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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第1章 ハイドニア帝国編①
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第15話 禁術 悪魔召喚

 カルロスは魔法陣の真ん中に、先ほどヴァレリアの魔力を吸収した黒い短剣を突き立てた。

 そして、両腕を広げて上を向く。


「猫人族の心臓6つを捧げます 【召喚魔法 堕天使との契り(コントラクト)】」

 

 供物皿がカタカタと揺れだし、布袋から大量の蝿が湧き出す。それは、魔法陣の中心で集まり、1メートルほどの塊となった時、カルロスの隣にいた悪魔が騒ぎ出した。


「カルロス様、これまずい、今すぐやめろ!」


「何を慌てるのですか?私の召喚魔法で召喚した悪魔は私に服従します。あなたがいい例じゃないですか」


「だ、だめなんだ、このお方だけは呼び出してはだめなんだよぉぉぉ」


 悪魔はガタガタと小刻みに震えて、頭を抱えながらうずくまってしまう。


「6人の人間を使って呼び出したのに、あなた情けないですねぇ」


 カルロスは、はぁ、とため息をつき、儀式に集中する。

 みるみるうちに蝿たちが、人の形を作っていく。


「素晴らしい、この禍々しいオーラ!これで私は世界を手に入れられる!」


 魔法陣の真ん中の蝿が四方八方に飛び去り、緑髪の青年が現れた。

 その青年の目は冷たく、見つめたものを怯えさせるには十分な迫力だった。


「素晴らしい!素晴らしいですよぉ!さぁ私と共にこの世界を汚して汚して汚して、全てを血に染めましょう!」


「あ?僕に何しろだって?」


 青年は鋭く冷たい目でカルロスを睨みつける。殺気を纏うその目は、場の空気を凍らせる。


「わ、私に服従しなさい!私に召喚された悪魔なのにその態度はなんですか?」


「全てを血に染めるだ?他人の力借りないと何もできない劣等種が何言ってんの?」


「ふー、ふー、いいでしょう、それならそこの女と、先ほど閉じ込めた6人の人間も捧げますから!」


「いくらゴミを貰ったところで何もしないよ、僕」


「もういい!あなたはもういりません!」 


「イラっときたわ、じゃあね」


「あなたなんなんで......ゴボッゴボッ」


 カルロスが蛆虫の混じる血を吐き出し、もがき苦しむ。


「な、なにをしたぁぁぁぁ」


 叫ぶカルロスの声は徐々に弱まり、やがて動かなくなった。


「あ、あなたは、私たち人間を滅ぼすのか?」


 恐る恐るヴァレリアが口を開いた。


「いや、そんなことはしないよ。確かに君たち劣等種は愚かだ。だけど僕は君たちの文化は素晴らしいと思う。特に食文化!無理やり召喚されちゃってしばらく帰れないし、人間のふりして暮らそうと思ってるんだ」


「そ、そうか、それならよかった」


「あー、でも僕悪魔だってこと隠したいんだよねー。だから死んでくれない?人ってすぐ死ぬし、今死ぬかちょっと後に死ぬかの違いだからいいよね?」 


 ヴァレリアの全身から冷や汗が吹き出始める。


「ひぃぃぃ」


 うずくまっていた悪魔が叫び声をあげて、逃げ出した。

 それを青年は逃さない。首を掴みそのままへし折ってしまった。すると悪魔はみるみるうちに溶け出し、青年の足元には黒い水たまりができた。

 青年が水たまりを踏みながらこちらに歩み出す。


「じゃあね」


「私はもう死ぬのか......最後に甘いものが食べたかった。ああ、ベルクのおはぎ美味しかったなぁ」


 ヴァレリアにのびた手がピタッと止まる。


「ふむ、やっぱり君は生かしておくよ」


***


 ペチン。

 ベルクの顔に衝撃が走った。

 それに驚き目を開けると、口元にレナの手が置かれていた。

 その手を優しくどかし、体を起こす。


「おはようベルク、いいニュースがあるんだ。カルロスが死んだ」


「ほ、ほんとか!?」


「ああ、報告したから俺は家に帰るよ」


「オスカルありがとな」


「俺はなんにもしてねぇよ」


 そう言い残しオスカルは部屋から出ていった。


 外は晴れ、心地の良い陽気が眠気を誘う。


「外に出るか」


 眠気を覚まそうとベルクは外に出た。

 爽やかに吹いていた朝風が少し強くなる。すると、何かが風に乗ってとび、ベルクの顔に張り付いた。


「うっ、なんだこれ?」


 張り付く物を剥がすと、それが何なのか明らかになる。


「『15人目の被害者発見、ヘッドチーフの犯行か?』 うわ、物騒だな」


 いつのまにか太陽は雲が覆い、灰色の空は今にも涙を落としそうだった。


***


「フフフ、なんで美しいんだろう」


 白髪の少女は、ツンとする臭いが漂う部屋で、棚に綺麗に陳列された瓶を撫でていた。


「君もそう思うだろう?」


 少女の声に答えるものはいない。それを気にせず少女は話し続ける。


「君もすぐに仲間にしてあげるよ。君は完璧な形になるんだ。ずっとずっとずっと美しいまま僕に愛され続けるんだよ」

 

 そう言って歩き出した足音は、部屋の中央のテーブルへと向かっていた。

 テーブルには何かの液体が入った瓶と、目が虚な男があった。首から下のない......。


「【液体生成魔法 永遠に君を想う(エターナル・ラブ)】」


 少女の手のひらから細い針が飛び出る。

 それを男に突き刺した。


「僕の愛を受け取って。これで君は腐ることはない。永遠に僕と一緒だね」


 その後、瓶に詰められた男は、棚に並べられた瓶のひとつとなる。

 

「可愛いね」


 瓶にうつった少女の顔は真っ白の歯を剥き出して笑っていた。



【魔法解説】


堕天使との契り(コントラクト)

心臓を捧げることにより、悪魔に実体をもたせ、召喚する魔法。

捧げる心臓の種類や数によって召喚される悪魔は異なる。

また、魔法陣を媒体として召喚することで、より強い悪魔を召喚できる。


永遠に君を想う(エターナル・ラブ)

手のひらから針を出し、そこから生物の腐敗を防ぐ液体を出す魔法。


これで第1章終了となります。。

もし面白いと思っていただけましたら、評価、ブックマーク、感想をお願いします。

2章からは9月ごろから投稿を再開いたします。

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