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「ずっと……ずっと前から。そして、これからもこの気持ちはかわらないっすよ」
はにかみ笑ったギノアは、握りしめた手がかすかに震えていることに気づく。
「――…に?」
「先輩?」
「本当に?俺が、お前の慕うような人間じゃなくてもか?」
そう問うたクロノは酷く弱々しげで、縋るような視線はギノアとその先いる
“誰か”に向けられていた。
堪らずギノアはクロノを抱き寄せる。
「……っ」
そして消え入りそうな大切な人の存在を確かめるように強く固く抱きしめた。
「ギノア?」
「俺は、正直先輩のこと何も知らないっす。
けど裏切るとか、理由もなしにする人じゃないってのはちゃんと知ってるっすよ?だから俺は他の人たちみたいに、先輩の話も聞かないで決め付けない。
もし話してくれたとして、それが俺の思うようなものじゃなくても、幻滅なんかしない。
昔の先輩がどんなでも、俺は今の、俺の大好きな先輩を大好きでい続けるだけっすから!」
へへ、とどこか誇らしげに言ったギノアにクロノは微笑んだ。
手を背中に回してギノアを抱きしめ返す。
どちらのものかわからない少し早い鼓動の音に耳を傾けて、クロノは胸の内を語った。
「今はまだ話せそうにないけどさ、いつか必ず話すから……そのときは聞いてくれるか?お前には知って欲しいんだ、俺の全部。お前のこと、俺も大好きだからさ」
「~~っ!」
ギノアは頬を染めながらクロノを離す。
そうして若干恨めしく思いながらもしっかりとクロノを見て言った。
「もちろんっすよ。信じて待ってます、その時を」
「あぁ、俺も」
そうして笑った二人はまた抱きしめ合う。
「うぅ……クロノちゃん、ギノアちゃんっ!よかったわぁ」
……その様子をこっそりルーエンが覗いていたとは知らずに。




