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師弟-1

 俺が目を覚ますと、そこはフレイヤの家のベットだった。

(あれ、俺、確か、森の主と……)

 俺は自分の手を見つめる。この手で炎撃を、森の主の口から無限に叩き込んでやったのだ。これは覚えている。その後は覚えていない。

(あれ、そう言えば、俺は、死んだ……)

 そこでハッとした俺は、部屋の中を見つめる。その片隅に、大剣が立てかけてある。

「不味い、オルドにバレた!」

 俺は思わず呟いた。キマイラ、オズロ兄弟、アルガスの顔が頭に浮かぶ。俺が死なないと分かったモノが、俺にやったことを思い出した。

「オルドを、殺さないと……」

 俺はベットから飛び降りた。そして部屋から出て行く、その時だった。

「ミスト、お前……マジで生き返ったのか?」

 後ろからオルドの声が聞こえる。俺は振り向きざまにオルドへ手をかざす。だが、俺が魔法を繰り出す前に、オルドの蹴りが俺の鳩尾に直撃した。

「オイオイ、ここまで運んでやったのに、いきなり殺しに来るんじゃねーよ」

 悶絶している俺を、オルドが呆れたような顔で見下ろしていた。


 椅子に縛り付けられた俺は、オルドを睨む。オルドはどこ吹く風といった様子だ。

「まさか死んでも生き返るヤツだったとはな。通りでランク10でも黒魔法を使うのに躊躇しないわけだ」

 オルドが俺を見つめながら言う。俺はオルドを睨み続ける。そして不本意だが、気になったことを聞く。

「ランクがなんで関係あるのさ?」

 オルドが俺に手をかざして魔法を使う。俺は急激に老化していく。俺は死んだ。


「ふざけんなよ!何しやがる!」

 生き返った俺は滅茶苦茶抗議した。オルドが面倒くさそうに答える。

「死なねーんだから別にいいじゃねーか。授業料だろ」

 そしてかざした手を見せつけながら、俺に説明する。

「これがランク9で覚えられる生命吸収魔法だ。これがあると、黒魔法使いは他者から寿命を奪うことが出来る。つまり、消費する一方だった寿命を回復できる」

 それを聞いて、俺はモリガンに殺された時のことを思い出した。確かにあの時も先ほどオルドがやったのと同様に、生命吸収魔法で老化して死んだのだ。オルドが続ける。

「黒魔法は使わないと練度が上がらない。その一方でこの魔法が無いと、黒魔法は使いづらい。だから黒魔法使いはランク9から次元が変わる」

 俺は再びモリガンを思い出した。確かに彼女はランク9を自慢げにしていたし、黒魔法使いなのに美貌を維持していた。彼女がランク9に拘ったのには理由があったのだ。オルドが続ける。

「お前がランク10なのに黒魔法を使うのを躊躇しないのが不思議だった。だが死なないと知って納得した。そう言うことだから、相手の黒魔法使いのランクには注意しろ。9以上でランクが2つ違ったらまず勝てない。そして、自分のランクを相手に教えるな!はい、授業終わり」

(クソ、思わず聞き入ってしまった……)

 俺は悔しがりながらオルドを睨む。オルドはそんな俺を見つめて言う。

「あれだけ蹴ったり殴ったりしてもどうでも良さそうだったのに、死なないと知られてからのお前の殺気がヤベーな。そんなに俺を殺したいのか?」

 俺は目で肯定する。そんな俺を見つめていたオルドが、思いついたように言う。

「よし!だったらこうしよう。俺はお前と対決してやる。で、お前が俺に勝ったら俺を殺していい。でも俺が勝ったら、お前の命を1回だけ俺が使っていい。どうだ!これで公平だろ?」

 それを聞いて、俺は変に納得してしまった。確かに条件は公平だ。俺はオルドを睨みながら言う。

「もう1つ条件を付けろ。俺が死なないことは、誰にも言うな!」

 オルドから他者に漏れたら意味がない。オルドは俺を見つめて答える。

「分かった」


 こうして、俺の命を懸けた戦いの日々が始まった。

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