戦争-4
アクストリウスとレオルドンがやり合っている北側の拠点に対し、南側の拠点では……
「また飛んできます!」
帝国兵の報告に対して、白魔法使いたちは集まって兵たちの前に防御障壁を張って行く。ランク10~11が中心だ。高ランクの白魔法使いは北側の戦線に集中しているので、こちらにはほとんど居ない。
高速で何かが帝国軍の方に向かっていく。スピードは落ちない。兵が弓矢で応戦するも、速度が速すぎて当たらない。そんな速度のままに、一瞬だけ軍に近づくと、突如として飛翔体から爆裂魔法が放たれた。それも一発だけでない。まるで爆撃をしていくかのような複数の爆裂魔法が帝国軍を襲う。
白魔法使いの防御障壁が砕け、むき出しになった兵たちが爆発を喰らって宙を舞う。
飛翔体はそんな帝国軍に構わず、すぐさまに距離を取る。
「クソったれ!何なんだアレは!!!」
帝国軍を指揮している将軍が叫んだ。先ほどからあの爆撃のせいで先に進めない。近くにいた白魔法使いが言う。
「恐らくランク8の爆裂です。広範囲、高火力の厄介な黒魔法です」
将軍が白魔法使いを睨みつけるように見ながら叫ぶ。
「それくらいは知っている。だが、こんな光景は今まで見たことが無い。一体どういうことだ?」
叫ばれた白魔法使いはタジタジになりながら答える。
「分かりません。爆裂魔法は強力ですが、寿命の消費も激しい。これほど連打することは通常不可能なはずです……」
そう言って、二人とも空中の飛翔体を見つめる。それは上空で旋回すると、再びこちらに向かってきた。それを見た将軍が叫ぶ。
「弓矢を持っている者は、アレに合わせろ!何としてでも撃墜しろ!白魔法使いは全力で障壁を張れ!」
俺は急降下しながら、爆裂魔法の準備をする。
「結構近づかないと当たらないのが不便だな……」
爆裂魔法は放った先で暫くしてから爆発する。そのため、範囲は広いが射程は短い。当てるためにある程度は敵に近づく必要があった。
俺は再び上空から敵軍に接近していく。飛んでくる矢の雨を潜りながら、交錯時に投げるように爆裂魔法をぶっ放していく。
接敵が終わり、俺は再び上空に出た。よく見ると、少しだけ俺に矢が刺さっている。
「相手さんも結構合わせるようになって来たな。もうちょっとちゃんと避けろよ!グリフ!」
俺は矢を抜きながら、乗っている召喚したグリフに文句を言う。グリフが少しだけ顔を傾けて答える。
「うるさい!乗せてやってるんだから、もう少し感謝しろ!」
それを聞いて、俺は少しだけ笑った。グリフならきっとそう言うと思ったからだ。
召喚体に自我はない。無いので、おれは魔の森から回収した脊柱を使って召喚したグリフに、感情らしきものを書き込んだ。
別にそんなものは必要ない。必要ないが、俺は書き込んだ。俺が書きたかったから、書いた。
「そろそろ次の作戦に移るか。良し、戻るぞ!グリフ!」
そしてグリフのモードを切り替る。俺は拠点に帰還し始めた。
俺たち王国側の戦略はこうだ。アクストリウス達が白魔法使いを引き付けて、俺が通常兵士たちに無双する。以上!
俺は白魔法使いとの戦いに慣れていない。なのでそこはアクストリウスに任せる。その間に俺は帝国軍を削る。
爆裂魔法は強力だが、範囲が広いので敵味方が入り混じるところでは使いにくい。なので、こちらの戦線では一旦軍の前進を止めて、俺が露払い的に敵軍を蹴散らしている。今のところは上手くいっていて、敵軍の前進が止まっているようだ。
俺は帰還しながら、手元の袋に入れておいた矢じりを口に咥えて、加速魔法で頭をぶっ飛ばす。俺は死んだ。
生き返った俺は、周りを確認する。グリフはそのまま飛んでいた。
俺が魔の森で検証したところ、いくつかの黒魔法は術者が死んでも効力を発揮し続けることが分かった。召喚魔法はやや特殊で、予め書き込まれた命令が完了していない場合においては、術者が死んでも解けない。
俺はこの特性を利用して、戦闘中でもデスリセットが出来るようにした。空中なら死んでも、死なないことは誰にもバレない。
乗っているグリフも死んでいるので、問題は、無い。
拠点が見えて来た。俺は少しだけ毛並みが荒れているグリフを撫でながら言う。
「よし、到着だ!」
グリフが拠点に降り立った。グリフから降りた俺は、次の作戦に移る。
俺は拠点の中にある、大きな広場に向かった。そして広場にあるものを見つめる。
「コレ、運ぶのが大変だったんだよな……ちゃんと活躍してくれよ!」
そう言って俺は、目の前の巨大な魔法陣で、召喚魔法を使い始めた。
「あの飛んでいたのがようやく居なくなったか……」
帝国の将軍が一安心したように呟いた。近くの白魔法使いもほっとしたようにため息を付く。
将軍が前進の命令を出そうと考えた、その時だった。
「大変です!」
斥候の兵士が将軍に向かって叫びながら駆けてくる。将軍はうんざりしたように、答える。
「次は……一体……なんなんだ……」
斥候は息を整えてから、報告を始めた。
「巨大な何かが、我が軍に向かってきます!」




