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第76話 小休憩

「今帰ったでえ……あんさんらまだ飯食うてへんのか?」


 キッチンに立つ俺たちの姿をニヤニヤと見ながら、ガマはソファーに腰を掛ける。


「ガマ!いいところに帰って来たな!ってか大丈夫かその怪我、服もボロボロだし何かあったのか?」


「いや、大したことあらへん……お!ようみたら、ちゃんと何か貰っとるな。」


「ああ、キリエからペンダント貰ってな。悪いなガマ、ペンダントは二人分しかないんだ。」


「妙に鼻につく言い方やな。せやけど、キリエもだいぶ雰囲気良くなったんとちゃうか?普段に比べて明るく見えて印象ええで。」


「ありがと。」


「それにしても、ええ匂いやな。何作っとるんや?」


「さいころステーキよ。星谷が肉食いたい、肉食いたいってうるさかったから仕方がなくね。」


「こっちは樹海で死闘を繰り広げてたんだ。怪我自体はすぐに治ったんだが、何より血が足りねえ。タンパク質と水分を取りたくてしょうがねえんだよ。」


「そういうの早く言いなさいよ!」


「あっ、言ってなかったか。」


「そういえば、今日キリコちゃんたちと買い物行ってる時にまた志治矢に遭遇しちゃって、ジョーカーが運良くいたから助かったけど、危なかったのは確かね。」


「はあ!?EDEN財団に絡まれてたのかよ。災難だったなそりゃ……」


「ワシもやな、旧友に会いに行ったら知らん奴にタイマン挑まれて大変やった。あそこは血の気が多くて困るわ。ホンマに今日全員不幸過ぎないか?」


「言えてるな。でも、こうして飯を囲めてるから、俺はうれしいよ。」


「そうやな、いつ死んでもわからへん世界でこうして飯を囲むちゅうこと以上に幸せなことはあらへんかもなあ……」


「よしっ、できた!ガマ、皿運ぶの手伝ってくれないか?」


「そんくらいお安いご用やで。」


 ガマはソファから立ち上がり、キッチンの方へと足を運ぶ。そして、星谷の前に来た時。ガマはとてつもない衝撃を受ける。


「しっぽが生えてるやと!?どうないしとんやお前の体!?」


「どうだ?かっこいいだろ!」


「そんなワンコみたいな振り方されてもなあ、説得力あらへんで?かわええとしか思えへんぞ?」


「くそっ!キリエにも同じことを言われ、同じ男子であるガマにならわかってもらえるとウキウキしながら待ってた俺がバカみてえじゃなぇか!」


「知識方面以外ならあんた結構バカよりよ?」


「辛辣ぅ!いいもん、オレ、ニククウ。ハラミタシテ、オナカイッパイニスル。」


「制御効かへん狂戦士の弟みたいに喋っとるやん。まま、そこらへんは夕食を食べてからじっくり話そうや。情報がパンクしてお腹一杯になる前にな。」


 そうして、俺たちは飯を食べ終わった後、リビングのソファに座って話し合うことになった。


「それでや、星谷の出会ったアドなんちゃらもかいうもんは、クリーチャー側のドンっちゅう認識でええか?」


「あらかたその認識で間違いない。まだあいつには自然界でしか会ってないが、いずれは区にも来る可能性がバカみたいに高い。あいつの行動理由は人間を滅ぼすことなのも間違いはない。」


