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封印解除

 カレイドが帝都から脱出し、近郊にある廃屋にやって来た。そこにはランタンを持った彼の部下である魔族の男が一人いる。

 

 カレイドが腰の鞄からペンダントを取り出しながら部下に言う。

「手に入ったぞ。ベルフェ、とりあえず封印を解くぞ!」

 そう言って取り出したペンダントをベルフェと呼んだ部下に投げ渡す。ベルフェはペンダントを受け取りながら、カレイドに疑問を伝える。

「今からここで封印を解くんですか?」

 ベルフェの質問にカレイドが答える。

「なんでも封印をされている間に黒魔法の契約が切れているから、契約を更新させろという事だ。土壇場で封印を解く方が不味いらしい」

 それを聞いたベルフェがノミと金槌を手にした。そしてペンダントの宝石にノミを当てながら言う。

「砕いたら、封印されている者ごと……ってのは、無いですよね?」

 それを聞いたカレイドが頭を掻きながら言う。

「それは大丈夫じゃないか?多分?」

 ベルフェが真剣な顔をしながら金槌を振り上げる、そしてノミのお尻に思いっきり金槌を振り下ろした。


 パリン


 ペンダントの宝石が砕け散った。

 ペンダントからモクモクと白い煙が出て来る。その煙にランタンで照らされた、胡坐をかいた人影が写り始めた。何やら両手を妙な形にして、交互に変化させている。

「よっしゃ!勝ったーこれで五連勝!」

 人影が何やら勝ち誇っている。

 煙が晴れて来た。

 カレイドとベルフェの目の前に、一人の男が現われる。その顔がランタンの明かりに照らされた。それを見たカレイドが内心で呟く。

(なんか……思った以上に冴えない男だな……)



 俺は何やらいつもとは感覚が違うのに気が付いた。

(目に何かの輪郭が移っている。埃っぽい臭いがする。何やら生き物の息遣いが聞こえる……)

 俺は周りを見渡す。

 封印されてからずっと使われていなかった目の網膜に、久しぶりに何かが映し出されているのが分かった。

「え!?もしかして、封印が解けた?マジで?」

 俺は思わず叫んだ。

(マジか?)

(今度は何年?何十年経ったんだ?)

(やっと?本当に長かったわ……)

(やっとオメー以外の顔が見られるのか……)

 俺の中の俺が口々に叫ぶ、安堵する。

 俺の目から涙が零れ落ちた。

「やっと、やっとだよ……本当に、本当に暇だった。マジで暇だった。あまりにも暇すぎて、一人でじゃんけんが出来るようになっちまったよ……」

 俺が大声で祝福の雄たけびを上げようと、両手を振りかざそうとした。

「あの、解放されて早々申し訳ないのですが、静かにしてもらえませんか?」

 そんな俺の耳に久しぶりの人の声が聞こえて来た。俺は両手を肩の高さで止めながら、その声の主の方に顔を向ける。

 その声の主は、耳の尖った青い肌をした人だった。俺はその声と、目に映ったものが他人であることに感動し、涙声で答えた。

「あ、こんにちは。いや、こんばんは?あと初めまして?誰?」



 カレイドは目の前にいる顔を涙でぐしゃぐしゃにした冴えない男を見下ろす。そんなカレイドにベルフェが小声で耳打ちする。

「本当に、この人で合ってるんですか?ペンダントが間違っていたとか?」

 カレイドが不安になりそうな顔を何とか堪えながら、ベルフェの方を向いて小声で言う。

「いや……ガロの仕事に手抜かりは無い……ハズ……だ」

 そしてカレイドは再び冴えない男の方を向いて言う。

「私はカレイドと申します。隣の男は私の部下のベルフェ。封印から目覚めていきなりで恐縮ですが、現在の状況を説明させていただきます」

 そう言うと、カレイドは目の前の冴えない男に、状況を手短に説明をし始めた。

 

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