第8話 編入試験は楽勝?
「なあ、帰るんじゃなかったのか?あの雰囲気なら帰るのが筋じゃないんか?」
タクシーに乗せられて着いたのは学校だった。
「しょうがないだろ?学校に通わせる資格は得たけど、お前の学力が未知数。義務教育も受けてないんだろ?だから一度学力テストするって。」
「えーめんどくさいー」
「つべこべ言わずにとっと行くよ」
タクシーから降りて学校の正門らしき場所に着く。門には狩人育成機構設立高等学校と書かれていた。
「ここが狩人高校、狩高ね…」
火野に連れられ校舎の中に入ると、校長室に通された。校長室の扉を開けると校長先生らしき人物が椅子に座っていた。
「君が話に聞いていた編入生だね。名前は確か…」
「はじめまして。星谷世一といいます。」
「そうそう、星谷君だったね。はじめまして、私はこの狩人高校の校長を務めている天野晶です。こんな遅い時間に来てもらってすまなかったね。まあ座り給え。」
「いえいえ、とんでもないですよ校長先生。こちらも日の出の時間帯は用事が立てこもっていたので。それで学力テストというのは一体何時受ければいいのでしょうか?」
「それならこの後に行うよ。」
「では何故、俺との面会を?」
「校長先生として新しく入る生徒とは面識を持っていないといけませんからね。範行君からは君の話を聞いているが私自身は君のことについて何も知らない。だからこうやって面会をしているのだよ。」
「なるほど。では俺はテストまでの間を何をすればよろしいですか?」
「そうだね、この学校に入りたい志望理由でも聞かせてもらおうかな。」
「わかりました。俺がこの学校に入りたい理由はハンターになりたいからです。」
「何故ハンターになりたいのですか?」
「俺は物心ついた時から一人でした。毎日生きるにも必死、バイトをしようにも経歴不詳、住所不詳、身元不詳の三連続でほとんど受かりませんでした。でも、ハンターは違う。実力さえあればいい。全部ない俺にとっての最後のチャンスがハンターになることだったんです。」
「なるほどね。そこまでしてハンターになった後に君はどうなりたいんだい?」
「どうなる…?ハンターになることばかりを考えすぎて、考えてもなかった……」
「明確にその後までを決めている生徒というのは君も含めて多くいる。今はまだ決めれてないというのなら、この一年間で見つければいい。」
「この学校でって?」
「それでも、一つの高校としては君のその熱意だけで編入を許すことはできない。だから…」
「テストを受けると…」
「その通り。面接は以上だ。」
「え?これ面接だったの!?」
「君の人間性と志望理由を見るための面接だ。」
「言葉遣いとかで減点とかは…?」
「そんなことしませんよ。中身を見ているのですから。テストは隣の生徒指導室で受けてくださいね。全部で5教科ありますから。」
「筆記?それともマーク?」
「もちろん、筆記です。」
「テスト時間は?」
「君の自由です。問題を全て解き終わったら次の教科に移って構わない。全教科終わったら職員室まで届けてくださいね。」
説明を受けた後、星谷はすぐさま生徒指導室に向かう。その後、約一時間ほどした後に職員室にテストを届けて待っていた火野と一緒に今度こそ家へと帰った。
「ただいまー」
家に帰るとガマとキリエが夕飯の準備をしていた。
「おっ、帰ってきたな。学校の下見というか、学力テストとか受けたんやろ?どうやった?難しかったか?」
「ぜーんぜん」
というのは嘘である。高校三年への編入試験に加えて義務教育も受けていないので、一般人目線からは、アホみたいに難しい難易度のテストであった。言うならば、高校二年生までの範囲を凝縮した後に大学の入試問題をちょろちょろっとトッピングした二郎系テストだった。
「面接とかはしたんか?」
「それっぽいことなら」
「それっぽいことなら?」
「志望理由とか」
「ちゃんと面接やんけ。」
「それも面会という建前の下行われたから、最初は面接だなんて思わなかったぜ。」
「それは大変やったな…って何持っとるんや?」
ガマの目線が俺が腰にぶら下げている武器に向かう
「その武器どないしたんや?」
「あ、これ?」
俺は武器を取り出してガマに見せつける。
「えーっと……製作者……本多製児ィ!?!?お前なんちゅうもん持っとるんや!?」
ガマは目を見開きながら武器をまじまじと眺めると星谷に詰め寄る
「これどないしたんや!?まさかとは思うが、お前…盗んだんか……?」
「んな訳あるかい!ちゃんと作ってもらったんだよ!!主に火野さんが大金叩いたんだけど…」
固唾をのみ込みながらガマは恐る恐るその値段を聞く
「それ大体、どのくらい使ったんだ…?」
「練習用のやつと合わせてざっと一億」
ガマ、キリエ「一億!?!?」
料理に専念していたキリエも思わず口にして驚き、話に食らいついてくる。
「それどんな性能してるの?」
「それは秘密だな」
俺はその問いを軽くあしらう。
「聞きたい??」
「いくら積めばいい?」
「今夜のから揚げ二つ追加で」
「くぅーーっ!!乗った!!」
ちょろいなこのツンデレ
職員室で採点をしている先生方
「ちょっとこの子ヤバくね?」
「全教科ほぼ9割正解してる。」
「国語94点、英語は90点…」
「数学、理科、社会に至っては満点叩き出してるよ……」
「うーん、文句なしの合格!!!」