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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第3章 シーフ王国編①
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第30話 優勝決定戦

「団長!聞いてください!」


「どうしたホト。珍しく焦って」


「ベルクがコロシアムの殺し合いに参加しているようなんです!おそらく冤罪だと思います」


「な、なんだと!?」


 アルスは地が揺れるほどの足音で、騎士の兵舎に歩いて行く。


「すまないみんな!力を貸してくれないか!私の友達が不正に逮捕されたかもしれない!ベルクと言う男をここ数日で逮捕した者を探したい!」


 ほとんどの騎士たちはすぐに動き出し、街へ歩いていく。


***


「ほんとうか!すぐに行く!」


 アルスは走ってノーム騎士団の事務所へと向かう。


「え!ア、アルス様!?きょ、今日はどういった御用で......?」


 ノーム騎士団の騎士は急に現れたアルスに驚きながらも対応する。


「ノーム騎士団が不正に市民を罰した可能性がある!調べさせてもらえないか?」


「だ、団長に話してきます!」


***


「ついにやってきたァァァァァ!最終決戦だぁぁ!この勝負の勝者が自由を掴むための挑戦を受けられるゥゥゥ!さあ!張り切っていくぞぉぉ!」


 相手は余裕の表情で笑っている。だが、目が笑っていない。その深く暗い目には、殺意が湧き立っていた。


「レディィィィファイッッ!」


 無言の男は素早く動き、間合いを詰めてくる。

武器はまだ抜かないようだった。

 そして男が魔法を唱えた。


「【時間操作魔法 独りぼっちの右手(ザ・ライトハンド・オブ・アローン)】」


「この右手なにか危ない!【火精霊魔法 火竜の行進(ドラゴンズマーチ)】」


 右手と自分の体の間にサラマンダーを召喚する。

 男は火傷に構わずサラマンダーに右手で触れた。すると、サラマンダーが触れられた部位から徐々に硬直して、完全に動かなくなった。しかも、空中で。


「な、なんだこの魔法」


 未だ笑うばかりで一言も話さない男は右手を振り回す。隙のないその動きに、ベルクは逃げるばかりで、観客のブーイングが飛んでくる。


「な、まずい!」


 指先がすこし男の右手にかする。

 そこで、サラマンダーの硬直の仕方を思い出した。


 触られた部位から広がるように徐々に硬直していた。ま、まさか!?


 なにを思ったのかベルクは刀で触れられた右手の指をぶった斬る。


「うぐぁぁぁぁ」

 

「ふむ、君やるな。初めてだよ。僕に触れられて生き残ったのは」


 考えろ、考えろ、考えろ、考えろ!


 ベルクは反撃方法を考える。だが、無慈悲にもそんな都合よく思いつくことはない。

 ジリジリと追い詰められ、少しずつ体力がなくなっていく。


「待て!そこまでだ!」


 観客席から1人叫ぶアルス。

 アルスは観客席から飛び上がり、ベルクと男の間へ入る。

 

「この試合、一旦中止だ!このベルクは誤認逮捕されたんだ、解放してやってくれ!」


 そう言われた途端、コロシアムの職員たちがベルクを出口へ誘導する。


「あなた、なに?邪魔」


「なんだ?私に喧嘩売るってのか?」


「うん、そうだね。そういうことになるかな」


 そう言い男は飛びかかる。


「【水精霊魔法 水精霊の涙(ティアーズ・オブ・ウンディーネ)】」


 直径50メートルほどだろうか。

 考えられないほど大きな水が、男を包み込んだ。


「ウンディーネ騎士団を舐めるなよ」


***


 コロシアムから出ると、御者がレナとオーギを連れて待ってくれていた。


「ベルクぅ、寂しかったよぅ」


 半泣きのレナが抱きついてくる。


「その、俺のせいで......ごめんなさい」


 珍しく素直なオーギ。


「オーギのせいじゃないよ」


「また、会えたようでよかったな」


 御者が笑顔でそう言ってくれる。


「御者さんもありがとう」


 そんなふうに話をしていると、獣人の大男が歩いてきた。茶色い毛並みのその男は、尻尾と頭を下げてこう言った。


「ほ、ほんとうに申し訳ない!私の騎士団の騎士が、君を不当に逮捕してしまった。ほんとうにほんとうにすまない!」


「あなたは?」


「ノーム騎士団団長ボイドだ」


「そうか。流石に今回のことは許せない。俺以外にも被害者がいると思う。その人たちがあまりにも可哀想だ」


「すぐに調査して、その人たちも解放する!ほんとうにすまない」


「治療費を払ってくれればもういいよ」


「ありがとう、すまなかった」


 治療代をもらい、ずっと謝り続けるボイドに別れを告げた。


***


 治療院に行ったあと、3人で飲食店へと入る。

 

「スパゲッティでも食べようかな」


 すぐに注文し、フォークをつかむ。

 失った薬指と小指は、食事にかなり貢献していたようで、上手く食べることができない。


「ベルク大丈夫?レナが食べさせてあげるよ」


 レナがベルクにスパゲッティを食べさせる光景をオーギは悲しそうな目で見つめる。


「おじさん、ごめん......」


「オーギは悪くないって言ってるだろ?こんなことになるなんて誰も予想つかないし、悪いのはあの騎士たちだよ」


「そっか、そうなのかな......」


「ほら、元気出せよ。俺は元気なオーギが好きだぞ」


「うん」


 少し静かなオーギは元気を取り戻すまでにそこまで時間は掛からなかった。

 3人は翌日から王都を楽しみ始めた。



【魔法解説】


独りぼっちの右手(ザ・ライトハンド・オブ・アローン)

右手で触れたものの時間を停止させる魔法。

右手で触れた部位に接している部分に徐々に魔法が広がっていく。

魔法を解除するまで一生時間が止まり続ける。


水精霊の涙(ティアーズ・オブ・ウンディーネ)

直径50メートルの水の球を出現させる魔法。

目視できる範囲ならどこにでも出せる。

出現した水は形を崩すことなくその場にとどまり続ける。


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