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旧友-2

「久しぶり。50年ぶりだね……」

 俺は目の前のアクストリウスを見つめながら、なんとか言葉を捻り出した。かつての自信に満ちたイケメンが車椅子に乗り、目に包帯を巻いている。

 そのあまりの変貌に、どんな言葉を掛ければいいのかが分からなかった。

 

(50年の間に何があったんだろう……)

 俺の中のファンズが呟く。

(なんでこの人が魔族の頭なんてやっているのかしら?)

 俺の中のモリガンが疑問を持つ。

 その疑問に答えるように、目の前のアクストリウスが口を開き始めた。

「師が色々な疑問をお持ちになるもの当然だと思います。私も何から話すべきかを悩みました。なので50年前に師が封印されてからの話をお伝えしようかと思います」

 そう言うと、アクストリウスが語り始めた。


 50年前、帝国と王国の戦いが勃発し、その戦線は均衡しました。帝国は攻め切れませんが、こちらも倒しきることが出来ません。

 そんな中、帝国の反対側の魔王軍との戦線に目を付けました。我々は秘かに魔王軍と連絡を取り合ったのです。

 当然ですが、いくら王国であっても魔王軍と協力するなどという事には抵抗があります。なので私の裁量をもって、独断でことを進めました。

 こうして私と魔王軍とのコネクションが出来たのです。

 

 魔王とも連絡を取りました。そして彼が魔族の黒魔法使いであることが分かりました。

 我々はそれぞれが持っている黒魔法の情報を交換しました。彼が特に喜んだのは、魔物との意思疎通魔法の使い方です。ええ、これは私が師に教えていただいた、意思疎通魔法の隠された特性の事です。

 これによって魔王軍は強化されました。


 ですがそれでも帝国は強大でした。魔王軍と戦い、王国とも戦いながら、それでも戦い続けることが出来たのです。

 そしてとうとう、魔王軍が討伐されました。魔王が帝国の英雄であるアレクスとミリアに撃たれたのが要因です。


 帝国軍が魔王軍を討伐したことで、その力のすべてを王国の戦線に振り向けることが可能となりました。

 このころになると、我々も疲弊し切っていました。私のこの負傷も、この頃に負ったものです。王国は降参することになりました。


 戦後処理の中で、私と魔王軍の関係が明るみに出ました。そして帝国は黒魔法の禁止を王国に申し付けました。

 これらの責任を負う形で、私は王国を追放されることとなったのです。


 私は恨みました。


 そもそも私が黒魔法を使うようになったのは、王国の防衛のためです。別に自ら進んで覚えたわけではありません。

 魔王軍との協力だって、戦い続けるために必要だったからやったのです。


 王国が私を切り捨てるのは当然の判断だったかもしれません。だからと言って、はいそうですか、と言ってやる気にもなりませんでした。

 追放された私は、このかつて魔王軍が支配していたこの国に流れてきました。

 そして知ったのです。魔族の中にも帝国と現政権に不満を持つ者がいるということに。

 そして私は決めたのです。



 俺の目の前のアクストリウスが歯を食いしばって、手を握りしめて、暫く言葉を詰まらせた。

 暫く、そのままだった。

 そして、絞り出すように言葉を紡いだ。


「帝国に、私を追い立てた者たちに、目にもの見せてやる……と」

 

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