「でも、なんでそんな厄介なやつがあんたのことを付け狙ってるのよ?何か心当たりとかないの?」


「あることにはある。だけど、言語化するのが難しすぎてどう言えばわからない。」


「それはええわ。どっちにしろアドなんとかは、人間を滅ぼすつもりなんやろ?ほなら、そいつをぶっ倒せばええ。そうやろ?」


「あいつの強さは火野さんレベルの化け物だ。俺だから手加減されてただけで、俺以外なら躊躇なく一瞬で殺してくると思う。」


「ほーん、せやかて星谷、そいつがまだお前のことを殺せてへんちゅうことは、遭遇したあとに抵抗はできたんやろ?」


「まあ、そういうことになるけど。」


「まま、一旦その話は置いとこうや。今1番気になっとる星谷はんの生えた尻尾のこと話そうや。」


「俺にもついにZONEが発現しました。」


「名前はわかっとるんか?ZONEの名前は発現時点からわかるはずやで?」


「ZONEの名前か……あれ?わからない?」


「普通そんなことある?いや、あんたは普通じゃないから常識が通用しないのも頷けるけど。」


「なんですか?いじめですか?」


「ほなら、今から命名するか?」


「能力がわかってない以上、名付けもクソもねえだろ。明日くらいに色々試してから決める。」


「そうやな、球技大会の練習もせなあかんし、明日の練習の時に色々試すのもアリや。」


「そっか!明日は練習だったな。午後からだっけ?」


「確かそうだったわ……午前中どっか行くつもり?」


「ちょっと売りたいものがありまして。」


「ふーん。まあ、いいけど13時には総合グラウンドに来れるようにしておいてね?」


「わかってるって。んじゃおやすみ。」


 俺は早めに家を出るために床に就く。











 狩高3-A(28)


[2215年 4月21日(日)]


カエル 

「じゃじゃーん」0:00

「(星谷の腹出し抱き枕風寝姿+しっぽの画像)」


ひな

「保存しましたわ」0:00


アンディー

「速すぎワロタwww」0:01


ひな

「非常に破廉恥(ドスケベ)でしてよ。」


ひのとも

「こんな時間に何を上げてるかと思ったら、コスプレさせてんの?」


夢原

「えっちだぁ」


ドラゴン竜

「しっぽ仲間が増えた!?」


呂布

「ヒヒン!」


カエル

「ドラゴン竜

「しっぽ仲間が増えた!?」

ご名答や。星谷にもZONEが発現したで」


未来

「ついに星谷にもZONEが発現したのか。」


恵えもん

「おめでとう」


ピーチ丸

「そいつぁめでたえ!今度赤飯と鯛もっててやる!」


三久

「おめでとう!!!」


キリコ

「爬虫類の尻尾のように見えます。」


キリエ

「触った感じ結構重い。」


カエル

「バカ!セッティングしたのに精一杯やったのに、感覚が繋がっとって起きたらどないすんねん!」


アンディー

「ヒロインとのイチャコラに枕カバー風の寝姿。ドスケベポイント五億点。これ商品化しましょう。」


SASAKI

「それ誰が買うんでござるか?」


アンディー

「欲しそうな人の目星はついてるよーん。」


キリエ

「私はいらないわよ」


アンディー

「あらやだ!一番欲しそうな人が何か言ってらっしゃいますわ!」


キリエ

「ペンダント付けてるでしょ?」


アンディー

「まさか……できてるというのか!?」


キリエ

「さあ??」


アンディー

「ムッキー!!!!!リア充滅ぶべし!!!!」


カエル

「なんか尻尾縮んどる。いや、引っ込んで消えとる!?」


キリエ

「本当にトカゲの尻尾だったの!?」


デュエリスト

「夜中にうるさいZE☆」










 同時刻。EDEN財団治療室。志治矢ノエルは、無理した体を治癒薬が入った浴槽に入り癒していた。


「随分と速くやられたねえ志治矢君。」


 治療室の扉を開けながら孔雀真白が部屋へと入り、志治矢の近くにあったイスに腰かける。


「君がボロボロの状態で書き上げたレポートを見て、ひどく驚いたよ。まさか、あの裏切り者の血と私の研究成果を受け継ぐものがいたなんてねえ。あの時回収しようと探したっきり忘れてたが、こんな風に見つかるとは思ってもいなかった。」


「私も彼女と話すまで気づきませんでしたよ……彼女をどうするつもりで?」


「ま、ほっといても別に構わないけど、処分できるならしたいというのが本音だ。だが、今はそれよりも取り戻したいものがある。いずれ王に返り咲いた時に実行しようかな。」


「ムッシュ孔雀、あなたならそうするでしょうね。それでその実行日というのは……?」


「私を、私の区だったはず区から追放された日だよ。」

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