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第96話 苔魔猪の大主猪突猛進

泡美、ガマ、早苗、桃太郎、三上、夢原、蓬、恵

「おお!結構豊作やんけ!」


 ぶどう園に訪れたガマたちを出迎えたのは、大量に実ったぶどうたちだった。劣化したビニールハウスを突き抜けて育ったぶどうの木は、大樹のように太く、そこに実るぶどうたちは、ガマたちが普段見るような大きさよりずっと大振りだ。


「すごいな!これが自然界で実ったぶどうか!」


 目を輝かせながら、桃太郎がぶどうを手に取る。


「ずっしりとして重い。一粒一粒がこんなにも大きく立派なぶどうだ、きっと味の方も……」


 桃太郎が一口、ぶどうを口の中に入れる。丁寧に咀嚼し、味を噛み締める。


「甘い!水々しく、それでいてしっかりとした甘味と香り!生でもいけるが、絞ってジュース、フルーツ酢、ジャムにしても美味いだろうな……いや、ここは保存性を高めてドライフルーツにするのが一番か」


「桃太郎の料理人魂に火が着いたんだな。こうなったら作るまで止まらないんだな。」


「あの……そんなに美味しんですか……?毒とかあったりしないんですか……?」


「毒に関しては、大丈夫やと思うで蓬はん。」


 ガマは、近くの実をもぎ取って口へと運ぶ。


「ワイは、マッドフォレストに住んどるんやで?こっちの生態に関しては詳しいんや。ここら一帯に毒性を持つ植物はおらへん。」


「それじゃー!とっとと集めちゃおー!」


「「おー!!!」」


 ぶどう狩りを初めて数十分。採っては採ってを繰り返し、単純作業に億劫になってきた三上は大きくあくびをして両目を閉じる。


「ふわぁ〜〜」


 三上のZONE:未来視は、両目を閉じた秒間分の未来視をストックできる。三上は暇な時よくこれをして少し先の未来を見ようとする。


「いっぱい集めたんだーよ。」


「これだけあれば十分だ。あとは肉とかあればいいんだけどなあ。」


「ここら辺で食用肉やと、苔魔猪(モスボア)くらいしかおらへんからなあ。あとは食うた事があらへんからなあ。」


 ガマたちが話す側、三上に見えた未来は、未来視を繰り返した三上の予測を超えるものだった。


「蓬さん!危ない!」


 三上が走る己の体の投げ打つように蓬の体を押し除ける。そしてそのすぐのことだった。


「グオオォォ!」


 ブドウ園に咆哮が響く。その咆哮は重く、そして泡美たちを委縮させる程のプレッシャーを放つ。そして次の瞬間、蓬を庇った三上目掛けてぶどう園に何かが突撃してくる。ガマは咄嗟に弾け飛ぶ衝撃(ノックバック)で三上と蓬の元へと駆け付け、二人をを両腕に抱えて宙へと駆け上がり、その場を離脱する。


「そりゃ、そうよなあ。こんなに食料が有り余っとる場所にワイら以外いないわけあらへんよなあ!」


「あ……あれは……!?」


苔魔猪の大主(キングモスボア)……苔魔猪(モスボア)の群れのリーダー、つまりはここら一体の主や!ちいとばかし声を上げ過ぎたか、においで追ってきたかわからへんが、縄張りに入られたことにキレとるみたいやなあ……」


 ガマは桃太郎たちの下に降り、二人を降ろして苔魔猪の大主(キングモスボア)の方を見る。苔魔猪(モスボア)とは比較にならないほどの巨体と、大きな牙。ただ苔魔猪(モスボア)を巨大にしただけとは思えないほどのものを持っていた。


「僕の目がおかしいのか?あの体の構造どう見てもメカだよね!?」


「三上はんの言う通りや。あんな苔魔猪の大主(キングモスボア)見たことあらへんで!?」


 苔生した体、いやボディはまるで鎧甲冑と言うより戦車と形容するに相応しいだろう。全身を覆うように身に纏った苔生した鉄板装甲、巨大な口と牙を備えた大主(キング)がガマたちの方へと体を向き直し、まるで威嚇するかのように鼻からスチームを噴き出し、走り出す。


「こいつはワイが引き付ける!あんさんらは、何か作戦を練っとれや!」


 ガマは勢いよく飛び出し、突進してくる大主(キング)の頭部をぶん殴り、弾け飛ぶ衝撃(ノックバック)でぶどう園から引き剥がす。


「僕も力に!」


「アホ抜かせ!あんさんらのZONEで、まともに正面向かって突破できるわけないやろ!ワシが少しでも時間を稼いだるからとっとと作戦立てろやボケ!」


 そう言い残し、ガマは弾け飛ぶ衝撃(ノックバック)で飛ばした大主(キング)の方へと走っていく。


「作戦って()ったってなあ」


「どうすればいいんだーよ……」


「泡美さん、何かいい案ありますか?」


「そう言われちゃっても、私困るよー!早苗ちゃんの死者との契約(ゴーストレード)で何とかできないですかー?」


「マッドフォレストで幽霊をあまり見かけないんですよ。今いるのもここの農家さんだったっぽい人の幽霊しかいなくて……特段役に立てるような幽霊(ひと)がいないんですよ……」


「ど、どうすればいいんだな!?オイラ、作戦を立てるのは苦手なんだな。」


「あわわわわ……」


 残された7人は、ガマの期待とは裏腹にやる気がなかった。ある者もいたが、所詮はサポートよりのZONEでは、ガマの期待に応えることができないと半ば諦め状態であった。ある1人を除いて。


「作戦を考えついた。」


 三上だった。三上は、そう決意に満ちた表情でそう言った。


「こうしている間もガマは1人で戦っているんだ。僕たちは星谷や、巴さん、ガロウのように前線を切って戦えないかもしれない。でも、足手纏いになるのは違う。俺らでやれることを精一杯やるんだ!」


 三上がそう言い終わると、その場にいた全員の表情が前向きなものへと変わっていく。


「確かに、そうなんだな。」


「ここで縮こまっても、何の解決にもなりませんから。」


「それで、具体的にどんな作戦をするんだーよ?」


「いいか、これには時間がいる。まずは、桃太郎と恵は料理の準備をしてくれ。それから……」




 あいつらも、ようやっとええ顔になってきたみたいやな。ワシかて、最初に食糧班に選ばれたのは不服やった。最初からあの廃校に子蜘蛛の一匹がいたっちゅうことも知っとった。せやけど、それ以上に腹が立ったのは、他の食糧班(あいつら)の態度やった。星谷はんとキリコはんの人選は完璧やった。


 注意を引き付け、逃げや誘導にも使える弾けて混ざる泡(ミックスバブル)の泡美はん。幽霊たちから様々な情報を得れる早苗はん。料理のスキルが高い桃太郎はん。万が一の事態にいち早く気づける三上はん。対人戦闘ならこなせる夢原はん。回復役の蓬はん。そして、物資運搬の恵はん。そして、自然界経験があり、ドーピングありなら火野はんともやり合えるワシ。


 完璧な配分や、文句の付け所があらへんほどに完璧な配分やった。だが、それ故に役割が固定化されてもうた。自分はこれしかできない、他の穴を埋めたりとか、作戦建てとか、そんな器用なことはできない言うて役割にしがみつき、他は誰かがやるだろうと思考を放棄する。自らの可能性を閉ざしに行ってるのと同じや。ワシは、その変わろうとしない態度がムカついてムカついて堪らへんかったが、三上はんは、気付いとった。それなら大丈夫や、誰か一人変わろう思い始めたら、それに触発され周りも変わろうと自ら動き始める。それでええ、それでええんや。ワシのような生まれじゃあらへんのに、思考を放棄するのはもったい。


「――グオオォォ!!!!」


「そうやなあ、あいつらの頑張りを無駄にするつもりはあらへん。せやから、そう簡単に死ぬのは許さへんで?苔魔猪の大主(キングモスボア)。」

わかりやすい語尾まとめ

泡美「ー!」明るいやつ

夢原「だーよ」

蓬「……」が多め。ボソボソ言ってる感じ

恵「だな」


学祭のサークルの出し物でAFOのコスプレをすることになって衣装を作り、サークルに参加して妖怪ウォッチで遊び、大学の課題で小説を二つ書き、四人で考えるレポートを1人で考えながらなろうの執筆を合間合間で進める……アイディア湧くけど執筆時間が足りねぇよ!


そのうち超短編2500字くらいの大学の課題のやつ出す。


追追記

Z-A楽しすぎて執筆できないんだけどwwwwwwwww

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コセ…ヨコセ…(テスト期間は駄目といわれてしまった亡者)
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