返事が返ってこず、思わず後ろを振り向く。
レナがいない。
冷や汗が噴き出る。
迷子になっただけならまだいいが、人攫いに襲われてたら......嫌な想像が頭をよぎった。
人混みを掻き分け大声でレナの名前を呼び続ける。
ベルクが必死にレナを探している時、レナは両手いっぱいに持った食べ物に夢中だった。
それを食べ終えると、ふと違和感に気づく。
ベルクがいない?
「もーベルクったら迷子になっちゃったんだ。レナがしょうがないから探してあげる」
そう言い、あてもなく歩き出す。
混んでいる市場は、子供が歩くには困難で、歩こうとしてもぶつかられ人の波に流された。
時間が進むごとに少しづつ不安感が増す。
泣きそうになり、道にしゃがみ込み下を向いていると声をかけられる。
「君大丈夫かい?」
顔を上げると、ヴァレリアがこちらを心配そうに見つめる。
「ヴァレリアー!」
勢いよくレナがヴァレリアに抱きつく。
安心感からか少し涙が溢れる。
「レナじゃないか、ベルクはどうしたんだ?君たちにわたし忘れたものがあって来たんだが」
「ベルクがね、迷子になっちゃったの」
「そうか、逸れてしまったのか。おい、オスカル」
「ギルドマスターは人使いが荒いんだよぉ。今日は魔物を倒して、あんまり魔力残ってないんだよなー」
はぁとため息をつきオスカルが魔法を唱え出す。
「【影操作魔法 神の影遊び】」
オスカルが指を複雑に組み合わせ、鳥の形の影を作る。その影は次第に膨らみ、やがて黒い鳥が現れる。
「いけ」
そう呟くと黒い鳥は羽ばたき、空高く飛んでいく。
しばらく滑空した後、50メートルほど先で旋回し始める。
その鳥に近づくと、ベルクの声が聞こえる。
「おーいレナ!レナー!」
「ベルクー!」
「レナ!」
心配していた気持ちを込めるように、思いっきりレナを抱きしめる。
「ところで、その2人はどうしたんだ?」
レナの後ろに立つ、ヴァレリアとオスカルに目をやる。
「わたし忘れたものがあってな」
ヴァレリアがポケットから、ジャラジャラと音がする布袋を取り出す。
「これは?」
「報酬だ。よく働いてくれたからな」
「こんなにもらっていいのか?そんなに役に立てた気がしないが」
かなりずっしりとした重量の布袋を受け取る。
中には金貨が7、8枚......グリフォンに換算すると24匹分......
「そういえば、ギルドマスターなんかがこんなところにいて大丈夫なのか?」
「仕事の合間を見て会いにきたんだ。君のおかげで、冒険者狩りは捕まえられたんだから、こういうのは直接渡したかったんだ」
「ありがたく受け取っておくよ」
「また借りを作ってしまったな。何かあれば私を頼ってくれ。すぐに手を貸そう」
「あぁ、ありがとう」
報酬をポケットにしまい、2人と別れ帰路に着く。
「ベルク、もう迷子にならないでね」
目の下を赤く腫らしたレナが、頬を膨らませてそう言う。
「もうならないよ。ずっとそばにいる」
【魔法解説】
神の影遊び
自分の影から動物を模した影を作る魔法。
動物の大きさの制限は、自分の影の大きさの3倍まで。




