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おーい☆MADぐんしょー  作者: ジェイのすけ
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#7【その ほのかな疑問符は、】

 わさび……清流……淑女……美人……ヴィーナス……ちょっとやりすぎな婦人警官……ザ・ゴ○ラ……44マグナム……バントラインスペシャル……木曜ス○シャル……UFOスペシャル……矢追純○……井○純一……学生服……穂積○ぺ……餃子……焼く……蒸す……揚げる……ピロシキ……ロシア……ダー(ロシア語)……1・2・3!……ア○トニオ○木……エノキ?……ヒノキ?……ひ、檜!!ダー!!

「ちょっと、オゲルちゃん! どうしてくれるのよ! ボクちゃんのワイフとの大切な大切な思い出の品をこんなにしちゃって! もう……あぁ〜ん」

 博士は、まるでポロロッカのような勢いの涙をこぼしました。あんまりポロロッカには意味はありませんけど……。

 それはそうです。それはそうなのです。オゲル君はとってもヒドイ事をしてしまったのです。だって、その素敵な思い出のタンスは、大体の目算で1/144スケールに縮小されてしまったのです。値段にすると300円程度。とにかく、木の継ぎ目から引き出しの寸法まで元からの大きさが、そのまま小さくなったものなのです。

 それに、なんとなんと! ご丁寧に引き出しの取っ手までもが小さく圧縮されているのです。驚きです! 桃の木どぇす! だって金属がですよ。金具の取っ手が、そのまんまの形で付いているのです。これに驚かないんじゃだめなんです……

 ううん、もっと驚くことがあります。それはこの箱、もとのタンスの重量そのままな事です。こんなに小さいのにやたら重いんです。軽く二十キログラム以上はあるでしょう。ということは……、えっと、つまり……、オゲル君は、博士と奥様の大切な思い出のタンスを○モールライトとかガ○リバートンネルの類の道具を使って小さくしたんじゃないって事です。えっ? じゃあ、どうやって小さくしたかって? そ、それは……

「オゲルちゃん! 一体全体なんてことしてくれたの! あぁ〜ん、そういうことなのね。そういうことだったのね。あんたの発明は“物質を圧縮してしまう装置”だったのね!」

 博士が泣きながら少し感心しているところで、オゲル君は欧米風に首を横に振りました。

「OH! ハカセ。ソレチガイマース。ソレハ発明デハアリマセーン!」

「なんですって?」

「OH! 発明デハナイトイッテイルノデース!」

「じじじじじじじじ、じゃ、じゃあこのタンスを小さくしたのは何でやったというの?」

「OH! ソレハ『手』デース!」

「手?」

「OH!ウィ、ムッシュカマヤツ!」

 ……手?

 博士に途轍もない衝撃が走りました。

 だって、もともと二メートルぐらいあったタンスが、手のひらサイズの小箱になっちゃったんですよ。タンスだった時は二人掛かりで運んでいた大物なのに、今は宝石とかアクセサリーとか入れておくような小さなものに変わっちゃったんです。しかも重量そのままで……。

 それを“手”だけで小さくしちゃったなんて、ちゃんちゃらおかしいです。信じられません。「まるで漫画だぜ、漫画!」とか言っちゃいたいくらいです。

 それでも博士は科学者ですからそれ相当の分析もしているわけです。

 ――木、木なら何とか分らないでもないわ。ほら、木なら密度は濃くないから、空気の隙間が押しつぶされてこういう風になった……と考えてもいいかもしれない。かなり強引な想像だけど。でも、でも、でもね。問題はこれよ。この取っ手。この取っ手って金属よね。鉄よ、鉄で出来ているのよね。それがそのままの形で百分の一以上に圧縮できる? それも人の手で? ううん、こいつ人じゃないけど。こんな馬鹿でかい体してるから物凄い力があることは想像が付くわ。でも、でもでもでもでもなのよ!! いくら力があってもこれは正直言って有り得ないわ! だって考えてみて御覧なさい! 

 こいつが、このでっかい巨体をした異性人がいくら超強力だったと仮定しても、鉄みたいな金属がこんなに圧縮できて? 物理的におかしいわ! 金属の密度がこんなに詰まる事なんて有り得る? それも一生物の力で。

 そそそそそ、そうよ! こいつボクちゃんをからかっているんだわ。「オー!ハカセ、ジョウダンデース! ソレハ鉄ヲケズッテツクリマシータコノミ!」とか言っちゃって話題づくりをしているんだわ……。(しばし沈黙)いいえ! ダメよ! ダメ! ダメダメダメ! ダメよ松戸群荘!! それでもあなた科学者!? 現実から目を背けるつもり? アンタも科学者のはしくれなら目を背けちゃダメ!

 見てみなさい。その取っ手。ほら、触れてみると解かる。その感触は鉄の重さじゃないわ! どう考えたって比重が違いすぎる! まるでこの小ささにしてこの重さは……。でも、見た目は普通の取ってと変わりはない。ってことは……。やっぱり……、圧縮した? そんな馬鹿な。いくら力があっても、コイツにどんなに力があっても鉄は粘土を潰したみたいに手のひらからニュルニュルッと出てきてしまうはず。それなのにそれをそのままの形で圧縮したとなると――

 博士はとってもとっても焦りました。いいえ、焦った、というより有り得ないほどの戦慄が奔りました。

 むずかしい事はよくわかりませんが、博士はさっきから「ブラックホール化」とか「爆縮」とかブツブツと言っています。ホント、科学者とか作家って変な人多いですよね。


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