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思わずぽろっと本音が漏れてしまったリリス。
口元を押さえるが、既に時遅しである。
へらっと笑って誤魔化したリリスにウィルソンは乾いた笑みをこぼした。
「すみません、つい」
「いやその、なんだ、こっちも悪かったな」
「まったくですよね」
「ちょっとは遠慮しろ上司相手だぞおい」
他の者の目がない場所では、こうして二人は騎士団時代のように砕けて話す。
それがウィルソンにとってちょっとした息抜きになっていることは二人の秘密だ。
“賢王”としてあることが疲れることだと知れてしまったら、それでウィルソンの王としてのイメージは崩れ、望まれた姿であれなくなる。
別に“賢王”の名にこだわってはいないが、彼が“賢王”としてあるために“愚王”として定着させてしまった前王と前王に使えた者への贖罪として、ウィルソンは在位中“賢王”の仮面を被り続けなければならない。
それがウィルソンがした決意であり自身への約定だった。
「参考までにだが、俺の何がうざいんだ?」
「あ、聞いちゃいますか。そうですね、一番はやっぱりアレでしょう。
例の彼を意識しすぎなこと。
いちいち何かあるたびに態度に出てるんです。今だってわっかりやすく肩落としたりいきなり食いついてきたり、かと思ったら上の空。ちょっと構うの面倒です」
「それはもうどうしようもないことだ」
「わかってますよ、惚れ込んでる事くらい騎士団時代から。だから余計にうざいんです。また始まった、って感じなんですよ」
「……わるい」
申し訳ないような、自分の好意がだだ漏れなことが恥ずかしいような、ごちゃまぜな感情にウィルソンは視線を泳がせた。




