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「……」
「……」
「はぁ~~~~~っ」
俯いて黙り込みしおらしい態度のクロノに、エイトは怒りを通り越して呆れ、
それはそれは長い溜息を吐いた。
どさっとその場に座り込むと、目の前で落ち込んでいるクロノの頭に手を伸ばす。
「っ、」
また殴られるのかと身構えたクロノに苦笑したエイトは軽くその頭を撫でると、
予想外の行動に呆然とするクロノから手を退けた。
「ま、無事でよかった」
そう言ってエイトは少し困ったように、けれど安心したように微笑んだ。
が、その表情は直ぐに真剣なものに変わり、警戒心が緩みかけたクロノは肩を
びくつかせた。
「じゃ、書置きも無しに一人で森の中に入ったワケ……正直に話してくれよ?」
「はいすみませんでした」
穏やかな口調ではあるが、森の猛獣すら縮み上がりそうなどす黒いオーラを纏ったエイトに、クロノは早々に白旗をあげる。
横に置いてあった鞄を開け、中から一冊の本を取り出したクロノは、渋々といった風にしおりの挟まれたページを開いてエイトに見せた。
「本当はエイトには内緒にしときたかったんだけど……」
「……」
ランタンで本を照らしたエイトは、その内容を見て目を見開いた。
「“手芸マスター入門!~応用編~
基礎的な縫い方でできる小物にチャレンジしてみよう!
多少不器用でも大丈夫!愛が物言うプレゼントで気になる彼のハートをゲッツ!”
・・・
・・・
・・・
・・・なんだこれ」
あまりに予想外というか、予想の斜め上をいく内容にエイトはそんな反応しか出来なかった。
だが、確かにその本に見覚えはあった。
昔、男手一つでも大丈夫なように簡単な縫い物くらい出来るようになろうと手にしたのは良かったものの、内容というか作者のテンションについていけずに無言で閉じた本だ。手芸本としてはありふれたものだったが、何でもかんでも最終的に色恋沙汰に繋げようとする書き方が苦手だった。
女性の評価はいざ知らず、乙女チックさなど欠片も持ち合わせていないエイトには少々理解しがたいものだ。
「捨てずに残ってたのか……」
懐かしいような呆れるような気持ちに浸っていたエイトは、はっと元の目的を思い出した。
「ってこれのどこが森に来た理由になるってんだよ?」
「下の方に書いてある……お守り。作ってみたくて」
クロノは恥らうように視線を外し、ごにょごにょと白状した。
「お守り?」




