~魔女になりたくない女の子の旅~
プロローグ
ミーケは魔女の女の子です。
いえ、正確には、魔法使いの一家に産まれてしまったので、魔女になることを決められていたのです。10歳になると、本格的な魔法修行がはじまる予定でした。しかし、ミーケは10歳になる前日、こっそりとベッドを抜け出しました。
だって、魔女になんてなりたくないもの。とか呟きながら、茶色の髪をふたつに結び、こっそりと家を出ていきました。
ミーケのおばあちゃんもお母さんも普段はほかの人と変わりない仕事をしています。農作業をしたり、ジャムをつくったり、お酒をつくったり。ただ、誰かが困っているときは別です。魔法を使って、助けます。薬をつくったり、誰かが川に落ちていれば救ったり。ほうきで空を飛ぶことなんて、めったにしません。
この村には、やる理由がないのです。それに誰かが危険な目にあうなんて、めったに起こるものではありません。後は変わりばえしない日常が、えんえんと続いているのです。
魔法を使えるのは、魅力的だけど、それまでは厳しい修行が続くのは嫌だわ。それに、そんなものを手に入れなくても、わたしはわたしだわ。わたしは魔女じゃない、本当のミーケに出会うの!
ミーケはそう覚悟し、ためておいた食料がつまったリュックを背負って、飛びでていきました。
はたして、おてんばミーケはどこにいくのでしょう?