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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第3章 シーフ王国編①
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第33話 王都屈指の犯罪集団

 見覚えのある黒いフードを被る男2人が古ぼけた建物の中で話していた。


「不確定分子は取り除かなければ」


「しかし、あの強さは......」


「ああ、あの騎士団長の盾を貫くあの魔法。それにあの剣さばきに動きの良さ。幹部レベルでトントンだな」


「幹部なんて使ってられませんよ!最近かなりの数検挙されたばかりなのに......」


「ならあいつを使うぞ。1番気色の悪いあの婆さんを」


「あ、あいつをですか......」


***


 ベルクは呑気に街を歩いていた。オーギとレナと一緒に。すると、路地の奥の黒いフードを被る老婆から声をかけられる。


「おやおや、可愛い子だねぇ」


「レナのこと?」


「ああ、とっても可愛いよぉ」


「ありがとー」


 その怪しげな雰囲気に少し嫌な感じがして、すぐにさろうとすると。


「あんた、悪い気が宿ってるねぇ」


 ほら、やっぱり宗教勧誘かなんかだったな。


「へー。そうなのか」


「おや、信じていないんだね?ほら、手を見せてみなさい」


 めんどくさいが、手を見せたら帰らせてくれるかな?


 そう思い、ベルクは手を差し出す。


「おや、生命線が短いねぇ。それなら長くしないと。こんなふうにねぇぇぇぇぇ!」


 老婆がナイフをベルクの手のひらに突き立てた。


「うぐぅぅ。くそ、おいオーギ!レナを連れて逃げろ!」


 ベルクの咄嗟の判断で、オーギはレナを連れて逃げる。


「おやおや、私は手相占いが下手でねぇ。生命線を長くしたのに、あんたの死期は近いようだねぇ」


「婆さん。あんた何者だ?」


 息を荒くしながら、服をちぎって手のひらに巻く。


「わたしゃシードの犯罪者集団。仇なす者のメンバーじゃよ」


「なんだそのガキが考えたようなダサい名前。ははは、笑っちまうな」


「言ってなされ。その余裕、すぐに消えますからねぇ。【虫魔法 湧き上がる嫌悪感(インクリーシング・ディファイルメント)】」


 老婆の周りから黒い虫が湧き上がる。みたこともない甲虫類と思われる虫たちは、老婆の下に集まり、老婆を運ぶ。

 素早く動く老婆は、持っていた仕込み杖の刃の部分を出して、力一杯それを振るってくる。


「ひゃひゃひゃひゃ。私の速さについて来られないだろぉ?」


 だがベルクは強く、老婆の動きに難なくついていく。それどころか、老婆を一方的に攻撃し始めた。

 老婆は守りに転じるしかなく、苦しい時間が続く。


「あんたぁぁぁ!年寄りを敬えんのか?ああん?年上には尊敬の意を示せこのあほんだらぁァァァァァ!【虫魔法 模倣する者(インセクト・ザット・イミテイト)】」


 空中から先ほどの虫と同じ種類だが、虹色の虫が老婆の上に降り注ぐ。

 あっという間に老婆は埋もれ、そこには1メートルほどの高さの虫の山ができた。

 その山は徐々に10等分に分かれ、それぞれが老婆の姿を形作る。

 

「所詮は虫で作った人形。ここは一体を燃やせばいい話。【火精霊魔法 火竜の行進(ドラゴンズマーチ)】」


 ベルクの前に、サラマンダーが2体現れる。


「火を吹けサラマンダー!」


 一斉に燃やされる老婆。

 とうとう残り1人となった老婆は、そんなことには構わずこちらに突進してくる。


「トドメだ」


 老婆の持つ仕掛け杖を弾き、首元に峰打ちを決める。が、老婆の首が崩れる。


「最後の1人も虫だと?」


「おばあちゃんの知恵袋ってやつさ。ケヒャヒャヒャ」

 

 後ろから老婆に抱きつかれる。その力は弱いものの、何百匹もの虫が纏わりつき、縛り付ける。


「それじゃあ死んでもらおうかねぇ。私の大好きな魔法でなぁぁ。【虫魔法 母の温もり(マザーズラブ)】」


 老婆の前に巨大な赤い虫が現れる。先ほどの虫たちと違うのは大きさだけではない。尻の方に針がついているのだ。


「あんたの腹の温もりで、虫たちが孵るのさ。ケヒャヒャヒャ」


 虫の針が腹に徐々に近づいてくる。


「【生命創造魔法妄想癖の独創的創造(オリジナル・クリエーション)】」


「な、なんじゃ!苦しい!」


 黒いフードから細長い手足が生え、顔がつく。

その奇妙なフードは、老婆の顔に巻きついていた。

 

「助けに来たぜ!」

 

「よくやった!」


 駆けつけてくれたオーギのおかげで虫たちの力が緩む。その隙をつき、すぐに拘束から抜け出す。


「形勢逆転だな。今度こそトドメだ」


 ベルクは老婆を殴り、吹き飛ばした。

 老婆は噴水のように鼻血を飛ばし、横たわってピクピクとしか動かなくなった。


「ありがとな、オーギ」


「貸しイチだぞ。ベルク!」

 

***


「やられてしまったか」


「まあいい。作戦に必要な人員は残ってる。あいつはこのまま放っておこう」


「そうだな......」



【魔法解説】


湧き上がる嫌悪感(インクリーシング・ディファイルメント)

周囲に虫を呼び出す魔法。

虫は全長10センチほどで、1度に数百匹の数の虫を呼び出せる。

虫を足の下にひき、虫に運んでもらうこともできる。


模倣する者(インセクト・ザット・イミテイト)

老婆の姿を模倣する虫を呼び出す魔法。

虫は全長2センチほどで、1度に数万匹の数の虫を呼び出せる。


母の温もり(マザーズラブ)

巨大な卵を持つ虫を呼び出す魔法。

虫は全長1メートルほどで、1度に1匹だけ呼び出せる。

この虫は相手の体内に卵を産みつける。その卵は、ものの数分で孵化し、体を食い破って出てくる。


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