第九話:翌日
火曜日。
昨夜、佐藤は搬送された病院で死んだ。
顔が吹っ飛んだらしい。
体育館で全校集会。
校長がブツブツと喋っている。
俺は聞いていない。
女子生徒の中には泣いているのもいた。
一度も話したことがない奴が死んで、なんで泣くのか、俺にはさっぱりわからない。
ところで、なぜ空のペットボトルが爆発したのか。
実は、佐藤に渡したペットボトルは空ではない。
ガソリンを入れて、気化させた。
テレビのバラエティー番組で、自動車に火を点ける実験を見たことがある。
ガソリン満タンの自動車は爆発しなかったが、空っぽの方は大爆発した。
ガソリンは、気化させると危険なんだなと知った。
ペットボトルの底には小さい穴が開いていた。
匂いはしたかもしれない。
しかし、佐藤は鼻が悪いので気づかない。
目も悪いので、顔を近づけたのかもしれんな。
校長室に呼ばれる。
警察が学校に来て、いろいろと聞かれた。
佐藤と親しいのは、俺だけだったからだ。
もちろん、地下鉄のことは話さない。
サタンの話は大袈裟に教えてやった。
警官はあきれた顔をした。
やる気無さそうな顔だなと俺は思った。