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けれど考えても考えても、クロノがこの件に関して出来る事は思いつかなかった。
そもそも何故大事になってしまったのかも分からなければ、今からエイトの後を
追って村の人々に謝ることもできない。
無力な自分を歯がゆく思い、クロノは近くにあった石を蹴飛ばした。
その拍子に、またしてもクロノの腹の虫は盛大に鳴る。
ぐうぅ
「~~~っ」
顔を赤くしながらお腹を抱えて辺りを見渡し誰もいないことを確認する。
恥をかかずに済み安心したクロノは、あっと声を上げた。
エイトもまた、自分と同じで空腹であることに気がついたのだ。
「よしっ」
エイトが帰ってきたとき喜ぶように、おいしいものをいっぱい作ろう。
それがせめてでもエイトに出来る事だと意気込んで、クロノはそそくさと家へ
入った。
「あ、そうだ。どうせなら新しいもの作ってみようかな」
鞄を置きながらふと、そんなことを思いついたクロノは、料理に関する本は無いかとエイトの部屋へと向かうことにした。
本棚のほとんどの本は読んでしまっているが、高いところにしまわれた本だけは身長の関係でエイトがないと取ることもできず、読めていない本もあったのだ。
クロノはエイトの部屋に着くなり、近くにあった椅子を本棚の前まで移動させると、踏み台代わりにとその上に立った。
普段は行儀が悪いやら、椅子が汚れるやら言われて絶対に出来ないことだ。
「今だけ、今だけ」
そう言い聞かせるように呟いて、クロノは本棚の物色を始めた。
・・・・・・
「これも違う」
目に付くものから開いて読んでみるも、やはり魔法の本ばかりで料理の本は無い。
最後に、と手に取った本もまた魔法に関する本のようだった。
「古の闇属性魔法?」
関係ない、と閉じようとしたとき、ふとクロノは以前したエイトとの会話を思い
出した。
『でも殺すためだけの魔法なんて、そんなの、なんで生み出したんだろうね』
『さぁな、お前は一生知らなくていい理由だろうよ』
あの時、まるでエイトは理由を知っているようだった。
……もっとエイトのことを理解したい。
少しだけ、とクロノはその本と自分の部屋に置いていた本を入れ替えて本棚にしまう。持ち出した本を見つからないよう自分のベッドの下に隠すと、クロノは気持ちを切り替えてキッチンへと向かった。




