Re Begin
どうも!Genshoです。ただいまイギリスのリバプールにありますホテルに宿泊しています。8泊9日の旅でして、日本に戻るのは年明け、という貴重な経験をする予定です。それでも可能な限り投稿はして行きたいと思っております!
『勇者様。神様がそろそろ黄昏を起こすらしいですよ?』
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『・・・・・・うん?
・・・・・・グッ』
『神島・・・・・・大丈夫?』
『ん・・・・・・天使か?
ここは・・・・・・?』
『わかんない。どっかの路地裏っぽいけど、
みんな喋ってる言葉がよくわかんない・・・・・・』
・・・・・・俺も体を起こして辺りを見渡してみる。
確かに路地を通る人たちは、日本とも欧米風とも思えない顔立ちや服装をしている。
耳をすませてみても、日本語や、英語など耳慣れた言語ではないようだ。
『ここ、異世界なのかな・・・・・・?』
と天使は嘆く。
『ああ、多分そうだろうな・・・・・・』
『僕達どうなっちゃうの・・・・・・?』
『いや、わからん。姉貴もここにいるんだろうが、そのヒーローズとかいうのと
ブレイバーズの関係性もいまいちわからないままだからな・・・・・・』
『英香さん・・・・・・大丈夫だよね・・・・・・』
『心配すんな。姉貴は大丈夫だよ。きっと今もどっかで酒でも飲んでるって』
いや、それはそれで問題だが・・・・・・
『うん。大丈夫・・・・・・』
俺は天使が悲しい顔をしなくなるまで、ただ見守るしか術はなかった・・・・・・
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この場所が異世界であるだろう、という結論に達してからおよそ一時間が経過し、
太陽らしき球体が真上に見えることから、おそらく今は12〜1時だろう。
しかし、日本での時間の概念がこちらの世界で通じるのかはわからないが。
『ねぇ、神島?』
『ん?なんだ?』
『少し大通り、出てみる?』
『ああ、そうすっか』
俺は天使の提案に快く賛同し、薄暗い路地裏をでることにした。
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『うわぁぁぁああ・・・・・・』
『うわっ・・・・・・』
俺たちの眼前に広がる光景は、
本当に感動するようなものだった。
明るく賑やかな大通り、両脇には満遍なくで店や屋台が広がり、
道は人で埋め尽くされていて、なんとそのみんなが、
『笑ってるね・・・・・・』
『ああ、笑ってる・・・・・・』
そのみんなが、狂ったように笑顔なのだ。
誰一人として悲しい顔をしている人はいない。
みんなが笑顔で暮らせる空間が、この路地を抜けた通りにあったんだ。
『すごいね・・・・・・』
『ああ、これはすごいわ・・・・・・』
『なんでこんな世界に、あんな悪い人たちがいるんだろうね・・・・・・』
天使がまた悲しい顔をした。瞬間だった。
『©˙©∆˚∆√ç?』
『え?え?』
一人の男性が天使に近寄ってきた。
天使は当然困惑している。
『∫烆ˆ¨∆©¬¨˙∑œ∑´®¨†πøˆ!!!』
『え?なになに・・・・・・?』
彼は何かを叫びながら、ポケットからお菓子のようなものを取り出して、
・・・・・・天使にあげたんだ。
『え、あ、ありがとう・・・・・・』
彼は天使が笑顔になった瞬間、
今世紀最高じゃねーか、と思うほどの笑顔で、その場を立ち去っていった・・・・・・
きっと彼は、悲しい顔をした天使を見て、それはダメだ、とでもいったのだろう。
この場所では、悲しい顔をすることはきっと許されないのだ。
『なぁ、天使』
『うん?なに?』
天使は満面の笑顔でこちらを振り向く。
くそ、あの野郎いい仕事してんじゃねーかよ・・・・・・
『俺、この世界で少し生きてみようと思う』
『ーーーーーーッ!!!!!!
・・・・・・うん。わかった』
この世界の表はきっとこの場所を体現しているんだろう。
しかし俺らは表より先に裏を見て、知ってしまった。
ただ一つ、いつもと違ったのは、
『勇者様。神様がそろそろ黄昏を起こすらしいですよ?』
・・・・・・とは聞こえなかったことだろう。
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異世界に来てから、約一週間も経ってないだろうか。
この世界では雨が降らない。
いや、たまたま降らない時期なのだろうか。
そんなこんなでなんとかここまで生きて来たものの、
地球から持って来た食料ももうすぐで底をつき、
ある程度この世界の言語も理解できるようになったことで、
この世界で暮らすための部屋を探すことにした。
話は変わるが、俺たちが降り立ったこの場所は、日本語に訳すと、
「神々の大通り」・・・・・・だそうだ。
なんとも皮肉なこってな。まぁ、天使はまた違うのだろうが。
神様たちは笑顔でいることを強制したのかね・・・・・・
まぁ、お金はどっかのおじちゃんが少しくれたし、都合のいいように進んではいるが、
ここらで自立しとかないと後々面倒なことになるだろう。
だがしかし、「あの声」が聞こえなくなったことは不思議と何も思わなかった・・・・・・
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『どんな部屋がいい?神島は!』
『基本的にどこでもいいよ。
安くて住みやすいところ』
『なんだよそれ、どこでもじゃないじゃん』
『ははは、冗談だよ』
『まだこの辺りはみんな笑ってるね・・・・・・』
『ああ、どこまでも続いてるな・・・・・・』
『あ、あそこじゃない?不動産屋さんみたいな!』
天使の指差した向こうに、確かに「お部屋探し」の看板が出ていた。
『あそこか・・・・・・』
しかし、お部屋探しといっても、この世界の地価感覚がわかんないし、
まず俺らがもらったお金でどのくらいの部屋になるのかがわかんない・・・・・・
そんな不安を抱きながら、俺はその店の暖簾をくぐった・・・・・・
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『いらっしゃい・・・・・・』
『だ、大丈夫ですか・・・・・・』
俺はそう言うことしかできなかった・・・・・・
なぜなら店のおっちゃんはカウンターに青い顔で突っ伏していたからだ・・・・・・
『い、いや・・・・・・昨日飲みすぎただけだ・・・・・・
それより・・・・・・そこにすわんな・・・・・・』
いや、早く寝ろよ!
と思いながら渋々座った・・・・・・
『ねぇ、神島・・・・・・本当に大丈夫?』
天使が隣で何か囁いてるが、その時の俺には何も聞こえなかった・・・・・・
『んで・・・・・・どんなのがいいんだ・・・・・・?』
『とりあえず、これで住めるくらいのお部屋を・・・・・・』
と俺はこの前気さくなおっちゃんがくれた何枚かのコインと紙幣を死にかけ寸前のおっちゃんに・・・・・・
『ってあれ?』
っと急に天使が何かに気づいて声をあげた。
『ねぇ、神島?このおじさんって、僕たちにお金くれたおじさんじゃない?』
『!?嘘だろ!?』
『ははは・・・・・・まさか最後までわかんなかったか・・・・・・
お前本当に勇吾の子供か・・・・・・?』
『え!?嘘だろおっちゃん!・・・・・・って勇吾って』
勇吾は俺の親父の名前だ・・・・・・
そして名前もろともから察するにおそらく神と勇者の・・・・・・
『ああ・・・・・・俺はお前の親父を知ってるよ・・・・・・
それどころか小さい頃は少しあったこともあるんだぜ?
・・・・・・ブレイバーズとしてな』
いうほど飯はまずくない。