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王国vs帝国-2

 不安を隠さない俺の顔をみて、アクストリウスが言う。

「まあ、レオルドンほどの白魔法使いはそれほど多くはありません。帝国にいるランク7の白魔法使いは彼一人だし、帝国は目下魔王軍と戦争中なので、全戦力をこちらに割くことは出来ません。なので戦争をするタイミングとしてはそれほど悪くはありませんでした」

 魔王軍という新しいキーワードが出て来た。俺はそれについて聞いてみる。

「帝国が魔王軍と戦争していたんですか?」

 それを聞いてアクストリウスが意外そうな顔をする。

「ええ、10年ほど前から戦争をしています。師は、御存じなかったのでしょうか?」

 全然知らない。

「ええ、20年前からずっと魔の森に居たので」

 何せ話し相手はオルドとグリフしか居なかったのだ。オルドは知っていても話さないだろうし、グリフが知るはずもない。

 それを聞いたアクストリウスが驚愕した。

「魔の森に20年も!?凄い。師はやはり、私の想像を軽く超えていくお人なのですね……」

 なぜか感激されてしまった。オルドに拉致られて閉じ込められていたことは、黙っておくことにした方が良さそうだ。

 アクストリウスが安心したような顔をして続ける。

「魔の森で20年を生き抜いてこられた師であれば、戦争なんて余裕です!良し!作戦を考えましょう!」

 20年を生き抜いたどころか、デスリセットを繰り返していたので、その言葉では逆に不安となる。

 そんな俺の気持ちなど知らず、アクストリウスが逆手で握り拳を作りながら張り切り始めた。

 

 アクストリウスが城の周りの周辺地図を出しながら説明をする。

「今回は防衛戦です。我々が帝国に喧嘩を売った形になるので、彼らが攻めて来ることになります。これは黒魔法使いにとっては有利であると言えるでしょう」

 少し意外に思った俺は、アクストリウスに聞く。

「防衛戦だと、黒魔法使いのが有利なの?」

 アクストリウスが俺の疑問に答える。

「ええ。黒魔法使いの召喚魔法は強力ですが、魔法陣から遠くまで行けません。これは防衛には有利ですが、移動しなければならない攻撃に用いるには不利です。逆に白魔法は回復魔法や防御壁魔法を自在に使えるので、実は遠征向きなのです」

 黒魔法が防御向きで、白魔法が攻撃向き。これはイメージとは逆だった。そんなことを思う俺の顔をみて、アクストリウスが真顔で続ける。

「師の疑問はもっともかもしれません。王国防衛のために黒魔法を覚えるまでは、私も逆のイメージがありました……」

 アクストリウスの顔が、今までに見たことが無いような表情をしている。何となく察した俺は、少しやる気を出すことにした。

「良し!とりあえず強い召喚体があれば良さそうだ!ちょっと心当たりがあるから、俺も手伝うよ!」

 それを聞いたアクストリウスが嬉しそうな顔をする。

「……ありがとうございます!そうですね。僭越ながら私からも師に、提供できるものは提供いたします!」

 こうして俺たちは対帝国の作戦を考えながら、互いの情報を交換することになった。


 俺たちは互いの召喚用の魔法陣を見比べながら、話し合っている。

「師の魔法陣は、召喚体の個性を重視するのですね」

 ちなみに比較しているのは夜用の記述だ。

「そうですね。監督の役者に対するこだわりが強かったので……」

 ダズ先生の指示がやたら細かかったのだ。俺はアクストリウスの記述をもう一度見直してみる。

「貴方の魔法陣だと、割とこう、尽くしてくれる感じ……なのかな?」

 オブラートに包んだ表現をした俺に、アクストリウスがはっきりと答える。

「ええ!私はどの召喚体でも、同じように振舞うようにして貰っています。個性よりも、私の趣味重視です!」

 それを聞いて、俺は少し考えて言った。

「やっぱり、個性を殺して一本化した方がいいのかな?そうした方が操作もやりやすいし……」

 ちなみに、夜用ではなく戦闘用を念頭に置いている。俺の疑問にアクストリウスが真顔で答える。

「それは……個人の好みの範疇で良いのではないでしょうか?私がこうしているのは、私の趣味ですから……」

 そしてため息を付いて、続ける。

「普段から王国の面倒を見ているんです。夜まで女の面倒を見るなんて、やってられませんよ……」

 俺が見つめるアクストリウスは、疲れたような顔をしていた。そんな顔をとりなおしたアクストリウスは、笑顔で俺の方を向く。

「ですから、エメリア変身のフルセットの記述を教えてもらえませんか?私はエメリアを数人揃えて楽しんでみたいんですよ!」

 アクストリウスはとても爽やかな声で言った。

 (ブレないな、この人……)

 俺は心の中で呟いた。

 

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