第86話 科学の力ってすげえー!!
キリコ
[2215年 4/25(木)]
キリコ
「明日、お父様の研究所に来てください。」
星谷
「明後日に回せたりできるか?」
「元々予定が入ってる。」
キリコ
「拒否権はありません。」
「これはDr.カウザーからの命令です。」
星谷
「わ、わかった。」
「とりあえず、明日行けばいいんだな?」
キリコ
「はい」
黒条牙狼
[2215年 4/25(木)]
星谷
「ちょっと呼び出し食らったから明日の練習パスできるか?」
黒条牙狼
「龍之介には伝えたか?」
星谷
「それはもう伝えた。」
「明日、カウザー先生の研究所に行く。」
黒条牙狼
「何だ?また武器を作ってもらったのか?」
星谷
「なんか、怒ってるぽい。武器かもわからん。」
「正直怖い」
「てな訳でよろしく。」
朝起きた時は、生きた心地がしなかった。何かやらかしたのではないか。もしかしてUSBの中に変なウイルスとか入ってたのかと不安に体をビクビクさせながら、キリコの横を歩く。
「なあ、俺何かやらかしたか?」
「知りません」
「怖い事になってる?」
「知りません」
「大変なことになってる?」
「知りません」
「怖い!怖い!!怖い!!!」
エレベーターに乗り、研究所に降り、カウザー先生がいるであろうビルのような建物の一室に通される。社長室のような作りの部屋の奥に鎮座するカウザー先生の姿は、いつもに増して不気味さが五割増し、逆光に当てられているせいか、元々読み取れない表情がさらに読み取りづらかった。
「カウザー先生、俺...…」
「星谷君...…」
「ひゃい!」
恐怖からか、声が裏返る。冷汗が頬を伝ってくる。怖い、今すぐにでもここから抜け出したい。そう心の中から叫んでいる。
「この前受け取ったUSBについてですが……」
「本当にすいませんでした!!!!」
俺はその場で土下座をする。緊張のあまり、まるで亀のように素早く全身を引っ込め土下座の形を空中で取り、ストンとそのまま重力落下で床に伏せる。わざわざ、こんなことをしなくてもいいと思う。だが、既に恐怖でどうにかなりそうだった俺の体は、意志とは関係なくそれをしていた。
「顔を上げてください。」
恐る恐る顔を上げ、カウザー先生の顔を見る。映し出されていたヘルメットには、(^^)こんな感じの絵文字が映し出されていた。もしかして怒ってない?
「このUSBに入っていたのはEDEN財団の兵器データ。それも直近に作られた鎧亜アーマーなるものの設計データでした。よく、このデータを入手できましたね?入手経路を詳しく教えていただけますか?」
声のトーンがいつもより低い。まだ怒っている訳じゃなさそうとは限らない。慎重に言葉を選ばないと
「ナンデモートっていう何でも屋に俺宛で預かってるって言われてもらったんです。それ以上は何も知らないです。はい。」
ナンデモートという単語にカウザー先生が反応する。
「おやおやおや、ナンデモートでしたか。そこからなら納得はできます。あそこは情報屋としても活動しています。あそこ経由であるのなら、EDEN財団に潜入調査しているハンターからのリークかもしれませんね。ハンター関係者に情報が渡るようにするのであれば、狩人育成高校に通い、私たちと接点があるあなたに渡っても不思議な事ではありません。よく届けてくれましたね、星谷君。」
声色が普段ものに戻っている。どうやら怒ってないようで安心だ。よかったー殺されると思った。「お前も実験材料にしてあげましょうか?」とか言われるかとひやひやしてた。
「それで、折り入って相談なのですが、星谷君には、鎧亜アーマーのテストプレイヤーになってほしいのです。」
「テストプレイヤー?」
そう疑問に思っていると、部屋の扉が開き、千の貌持つ化身がケースのようなものを持ってくると、中央に置かれたテーブルの上に置いていく。
「さあ、開けてみてください。」
「こ、こいつは!」
中に入っていたのは、白い鎧だった。全身を守るようなフルプレートではなく、胸、背中、肘、腰回り、膝、ふくらはぎ、足ぐらいのパーツしか入っておらず、関節部分に関しては赤いボルトのようなデザインしているし、背中に至ってはライフルみたいなものが付いている。
「これが磑亜アーマー?」
「まあ、一度服の上からそれらのパーツを取り付けて見てください。」
促されるままにパーツを取り付けていくと、服の上からだと言うのに、鎧は全く動かず、ズレない。そして何より軽い。
「何だこれ!?服の上から簡単に付けられるぞ!?それに軽い!」
「これの名称は、磑亜アーマー・ゼロ。他の強化装甲が一点特化なのに対して、この強化装甲は汎用性が高く設計されています。重量も然程重くなく、軽量でありながら防御力が高い。背面には着脱可能のビームライフルも装備してあります。もちろん、あなたの持つ機械剣やマンティスガントレットとも併用できますよ。」
「マジかすっげえー!!!俺なる!テストプレイヤーになるよ!カウザー先生!」
「いい返事です。この磑亜アーマーは、まだ量産できませんが、量産が可能となれば、今後のハンターの標準装備として名を馳せるでしょう。そのためにもデータが必要です。あなたの戦闘データを元に改良を加えながら製品版として今後ハンター内で販売する予定になりますが、よろしいですか?」
「ああ、全然構わねえ!」
「それはよかったです。今度の課外学習で大いに役立つと思いますよ。」
「先生に聞きたいんだが、今度の課外学習でマッドフォレストに行くだろ?具体的に何をやるんだ?」
「そればかりは秘密です。そちらの方が楽しいでしょう?」
「それはそうか。」
「ですが一言だけ、今回の課外学習について忠告をしておきます。」
「忠告?」
「敵は、自然界だけではありませんよ。」
鎧亜アーマー
EDEN財団が試験的に運用している、普段着の上から取り付けられる、外付け強化装甲である。装甲にはゼロ、イェーガー、パンツァー、シュナイダー、などの役割に応じた強化装甲がある。開発者は、静寂縁。三区に訪れた火野の戦闘形態を一目見た時から、その圧倒的な戦闘力を再現したいと思い、中級職員に昇格したことで開発がスタートした。初の装着者は閻魔であるが、閻魔は一度使った後、二度と着ることは無かったため、EDEN財団の戦闘員の装備として運用し、利便性を追求した結果と量産化の影響、モノノケの猫又の協力もあり、その他形態をオミットした、通称:オミット版が製作された。EDEN財団で使用されるのは、オミット版のみであり、この際に外付けの使い切りタイプへと改修された。製作コストは低い。
鎧亜アーマー・ゼロ
白を基調とした強化装甲であり、他の強化装甲が一点特化なのに対して、この強化装甲は汎用性が高く設計されている。重量も然程重くなく、軽量でありながら防御力が高い。背面には着脱可能のビームライフルを装備しており、バランス型。
オミット版とも呼ばれているが、EDEN財団で製作された物と比べ、カウザー作であるため頑丈であるが、その他強化装甲も基本は“使い切りタイプ”であるため、高頻度の使用にはそれなりの金がかかる。
ゾイド/ZERO、特にライガーゼロが好きなんです。
自分で書いててあれだけど、主人公の強化イベ多く無いか?




