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あれから時が経ち、秋が過ぎて、冬を迎えた。
エイトが『やらなくてはいけないこと』をしに出て行ってから、ちょくちょく村の医者の娘はクロノの顔を見にきたが、それも時が経つに連れてなくなった。
もう、何週間人と会っていないかもわからない。
最近ではクロノは、危険な動物が冬眠に入ったのをいいことに森の中に入り浸っている。森の中で魔法の練習に深けるばかりで、体調を崩す事も多々あったが、今はそれを咎める人も心配する人も居ない。
その日も、遅くまで魔法の練習をしていたクロノが家に帰ったのは辺りがすっかり暮れてからだった。
「……ただいま」
呟いた言葉に返す人物は居ない。
毎日の様に、もしかしたらと期待して扉を開け肩を落とす。その繰り返し。
クロノが上着を乱雑に放り、食事もとらずに向かったのはエイトの部屋。
もうすっかり、クロノの部屋と化した場所だった。
ぼふん、とベッドに倒れこむと、枕元に置かれた手紙に手を伸ばす。
もう何度読み返したかわからない、エイトが出て行くときに置いていった手紙だ。




