26
日が昇る頃。
「おい、いい加減起きろ」
「むぅ」
クロノは最悪な気分でエイトに揺すり起こされ目を開けた。
寝場所が悪かったせいで変に疲れている。
睡眠時間もそれほど長くないせいもあって酷い寝起きだ。
「早くベッドで寝なおしたい」
「おう、奇遇だな。俺もだ」
エイトに腕を引かれて立ち上がったクロノは辺りを見回した。
クロノ達がいる場所は多少ひらけているが、やはりどこまでも木しかない。
「ここってどこら辺なの?超森なんだけど」
「あぁ、超森の中だからな。お前まじで迷子の天才だと思うぞ」
「うるさい」
ぶすっとしたクロノの頭を軽く叩きながらエイトは話し出した。
「ここは森の中心から少し村の方面に行った辺りだ。家までめちゃくちゃ歩くから覚悟しろよ?」
「……はぁい」
自業自得で何も言い返せないクロノは、歩き出したエイトの後を黙って追ったの
だった。
・・・・・・
二人が森を抜け家にたどり着いたのはすっかり昼時。
空きっ腹をさすりながら二人が家の中に入ろうとしたとき、角から一人の人物が
姿を見せた。
「エイト様」
「君は……」
そこに居たのは、エイトがクロノを頼んだ医者の娘だった。
彼女がエイトに好意を寄せていることで複雑な心境のクロノは眉を寄せて二人を交互に見る。いつも通りに見えるエイトとは対照的に、心なしか緊張した面持ちで彼女は口を開いた。
「村長が、呼んでいます。昨晩は森にいらしたんですか?
急に居なくなられたので、その……少々大事に」
エイトはやっぱりか、と息を吐く。
たった一晩いないだけで大事になる。
その理由がわからないクロノは戸惑ったが、同時にそれを招いたのが自分である
ということに罪悪感を覚えた。
「クロノ、お前は先に休んでろ。俺はちょっと行って来るから」
「でも僕のせいだし」
一緒に行こうとするクロノに苦笑したエイトは、エイトの頭をぽんと撫でた。
「この前のこと、忘れたか?」
この前、と言われ思い出すのは一昨日のこと。
忘れようも無い、とクロノは首を横に振った。
「ううん」
「んじゃわかるな?お前の迷惑は親である俺が引き受ける。悪いと思ったなら
もうするな。そんで後のことは俺に任せろ」
「……わかった」
渋々ながらも引き下がったクロノの頭をもう一度撫でると、エイトは村の方へ歩き出す。
その背中を見送りながら、クロノは自分が出来る事は無いかと考えをめぐらせた。




