新生魔王軍-2
俺はアクストリウスの部下の魔族に、客室用の部屋に案内された。アクストリウスとのその後の会話で、細かい話はカレイドが復活してからという事になった。
客室のベッドで俺はそのまま寝転ぶ。眠くならないとはいえ、ずっと歩き通しだったので流石に疲れていた。
ベッドに寝転んでいる俺に、ルシルフが喜んだ顔を俺に向けて言う。
「ご協力頂き、ありがとうございます!これで新生魔王軍も強化されます。魔王様も草葉の陰でお喜びでしょう!」
それを聞いて、俺はベッドで寝ころんだままルシルフの方を見て言う。
「そう言えば、ルシルフは魔王のことを知っているの?黒魔法使いだったみたいなんだけど」
ルシルフがしたり顔をしながら答える。
「はい。魔王様はランク6の黒魔法使いであられました。その力を以て、帝国と戦ったのです!」
それを聞いた俺は驚いてベッドから跳ね上がる。
「ランク6!?黒魔法使いのランク6は初めて聞いた」
今まで見た中ではアクストリウスのランク7が最高位だ。ランク6は白魔法使いのミリアしか知らない。
ルシルフが自慢げに続ける。
「はい!帝国との戦で負け、落城の最中に悪魔と契約し、ランク6になったそうです。そこからは星を落としたり、竜巻を巻き起こしたり、魔物を従えたりしながら帝国を退け、戦い続けました!」
俺は坑道で会ったオーガたちを思い出す。どうや魔王軍は魔族と魔物の混成軍だったようだ。
ルシルフが寂しそうな顔になり、続ける。
「そんな魔王様でしたが、最後は帝国の英雄であったアレクスとミリアとの戦いの最中、アレクスと刺し違える形で倒されました……」
それを聞いて、俺はミリアを思い出す。そして気になったことを聞く。
「そうなるとミリアはまだ生きているの?」
ルシルフが首を振って否定する。
「ミリアは数年前に死にました。そのため今現在はランク6の白魔法使いは帝国にはいません。ランク7が最高位ですね」
それを聞いて俺はほっとしてため息をついた。
数日後、カレイド達が疲労困憊から復活した。
俺とアクストリウス、カレイド達の揃う会議室で顔合わせをすることになった。
エアリスが押す車椅子に乗ったアクストリウスが俺を皆に紹介する。
「紹介しよう。私が以前お世話になった師だ!私と同じ黒魔法使いで、かつての王国と帝国の戦いで、目覚ましい成果を上げた方だ。今回から我々の戦いに協力して頂けることとなった!」
「よろしくお願いします!」
そう言って俺は目の前の魔族たちを見渡す。カレイドとベルフェもそこにいた。二人とも今は元気そうだ。
魔族たちの訝し気な目が俺を見つめる。
(今のとこはよそ者、って感じだな)
俺は魔族たちの視線を感じながら、中央のテーブルに着いた。
アクストリウスが現在の新生魔王軍の状況を説明し始める。
50年前の戦いで帝国に敗北した魔族の国は、現在は帝国の属国という立場にある。その状況に不満を持つ者たちを集めて、俺たちが戦力にしている状況だ。
現在はアクストリウスがこの国の有力者を味方につけつつ、カレイドが反対派の魔族を集めている。だが、まだまだ戦力が足りない。
そこで俺が戦力の増強のために動くことになった。
「具体的に俺はどうすればいいの?」
俺の質問にアクストリウスが答える。
「師には配下の魔族の中から黒魔法使いの適正のありそうな者の教育、そして魔物を軍に取り込むための編成の手伝いをして頂きたい」
それを聞いて俺は少し不安になる。
(俺が黒魔法の教育……本当に出来るんだろうか?)
カレイドが若干不満そうに口を挟む。
「魔物を味方にするのですか?」
アクストリウスがカレイドの方を向いて、それに答える。
「ああ、そうするつもりだ。かつての魔王軍にも魔物はいた。戦力の増強でもあるし、かつての魔王軍の再来を象徴ともなる」
それを聞いてカレイドが押し黙った。
カレイドの様子を見て、俺の中のモリガンが言う。
(魔族の彼は、魔物との協力には否定的みたいね)
俺の中のミストが言う。
(やっぱり魔物と付き合うには、オルドみたいに少しガサツじゃないと駄目かもね。カレイドは真面目そうな感じだし)
俺の中のオルドが怒ったように言う。
(誰が、ガサツだって!)
俺の中で揉め事が始まる。
ブツブツと呟きだした彼を、訝し気な目でカレイドが見つめる。
(この一人でブツブツ喋っている人と、俺たち魔族が一緒に戦うのか……)
会議は閉幕する。
こうして新生魔王軍の行動が始まった。




