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【完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。  作者: 138ネコ
本編

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26/49

26.平凡令嬢、軍を味方につける。

-パオラ視点-



 ついに、ここまで来ました。

 王都までは、もう目と鼻の先です。

 ここまで来るのは、決して楽な道ではありませんでした。

 数が多いとはいえ、戦い慣れていない民衆です。道中で傷つき、倒れる者も少なくはありませんでした。


 苦難を乗り越え、やっとここまで来たというのに、目と鼻の先にある王都が今は少し遠く感じます。

 目の前には王都への侵入を妨げるように、王国軍が展開しています。


 数で言えば私達の方が上でしょう。ですが、実際に戦えるのは10分の1にも満たしません……。

 純粋な戦力で言えば、良くて互角。実際は、あちらの方が上でしょう。


「これは……王国軍を全軍率いているのか!? でも、そんな事をすれば」


「今まで来た村々が、傭兵崩れの連中に任されていた理由は、このためだったのでしょうね」


 独り言のように横で驚くリカルド様に、私は話しかけました。

 リカルド様が驚くのも無理はありません。王宮の防衛のために全ての軍を集中させれば、他の町や村の警備が疎かになります。

 自分たちさえ良ければそれで良い。そう言わんばかりの行動に、もはや呆れを通り超えます。

 全く。これでは私達の進行を防げたとしても、国として立ち行かなくなるでしょう。


 ……ですが、こちらとしてはそれが手痛い一手であるのも事実。

 ここに来て撤退をすれば、士気に著しい影響が出るでしょう。


 そうなれば、不信感を持たれ、群衆はバラバラになり、その怒りは私達へ向けられます。

 結果内輪揉めになり、最後は何も残らない。


「これでは双方の破滅しかない」


 ギリっと奥歯をかみしめるように、リカルド様が言います。

 どうすれば、そんな風に迷っている時間はありません。 

 そもそも、相手は騎馬兵、機動力の差を考えれば撤退すら難しいでしょう。


「リカルド様。お覚悟を決めてください!」


「……そうだね。元より険しき道。今更引き返す事なんて出来る訳が無い!」


 そう言って笑いかけるリカルド様の顔に、余裕はありません。

 他の方々も青い顔をしながらも、それでも自分を奮い立たせるように武器を掲げています。


 出撃のタイミングを計っていると、一騎の兵がこちらへ向かってきました。

 こちらへ降伏勧告をする為でしょうか? 


「私の名はアンソン。息子のロウルズに話がある!」


 以前ウェンディ様のお屋敷でお会いした、王国騎士団団長のアンソン様です。

 彼が単騎でこちらへ来たことにより、周りに緊張が走りました。


「王国騎士団団長様が1人で来るとは、良い度胸じゃねぇか!」


 ゴードン様が武器を手にすると、周りの者も殺気立ちました。


「待て!」


 マルク様が彼らを制止するように前に立ちます。


「なんでだよッ! 今なら指揮官を殺れる絶好のチャンスだぞ!?」


「ロウルズ。どうするか君が決めるんだ」


 マルク様の言葉に、悪態をつきつつもゴードン様は素直に従い、殺気立った周りの者を(なだ)めています。


「分かった。父さん、僕に話と言うのは?」


「ロウルズ。軍に戻ってこい」


 アンソン様の問いに、ロウルズ様は首を横に振ります。


「それは出来ません」


「何故だ?」


「僕は彼らと行動し、色々な物を見てきました。ジュリアン様やカチュア様の嘘の為に滅ぼされた村を、虐げられた人々を」


「その結果が反乱か?」


「はい。たとえ何を言われようと、僕は僕の名にかけて、この正義(LAW)を貫きます!」


 しっかりと、自らの意見を述べ、父を相手に睨むように見据えるロウルズ様。

 私達は2人を黙って見守りました。

 

「良いだろう」


 アンソン様はくるりと身を翻しました。


「師団長ロウルズ(・・・・)様の命により、我ら王国騎士団、及び近衛騎士団、魔法騎士団はこれより王宮へ進軍する!」


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 え?

 ロウルズ様が師団長?

 どういう事か確かめるようにロウルズ様に振り向くと、ロウルズ様も驚き目を見開いています。

 首をブンブンと横に振り「僕もわからない」とアピールしています。


「全軍反転!」


 驚く私達を気にもかけない様子で、アンソン様は大声で兵士たちに指示を出していきます。


「ウーフ、ボウゼンは元より、全軍が納得しての事です。さぁロウルズ様、指示を」


「いや、父さん。ロウルズ様って……」


「ロウルズ様。今は(いくさ)の最中です。公私をお分けください」


 最初にロウルズ様に父と言ってきたのは貴方じゃないですか。と突っ込むのは野暮ですね。

 いまだに戸惑うロウルズ様の背中を、そっと押します。


「……貴様たちの盾は何のためにある!」


 一度深呼吸をして、覚悟を決めたようにロウルズ様が問いかけました。


「民を守るために!」


「貴様たちの剣は何のためにある!」


「民に害する悪を打つために!」


「この戦い、敗れれば後はない。我らが正義を今こそ示す時だ!」


「ウオオオー!!!」


 ロウルズ様が、くるりと周り後ろを向きます。


「そして貴様たちも、生まれや家柄が違えど、今は同じく騎士だ!」


「ウオオオー!!!」


「我々の後ろに居るのは、戦うことも出来ない民達だ! 彼らの平和の為に、いざ進軍ッ!」


 先導を王国騎士団、その左翼を近衛騎士団、右翼を魔法騎士団が展開しています。

 私達は彼らの後に続きます。


 王都で暴動を起こさぬように細心の注意を払い。私達は王宮までたどり着きました。

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↓宜しければハイファンタジー作品も書いてますので、こちらも読んで頂けたら幸いです。

剣も魔術も使えぬ勇者
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