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「馬を止めろ」
「はっ」
愛馬に乗っていたヴィジェーンは、向かう先の空がおかしいことに眉を寄せた。
「おい、あれは何が起こっているんだ?」
近衛騎士に声をかけると、騎士も異様な空模様に息をのんだ。
「あれは……自然に起こるものではありませんね。だとすると魔法によるもの、でしょうか。念のために誰か向かわせますか?」
「いや、いい。俺が行ったほうが速いからな」
言うなり、ヴィジェーンは愛馬に鞭を打って隊を抜け出た。
「お待ちください!陛下!」
王の思わぬ行動に慌てながらも、ヴィジェーンの後を騎士たちは追い駆ける。
突然の事ながら隊列を崩さずついて行けるあたりが、さすがヴィジェーンの選りすぐった近衛騎士達だ。
当のヴィジェーンは近衛騎士の声など無視して馬を走らせながら、その口元を僅かに緩めていた。
「これは、お前の仕業か?
――…クロノ」




