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第二話 ポナの街

メルルたちが引っ越してきたのはポナの街だった。

ポナの街は穏やかで平和だった。

街の中央には噴水のある公園があり、街の人々の憩いの場となっていた。


「メルル、人形たちを運んでちょうだい」

母親がそういうとメルルは慌てて人形たちを運んだ。

本当は人形たちには魂が吹き込んであるから自分たちで歩ける。

でも、大騒ぎになってしまうのが目に見えているから皆にお願いして、メルル以外の誰かがいるときはただの人形として振る舞ってもらっていた。


「お母さん、この部屋私の部屋なの?」

「そうだよ、メルル」

屋根裏部屋だったが広くてメルルはとても嬉しかった。

大好きなお人形さんたちとお話をするにはもってこいだった。

「メルル、片付けが終わったら公園に行ってみるか?」

父親ーがそういうとメルルは思いきり頷いた。


公園は賑わっていた。

ふと見ると人が集まっていて、そこには掲示板があった。

「なになに、商人の娘セリスの相談相手募集だって?」

「なんでも塞ぎ込んで話にならないって」

メルルはかわいそうに思って、考えた。

「ひょっとしたらお人形さんなら解決できるかもしれない」

掲示板にあった連絡先をメモすると、メルルは急いでそこに駆けていった。


連絡先にあった住所には、大きな建物が建っていた。

商人の娘とは書いてあったが、街を行き来する位大きな商人らしい。

メルルはドキドキしながら玄関のチャイムを押した。

「あの、メルルと言います。公園の張り紙を見てやってきました。」

「あらあ、いらっしゃい。」

メイドさんが出てきてメルルを応接間に案内した。


「セリスさんは大丈夫ですか?」

「お嬢様は誰とも口をきかないんですよ。」

メイドさんは困った様子で言った。そしてメルルをセリスの部屋まで連れて行った。

「セリス様、入りますよ」

「はい」

力ない声で返事があった。

メルルが中に入ると、長い金髪の少女がベッドに腰掛けていた。

ベッドの脇には、かわいらしいクタクタのウサギの人形が居た。


「あの、セリス様と二人きりにしてもらえますか?」

メルルがそう言うと、メイドさんは部屋を後にした。

「はじめまして。私はメルル。」

「・・・・・・」

セリスからの返事はない。

「可愛いね、このウサギさんの名前は?」

「・・・・・・ベティ」

「こんにちは、ベティ」

メルルはベティに話しかけると、ベティがぼんやり光った。

「こんにちは、メルル」

ベティが話し始めた。セリスは驚いて、ベッドから立ち上がった。


「ベティ」

「セリスちゃん、元気だして」

ベティはそう言うとセリスに抱きついた。

「セリスちゃんはお父様とお母様がお仕事で忙しいから、いつもひとりぼっち」

「でも、ベティがいるから大丈夫だと思ってた」

セリスはメルルの前で泣き出した。

メルルはセリスの頭をなでながら言った。

「私、人形遣いなの。人形に魂を宿らせることができるのよ」

セリスは言った。

「ベティとお話出来るなんて夢見たい」

ベティは言った。

「セリスちゃんはメルルともお友達になるといいよ」


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