表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/79

舞踏会-2

(モリガン、なぜここに?)

 戸惑った俺は、暫くの間、そのモリガンをガン見した。そしてアクストリウスに目を向けた時に、思いっきり目線が交差した。アクストリウスの顔に驚きの表情が作られる。

(ちょっとヤバい……)

 俺はそさくさとその場を立ち去った。

(考えられる可能性はいくつかある)

 歩きながら俺は考える。

(1つは、モリガンの双子とか姉妹が居た。もう1つは、俺みたいにフルセットで変身している)

 俺は足早に宮殿の片隅の、木と草むらが茂っている人気が無い場所に向かう。

(もう一つは……)

 立ち止って考えている俺の後ろから、とても爽やかな男の声が聞こえて来た。

「おや?気のせいかと思ったんだが……」

 俺はその声の主を振り返る。俺のモリガンの顔を見た、その男が答えを口にした。

「凄いな。本当に僕の召喚したエメリアにそっくりだ!」


(エメリア……確かモリガンが貴族として表舞台に居る時の名前!)

 それを思い出しつつ、俺は召喚されたモリガンを見つめる。召喚されたモリガンは変身した俺を見つめる。違うのは服装だった。俺はセクシーな黒のドレスだが、相手は薄紫色の上品なドレスだ。そんな見つめ合っている俺たちモリガンを見て、アクストリウスが嬉しそうに話し始めた。

「エメリアの脊柱は僕が持っている。エメリアに姉妹は居ない。なので君は変身している黒魔法使いだ。フルセットで変身するには整形、整声、整体が必要なので、ランクはまあ9以上だろう?」

 俺はモリガンからアクストリウスに目を移した。アクストリウスが得意げに推理の続きを披露していく。

「エメリアは表向き帝国貴族だったが、裏社会ではモリガンという名前の黒魔法使いだった。なので君はそちらの関係者かな?本当にエメリアそっくりだから、大分近い関係だったんだろうね?」

 俺は感心した。彼の推理はほぼ合っている。俺と目の合ったアクストリウスは、得意げに軽く両の手のひらを上に上げた。イケメンなのもあいあまって、異様に様になっている。

 そんなアクストリウスを見て、俺は自分の正体を明かすことにした。

「貴方が王国筆頭黒魔法使いのアクストリウス様ですね?俺の名前は……」

 と言い始めた時点で、アクストリウスが手で俺を制し始めた。俺は喋るのを止める。その上からアクストリウスが話し始めた。

「おいおい、辞めてくれたまえ。せっかくのダブルエメリアを楽しみたいんだから、もう少し役割に成り切ってくれないかな?勿体ないじゃないか!」

 イケメンの爽やかな声から繰り出されたキモイ提案に、俺はあっけに取られた。

(何だ……この人?)

 イケメンにも関わらず、女性たちから嫌な物を見る目線を向けられていた理由が、何となく分かった気がする。俺は珍獣を見るような目で、そんなアクストリウスを見つめる。そんな俺の目を見て、アクストリウスは嬉しそうな顔をしていた。


 俺は言葉に詰まった。何をどう話せばいいのか全然分からないからだ。アクストリウスは爽やかで期待に満ちた目で、そんな俺を見つめる。

(誰か……助けてくれ……)

 そんな俺の心の声を汲み取ったかのように、背後から大きな男の声が聞こえて来た。

「いたぞ!エメリア様だ!やはりこの国に来ていたのか!」

 その声を聞いて、俺は振り返る。俺たちの近くに二人組が駆け寄ってきた。

 一人は若い男だ。ダズくらいの背の高さの男で、見た感じは騎士のように見える。先ほどの大声はこの男のようだ。もう一人は若い、整った顔をした女だ。こちらも騎士のような恰好に見える。

 その駆け寄ってくる二人に対して、アクストリウスが声を出して制した。

「ハイ、ストップ!これ以上近づくのは辞めたまえ。舞踏会の客に帯刀して近づくなんて、無礼ではないかね?」

 二人組はその声に応じて足を止めた。俺は少し離れた場所に居る、若い二人組を見る。確かに舞踏会の会場であるにも関わらず武装していた。アクストリウスが続ける。

「要人の警護という名目でここに入って来たのだろうが、流石にそこまでウロウロされても困るよ。これだから帝国の者は困る。それともアレかな?我が国の宮中など、帝国の庭同然、とでも言いたいのかね?」

 アクストリウスが挑戦的な目で二人組を見つめ始めた。二人組も睨みつけるようにこちらを見つめる。

(え!?なに?この展開?)

 俺は突如として修羅場に放り込まれた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