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乳母車

作者: 尚文産商堂

カタン、カタンと何か動く音がする。

暗闇の道路で、それが女性が押している乳母車から聞こえる音だということに気づいたのは、少し経ってからだ。

「あの……」

女性が俺に話しかけてくる。

マスクをしていて表情は分からない。

「どうかされましたか」

家に帰ろうとしているサラリーマンである俺は、それでも足を止めて彼女の話を聞こうとする。

「ええ、ちょっと住所が知りたくて……」

乳母車は幌がかぶさって、中身が分からないようになっている。

「どこでしょうか。この近くでしたら分かるんですけど……」

俺が聞くと、彼女はここです、と住所を教えてくれる。

近くのマンションの住所だ。

「ここでしたら、この道まっすぐ行ってもらって、左側にあるマンションですね」

教えるのが簡単でよかった。

彼女に教えると、ありがとうございますと礼を言って、またカタン、カタン、と乳母車を押していく。

翌日、乳母車に乗せた荷物で元カレを殺した、というニュースが、新聞に載った。

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