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愚か者の選択-3

 俺は、二人に山小屋へ連れてこられて、柱に縛り上げられた。二人は、俺を見つめている。以前の優しそうな目とは裏腹に、今度は怖がっているような目だ。

「ギギ・ログ・デ・ズゥ?」

 一人が俺を見て、呟くように言った。もう一人が、斧を持ち出して、それに答えるように言う。

「ガ・ズ・ダッ・ガ!」

 そして斧を振りかぶると、俺の頭に振り下ろした。俺は死んだ。


 目が覚めると、二人の顔があった。恐怖から、ニヤついたような笑いに表情が変わっている。斧を持った男が、もう一人に合図を送る。おれがそちらを見ると、もう一人が矢を引き絞っていた。

 キン、という弦の音と共に、俺の顔に何かが刺さる感触がした。俺は死んだ。


 目が覚めると、二人とも馬鹿笑いをしていた。俺は思い出した。

(これ、学校に居た時でもあったやつだ……)

 二人とも弓を持ち出すと、次々に俺に撃ってきた。俺は、死に続けた。

 死にながら、俺は気がついた。

(俺は、二人の中で、人間じゃなくなったらしい……)


 それから、俺は、酷い目に遭い続けた。武器の練習に使われたり、獲物の処理の練習に使われたり、果ては化け物を捕まえるための罠の餌に使われた。

 一度助けてくれた人たちに、こんな扱いをされるというのがショックだった。これなら、まだ化け物に保存食に使われた方がマシだったかもしれない。最早、感情を動かすのもダルくなった来た。いっそ死ねたら楽なのに、死ねない。こんなのはギフトじゃない。呪いだった。

 前の世界で、死んだ後に聞こえた声を思い出す。


「本当に?死ねないのって、辛いぞ?死にたくても、死ねないぞ?」


 これは、間違いなかった。


 ある日、二人は俺の口に布を詰め込んで、頭に袋をかぶせて、ゴザのような物で身体を巻いたうえで、ぐるぐるに縛って、荷物のように荷台に積まれた。そして、そのまま運ばれた。運ばれる感触からして、結構遠いところに運ばれているようだ。

(次は……一体……なんなんだ……)

 口が埋まっているので、助けを呼ぶことはおろか、呟くことも出来ない。耳に入っていく雑音に集中する。

 最初は森の中の鳥のさえずりや、獣の声などが聞こえて来た。暫くすると、それが無くなり、ガラガラとした荷台の音だけになった。そして、次は、どこからか人の声が聞こえるようになってきた。


 到着したどこかで、俺は荷台から落とされた。周りの足音から察するに、俺を運んだ二人と、もう一人が居るようだ。運んだ二人の内の一人が、俺を立たせる。そして頭の袋を取ると、叫ぶように言う。

「ゾ・ログ・ダ・ガッ!」

 俺の目の前には、少し歳を重ねた男が居た。ローブを着て、腰に杖が差してあり、どこか魔術師のような恰好をしている。その男が、二人に言う。

「ゾ・ログ・ヌ・ガァ? ギガ・ズ・ダッ・ガ!」

 その言葉に対して、二人が斧を持ち出した。俺は、何となく状況が飲み込めて来た。どうやら、俺は、検体として魔術師に売られるらしい。その証明のために、二人が俺に斧を振り下ろした。俺は死んだ。


 目が覚めると、二人は何やら報酬らしきものを受け取っていた。少し揉めているようだったが、最後には納得して帰っていった。俺のことは、一瞥もしなかった。

 魔術師は俺を引っ張ると、建物の中に連れて行った。俺は、もう、何もかもがどうでもいい気分になっていた。

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