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「おい、いい加減起きろ」
「むぅ…ふぁあ……。……すやぁ」
「いや、そこは起きろよ」
エイトは一度開いた瞳を再び閉じようとするクロノの頬を軽くつねる。
「いひゃい」
ようやく意識が覚醒したクロノは、違和感に顔をしかめた。
「つめたい」
「俺もだ。お前が馬鹿みたいに口あけて寝てたせいで、俺の服がお前の涎まみれだからな」
「ごめん?」
「何でもいいから早くそこをどけ。この服を一刻も早く脱ぎさりたい」
もぞもぞとエイトから離れたクロノは、エイトの服の自分の顔があった場所にできた水溜りを見て、エイトからそっと距離を取った。
「おい待て、何でコレやった本人が離れるんだよ」
「いや、なんか臭いかなって」
そう言いつつ、クロノは自分の口の周りを服の袖で拭く。
「ほんと可愛くないな」
「うるさい」
・・・・・・
洗い場でばしゃばしゃと涎まみれの服を洗うエイト。
その様子を隣で眺めるクロノに、エイトは手を動かしながら聞いた。
「で、お前は何で俺のベッドに潜り込んでたわけ?」
「最初は起こそうとしたんだけど、途中で眠くなっちゃって。丁度いい感じにあったかそうだったから」
「なんつーか、お前って時々すっげぇマイペースだよな」
「そうかなぁ?」
「俺には色々言ってくるくせに」
「エイトはマイペース通り越して適当すぎだもん」
そんなことを話しながら、二人が洗い終えた服を外に干しに行くと、風は冷気を
はらんでいた。
「うわ、一気に冷え込んできたな。そろそろ秋か」
「どうりで寒かったわけだね。今日から一緒に寝る?」
「毎日涎垂らされたら堪らないから却下」
「今回だけだもんっ!」
クロノの赤くなった頬を、ひんやりとした風が撫でていく。
ふと見上げた空は少し高くなって見える。
クロノは森から来る緑の香をのせた空気を吸い込んで、エイトを見上げた。
「エイト……僕、風を専門属性にしたいな」




