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花のない薔薇  作者: 愁
四章 闇の魔法使い
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――けれど、彼のもとへ行けたなら。


この悍ましい力をもった自分が、業を背負った自分が、許されるような気がして。

この先の生き方を示され、そして死に方すらも示されるのではないかと感じて。


クロノは、光にすがるように、まばゆい銀の王に問うた。


「いいの、ですか?」


か細いその問に、ヴィジェーンは態度を崩すことなく自信ありげに答えた。


「俺がお前を欲しいと言ったのだ。答えなど、聞くまでもないだろう。

お前はただ、この手を取ればいいだけだ」


……その手は、救いのようだった。


温かな手を取って、クロノは久々に人のぬくもりを感じた気がした。

しっかりと握られた手は、固く、強く。


クロノは、この手を絶対に離さないとそう決めた。



やがて人知れず漆黒の炎は消え、空に青が戻ってゆく。

残ったのは、人がいたはずの村の址。

誰かの何かが残ったままの村の址。


けれど村のはずれの家だけは、人為的に燃やされ炭と化し、思い出の欠片も残っていなかった。


そこにはもう、人が寄り付くことも、帰ることもないだろう。











その日以降、王国の歴史にヴィジェーン王の“闇の魔法使い”の名が記されるようになる。

長くなってすみません。お付き合いいただき感謝しております。

次章前に閑話挟みます。

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