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襲撃-1

「終わったよ」

 俺は部屋から出た先にいるカレイド達に言った。その俺にベルフェが口に人差し指を当てて意志を伝えてくる。そしてランタンの灯りを消した。

(追手が近いのか?)

 俺は忍び足で静かにカレイド達のところまで歩いて行った。

 俺が二人の近くまで行くと、外を伺っているカレイドが俺の方を向いた。そして小声で喋る。

「5人の探索隊のようです。白魔法使いと思しき者が一人だけ混じっています」

 それを聞いて俺はミリアを思い出した。

(白魔法使いか……アイツらと関わると碌なことが無いんだよな)


 追跡している者たちのリーダーは、壮年の白魔法使いメンデルス。

「どうやら、あの廃屋に潜んでいるようですね」

 メンデルスは手のひらにある探知魔道具の針を指し示す方角を見て、確信したような口ぶりで言った。

 メンデルスは左手を耳に当てて、通信魔法を使って他の探索グループにもそれを伝え始める。

 メンデルスが廃屋の場所を伝えていると、廃屋を見つめていた他の兵士が気がついた。

「あ、廃屋からちらついていた明かりが消えました。どうやら我々に気がついたようです」

 それを聞いたメンデルスが、話すのをやめて考え始めた。そして決心したように伝える。

「逃がすと面倒ですので、一旦我々だけで包囲します。潜伏場所は先ほど伝えた通りです」

 そして通信魔法を切って探知魔道具を仕舞うと、その場にいる他のメンバーに合図をした。


「帝国の連中がこちらに向かってきます!」

 カレイドが振り返って小声で叫んだ。ベルフェも振り返って俺の方を見る。

 俺は黙っている。皆が黙っている。

 俺は気がついた。

(え!?これって俺の指示待ちなの?)

 俺は二人を見つめる。二人は俺を見つめる。

(ヤバい!どうしよう!?)

 内心で慌てた俺は、俺の中の彼に任せることにした。


 メンデルスが廃屋の灯りがチラついた崩れた壁の方を見つめる。他に三人はそれぞれ廃屋の別の方向を抑えるように見張っており、一人は他のメンバーとの連絡係として待機している。

 メンデルスの記憶ではランク8の魔法使いが封印されているという事だった。メンデルスのランクは9。格上を相手にするには少々心もとない兵力ではあるので、交戦は控えて突入はしない。

 廃屋を見つめているメンデルスの元に、連絡係の兵士がやって来た。兵士がメンデルスに報告する。

「あの……反対側の兵士からの言付けです。何でも、建物から豚が出て来たそうです」

 メンデルスが目を細めながら兵士の方を向いて聞く。

「豚?」


 メンデルスが反対側に向かい、見張っていた兵士の方に向かう。兵士が少し離れた草むらを指さしていた。そこを見ると確かに豚がいた。

 メンデルスが再び探知魔道具を取り出す。その針は廃屋を指したままだ。

(豚に何か隠れているわけではなさそうだが……)

 メンデルスは探知魔道具をしまうと、油断せず豚に近づいて行く。

 メンデルスは防御障壁を張りながら、豚を見つめる。腹の辺りを覗いてみたが、誰かが隠れているというわけではなさそうだ。

 メンデルスは剣を抜いて、豚を突っついてみた。だが反応が無い。

(召喚体か?)

 次の瞬間、廃屋から何かが飛んできた。その気配を感じたメンデルスが大声で叫ぶ。

「全員、伏せろ!」

 メンデルスは全力でその方向に向かって防御障壁を張った。

 飛んできた何かは豚の近くまで来た辺りで、大きな爆発を起こした。

(爆裂魔法か?)

 防御障壁は砕け散ったが、メンデルスは無事だった。だが、近くにいた豚が爆撃をまともに喰らい、バラバラに飛び散った。豚が脊柱に戻って行く。

 その時にメンデルスは気がついた。

(何だ?この臭いは?血ではない……油?)

 それに気がついた時、豚に仕込まれていたランタンの油に火がついた。辺り一帯の草むらにも引火して、突如として炎に包まれていく。メンデルスのローブに飛び散っていた油にも引火してしまった。

「クッソ!」

 そう叫んでメンデルスがローブを脱ぎ去る時、その視線を完全に廃屋から逸らしていた。その廃屋から一人の男がスライドするようにメンデルスに近づいて行く。

 気がついたメンデルスが剣を抜き、防御障壁を展開する。だが男はそのまま突っ込んでくる。そしてその手をメンデルスにかざす。その手から出たのは青い、超高熱の炎。

「これは、馬鹿な!」

 メンデルスが叫びながら、その炎に向けて圧縮した防御障壁を盾にする。

 だがその青剣は、メンデルスの防御障壁を完全に貫き、その体を串刺しにした。肉の焦げる臭いが、草の焦げる臭いに混じっていく。


「流石アクストリウス!50年間の青剣イメトレが思った以上に上手くいった!」

 ファンズが叫んだ。

 俺の中のアクストリウスが、倒れ込んできた白魔法使いを地面に下ろしながら言う。

「まだ4人いるはずです。油断せずに行きましょう!」

 アクストリウスが前髪をかき上げながら、近くの兵士を見つめた。

 

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