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窓際の神様
昼食後の国語の時間なんて、一番眠たい時間。
ほとんどの生徒が眠り込んでしまって、先生もあきらめて教科書の朗読をしている。
そんな中でひとり、彼は背筋を伸ばして座っていた。
きれいな姿勢だったけれど、自然体というか、力が入っている感じがしない。
そこに、たたずんでいるような。
穏やかな、楽しむような表情して、教科書を眺めたり、ノートに書き込んでいる。
視線がとっても集中しているようなのに、どこか優しげで。
窓からの陽光が、そんな彼を包み込んでいた。
まぶしいような、温かなような……。
まるで後光を背負い、慈しみの目をした、マリア像のような。
どことなく神聖な、静かな愛。
なんとなく、神様みたいに思えた。
勉強が好きなのかな。
それとも、何かいいことがあったのかな。
何となく、見ているこちらまで、幸せになってしまいそう。
聞いてみたい。
あなたが見ているものは、私とは違うのですか?
私にも教えて欲しい……。