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王国・王宮執務室
どこか退屈そうに書類を眺めていたヴィジェーンは、執務室に響いたノックの音に顔を上げた。
「入れ」
入室の許可が下りるなり、礼をして入って来たのは近衛騎士の一人だった。
「陛下、出立のご準備が整いました」
「そうか」
待ち望んだその言葉に、薄く笑みが浮かぶ。
「やっとだな」
そう呟いて立ち上がったヴィジェーンに、傍に控えていた宰相の男が問いかけた。
「陛下自らお出になるとは、そんなにも価値があるとお考えで?」
「さぁな。だが……アレは実に面白い提案だった。故に俺自ら出向いてその価値を確かめてみたい。くだらんものであればすぐに始末してしまえばいいだけだろう」
物言いたげな顔をした宰相を残して、ヴィジェーンは近衛騎士と共に執務室を後にした。
広々とした廊下をヴィジェーンが行けば、すれ違う人々は廊下の壁に張り付く勢いで端へよって恭しく頭を下げる。
彼らに一片の感心も抱かず、その中心を闊歩する姿はまさに王者そのもの。
産まれたときから王となる資格を持ち、他を切捨て玉座を手にした力を持つ者、
圧倒的強者たる存在、ヴィジェーン。
だが彼は未だその力に満足してはいない。
使えるものは使い、価値ある者は取り立てる。
実力主義で臣下を選りすぐり、優秀な手足のみ傍に置く彼が、次にその価値を
見極めに向かうのは、王都から遥か東の地。




