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――けれど、彼のもとへ行けたなら。
この悍ましい力をもった自分が、業を背負った自分が、許されるような気がして。
この先の生き方を示され、そして死に方すらも示されるのではないかと感じて。
クロノは、光にすがるように、まばゆい銀の王に問うた。
「いいの、ですか?」
か細いその問に、ヴィジェーンは態度を崩すことなく自信ありげに答えた。
「俺がお前を欲しいと言ったのだ。答えなど、聞くまでもないだろう。
お前はただ、この手を取ればいいだけだ」
……その手は、救いのようだった。
温かな手を取って、クロノは久々に人のぬくもりを感じた気がした。
しっかりと握られた手は、固く、強く。
クロノは、この手を絶対に離さないとそう決めた。
やがて人知れず漆黒の炎は消え、空に青が戻ってゆく。
残ったのは、人がいたはずの村の址。
誰かの何かが残ったままの村の址。
けれど村のはずれの家だけは、人為的に燃やされ炭と化し、思い出の欠片も残っていなかった。
そこにはもう、人が寄り付くことも、帰ることもないだろう。
その日以降、王国の歴史にヴィジェーン王の“闇の魔法使い”の名が記されるようになる。
長くなってすみません。お付き合いいただき感謝しております。
次章前に閑話挟みます。




