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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第2章 ハイドニア帝国編②
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第20話 数奇な運命

 ラニアと約束通り、魔物を一緒に倒すこととなった。そのための準備をベルクはしていた。


「まずは、武器と魔法の確認だな」


「僕の武器はこれです」


 ラニアは腰から少し湾曲している短剣を取り出す。

 

 ベルクとラニアとレナは、ギルドで何やら話していた。


「これかっこいい!」


 はしゃぐレナを横目に短剣を見つめる。

 

「刃こぼれもなさそうだし......うん、大丈夫そうだな」


「それで、えっと、魔法なんですが......」


「もしかしてここじゃ危ない?外に行く?」


「いえ、まだ一つしか使えない上に使う場面がないので......」


「一応見せてもらってもいいか?」


「わかりました【風魔法 風精霊の羽風(シルフィ・ウィンド)】」


 少し強い風が吹き、前髪が浮く。


「きついこと言うけど、冒険者には向いてないと思う。それでも冒険者になりたいって言うなら戦い方を考えるけどね」


「僕はやらなきゃいけないんです......」


「わかったよ。何かやり方を考える」


 少し悩んだ後、ベルクは市場に行って唐辛子と油を買い、レナを宿へ送り届けて2人で小規模のオークの巣の駆除を受けた。


***


 「今回のクエストはオークの巣の駆除なんだが、中には二体のオークがいるらしい。だから一体ずつ仕留めよう」


 そう言いベルクは巣である洞窟へ駆け出す。

 中は薄暗く獣臭がひどい。

 

 しばらく歩くと唸り声が聞こえてきた。


「ベルクさん!」

 

「落ち着いて」


 そう言い岩の影から声の聞こえる方を見る。


「二体いる。さっき言ったとおり最初に俺が1人倒すから、もう1人をお願い」


 ベルクは足を静かに動かし、息を殺す。

 オークの後ろにまわったところで刀を一直線に振り抜いた。


「うぐぉぉぉ」


 悲鳴に似た雄叫びをあげ跪くオークの首を切り裂いた。


「ラニア!」


 緊張でうまく動かない足を無理やり動かし、オークの前へと立つ。

 

「いきます!【風魔法 風精霊のは風(シルフィ・ウィンド)】」

 

 ポケットから瓶を取り出し中身を撒いて風にのせる。

 もう一体の顔近くに風が舞うと同時にオークがうめき膝をつく。

 

「いまだ!」


 ベルクのその声を合図にラニアがオークに近づき首を切った。


「はぁはぁ、つ、疲れたぁ」


「お疲れ。特性唐辛子催涙剤が効いてよかったよ。俺が解体やっとくから休んでおいて」


 ラニアの肩をポンと叩いて、解体を始めた。


 もう辞めたい。冒険者なんてほんとうはやりたくないのに......。本当に疲れた。


「解体終わったぞ。ん?どうかしたか?」


「あ、ありがとうございます!」


 疲れた顔のラニアの視線がベルクの右手に集中する。


「えっと......そのお肉って......」


「オークのだ」


「えぇ......もしかして食べるんですか?」


「ああ」


「だ、大丈夫なんですか!?」


「見た目から食用にされないことが多いけど、クセもなくて普通の豚肉よりもジューシーで美味しいんだ」


「それならちょっと気になるかも」


「今日もお昼食べていく?」


「はい!」


***  


「2日分の食費くらいにはなったかな?」

 

 じゃらじゃらと報酬の入った箱を鳴らしながらベルクは言う。


「初めてこんなにもらいました。なんかすごい達成感」

 

 2人がそう会話を交わしていると、前から赤髪の女がこちらに向かって歩いてきた。


「ベルクじゃんか!」


 背中をバンバンと筋肉質な腕で叩いてくるアーシュは、隣に佇むラニアに目を向ける。


「こんにちは、えーっと......」


「僕ラニアです。はじめまして」


「はじめまして!」


「そういえば仕事見つかったか?」


「全然だよ」


「そうか。そうだ、また料理作っていくか?」

 

「ラニアは私がいていいのか?」


「いいですよ!人数多い方が楽しいですし」


 ワイワイと会話が弾む3人を建物の陰から見張る者がいた。


「やっぱり僕に黙って......ラニア、僕許さないから......」


***


「レナちゃんこんにちは」


「久しぶりだな、レナ」


「ラニアお姉ちゃんにアーシュお姉ちゃん!」


 抱きつくレナを横目にオークの肉を捌く。

 

「この前余ってたトマトを使って作ろうかな」


 そう呟いた時、扉を叩く音が聞こえた。


「昼時に誰だろ」


 扉を開けるとラニアが立っていた。いや、正確にはラニアにそっくりな女だ。


「ねぇ、ラニアいるんでしょ?」


「え?いますが......。呼んできましょうか?」

 

 後ろを振り返りラニアを呼ぶ。


「ラニア、白髪の女の人がラニアのこと呼んでるぞ」


 そう言った途端らにあの顔が引きつった。

 震える足を無理やり運び、女へと近づく。


「お、お兄ちゃん、どうしてここに......」


「ラニア!なんでなんでなんでなんで!誰よこの人たち!僕を何度裏切るの!」

 

「ひっ、ご、ごごごめんなさい」


 明らかにおかしいラニアの反応を見て、彼女の肩をつかみ女のほうへ行こうとするのを止める。


「僕のラニアに触るな!」


 女はそう叫びベルクの腕にナイフを突き立てた。

 痛みと女の顔に焦り、すぐにラニアを抱き寄せる。


「なんだあんた!頭おかしいぞ!」


「なによなによなによ。私がおかしいだなんて言って。もう許さないから......」


 そう吐き捨て女は行ってしまった。


「大丈夫か?」


 涙でぐちょぐちょのラニアにそう言った。


「ごめんなさい。私のせいで......」

 

「いや、ラニアのせいじゃないよ」


***


 ラニアの涙がおさまってきた頃。


「もう大丈夫?」


「はい......」


「大丈夫かよ、ラニア」


「それで、ラニアのお兄ちゃん?はいつもあんな感じなのか?」


「昔は、もう少し優しかったです」


「何かあったのか?」


「そ、それは......」


 ばつの悪そうな顔をするラニア。


「言ってくれないと助けることもできないんだ。頼む」


「わかりました」


 そう言い少しの沈黙の後、ラニアは話し始めた。


「始まりは、僕たち姉妹が親を失った頃......」



【魔法解説】


風精霊の羽風(シルフィ・ウィンド)

髪を揺らすほどのそよ風を操る魔法。

風が弱い代わりに、僅かな魔力で精密な操作が可能。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

これで20話目になりました。ここまで長く続いた趣味は初めてです。これも、読んでくださる皆様のおかげです。よければ、評価、ブックマーク、感想をお願いします。

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