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第六話:二日前
土曜日。
自分の部屋でゴロゴロしていたら、佐藤が家に来た。
「時限装置を作ったぞ」
このバカが作った時限装置とは、どんなものだろう。
荒川岸に行く。
晴天だ。
単三乾電池に針金。
そんだけ。
あっと言う間に火がついた。
「どこで、こんなからくりを知ったんだよ」
「ネットだよ、ユーチューバーが実験してた」と佐藤はニヤリと笑う。
「計画は簡単だ。ペットボトルの底に、この時限装置を付ける。ボトルにガソリンを満タンにして、紙袋に入れる。地下鉄を降りる寸前に針金を付ける。簡単だろ」
「簡単だけど、あっと言う間に火が点くじゃないか。どこが時限装置だよ」
「まあ、例のカルト団体みたいに、毒ガスが入ったビニール袋を尖った傘の先で刺すよりは、マシじゃないかな」と佐藤がニヤついている。
凶悪な顔だなと俺は思った。
これは本格的にまずいことになった。
なんとか止めないといかんな。
共犯者にはなりたくないね。
やはり、佐藤を殺すしかない。