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第7話 下準備は大事

 元部さんが居なくなった後、火野さんに気になったことをは聞いてみた。


「あの時さらっと流されてたけど、狩人階級(ハンタークラス):EX(規格外)ってなんだ?聞いたことねぇぞ、そんな階級。」


「ハンタークラスは基本E+〜A+に分けられるのは知ってるよな?」


「ああ、一般的にA-以上からがプロハンターって言われてるのは知ってる。でも規格外ってなんだ?」


「ハンタークラスでの判別ができないハンターに割り振られる特別な…いや、ぶっちゃけちゃうか。EX(エクストラ)クラスは現代最強クラスのハンターの集まりだ。A+の中から上位数名の猛者や規格外すぎるZONEを持つハンターがEXとして抜擢される。例えばZONEで言ったら時を止めたりする能力は必ずここにぶち込まれる。」


 あれ、火を操る操作系じゃなかったっけ?それなのにEXは…


「火野さんのZONEって火を操るZONEですよね…?」


「ん?ああ最初に会ったときはそれだけで十分だと思ってたからな。私のZONEはちょっと中二病臭いんだが、ZONE:紅蓮の鬼魔王(ラヴァル)というZONEなんだが肉体系ZONEのくくりに入るんだが他の系統のZONEの性質も持ってるんだ。」


「なにそれ面白い詳しく」


「簡単なイメージで言ったら、ファンタジー作品であるような火の魔王みたいな。」


「すっごいつよそう(小並感)」


「火を操り、まるで鬼のような身体能力の向上。状態異常を引き起こすようなZONE無効や、挙句の果てに武器まで変化しちゃうから……」


「なんですかー!そのチートZONEはぁーーー!?!?!?」


 神は何て不平等なんだ、幼馴染持ちの最強ZONE持ち美女とかどうやって勝てと?


「そういえば、弟子にするとかなんとか言ってたけど具体的にどんな修行するんですか?」


「それは学校に任せることにした。」


「えぇー」


「大丈夫だ。私はその学校の教師でもある。」


「なら一応師弟関係にはなるのか…?てか学校で何するの?」


「まずハンターになるための基礎知識やその応用。普通に勉強。戦闘訓練にサバイバル訓練、七区周辺のパトロールや慈善活動……」


「やってること地味すぎやしませんか。」


「まあとにかく、明後日くらいには学校に行けると思うから。それまでは、バイトとかしててくれれば」


「えーちょっと暇すぎますってそれは!!!」


 ゴールテープを一緒に切りたいと言ったことをすぐに後悔することになったが、学校にはZONE持ちは半数以上を占めるだろうし。武器の一つや二つほしいものだ。


「あっ、そういえば言い忘れてたことがあった。星谷、これから自然界に入ることを許可する。」


「えっ?いいのか?」


「お前は元部と同じくらいの実力だってのはお前の戦いを見てわかったし、武器さえ整えば自然界でもやっていける。」


「それは俺も思ってたんだよな。でも武器って高いだろ?」


 クリーチャーとの戦闘にはZONEもそうだが、武器も欠かせない要素の一つだ。

 あの時は手製の木でできた槍だった。小動物は狩れるだろうが、クリーチャーとの戦闘は想定してなかったし、というか区の周辺にいること事態がおかしい。


「そうだな、暇なら今から買いに行くか?」


「まじで!?」


「資金については心配するな。」


「どんだけ予算があるんだ?」


「ざっと一億」


「さすがハンターランク規格外、金も規格外だー」


「それじゃ七区に行くぞ。それと後これも渡しておかないとな。」


 火野らカードを投げ渡す。


「これってパスポートか?」


 そっか、俺もそういえば軽く犯罪犯してるんだった。


 区の移動にはパスポートが必要になる。その理由は至極単純。クリーチャーの侵入を防ぐためだ。区というのは、現在の日本は第三次世界大戦後の自然界の出現などによる地殻変動が原因で生存箇所が極端に狭まった。そのため人々はバリケードや地形を利用した新たな住処。


 俺が住んでた七区は、過去の日本における愛知県、刈谷市に該当する七区は大きな切り株のような巨大な岩石の上に作り上げられた区である。


 七区の広さは50.45キロ平方メートル、地上との距離は50メートルほどであり、一般のクリーチャーなどはここにはこれず、飛行能力を持つ、あるいは、絶壁を登り区へと侵入する。そのため比較的安全な区ではある。七区に出入りするためには七区の所々に設置されているエレベーターを起動する必要がある。その起動に必要になるのがこのパスポートである。


 火野さんと共にエレベーターに乗って七区へと移動する。エレベーターに乗っている間に火野さんから質問があった。


「希望する武器種はあるか?」


「別に特にはないかな。」


「武器はあの槍と二刀流以外に使える武器はあるか?」


「思い当たらないな。あの二刀流も別に初めて使ったし…」


「あのレベルの剣技を初見で行うか……星谷もしや技能系ZONEなんじゃ」


「そうなのか?実感湧かないんだが…」


「技能系のZONEは発現がわかりにくいってのがあるが、ZONEは発現していれば潜在的にわかるものだ。星谷にそんな感じがしないなら、凄い才能ってことになるな。」


「そんなので片付けていいのだろうか…?というか、武器を買いに行くって一体どこで買うんだ?七区といっても沢山の武器屋があるぞ?」


「着けばわかるさ。」


 エレベーターから降りて七区を進み、町から少し離れた農業地帯のようなところまでタクシーで移動して目的地の近くに着いた。


「こんな偏狭な場所にあんのか?こんなのとこに武器屋があるなんて聞いたことねぇぞ?」


「そりゃ、一部の人間しか知らない初見さんお断り。というか、ハンターじゃないと入れない武器屋、いや鍛冶屋だからな。」


 タクシーを降り、道を歩いて数分。


「ここが目的の鍛冶屋だ。」


 鍛冶屋「本多」と書かれた古臭いというか、江戸時代?とかにありそうなそんな感じの看板が取り付けられた一軒の古民家のような建物の目の前で火野さんが立ち止まり指さす。


「ここが…」


「たのもー!!!」


 風情ある建物に若干見とれている自分の隣で火野さんが返事をするが


「……」


 返事が返ってこない。引き戸を引いて中を確認するとどうやら先客がいた。


「悪かねえ、いい出来だ。先代様も、ようこんな代物作ったもんだ。」


「それで、ボクの武器はちゃんと直せたのかい?」


「あたぼうよ。依頼されれば礼を尽くしてモノを造り、直す。それが鍛冶師の仕事、いや…(オレ)(さが)ってもんだ。」


「うん、ばっちり♢支払いは、いつも通り小切手でいいかい?」


「ああ、そいつで頼む。」


「それじゃあ、ボクはこれで♤次も頼むよ♧」


 ジョーカーは受け取った鎌を背中に携えて店を後にしようとカウンターから立ち去ろうと入り口に向く。そして、俺と目が合う。


「あっ…」


 俺は咄嗟に入り口から離れると


「おや?子供とは珍しいね♧新入りかい?」


 先ほどまでジョーカーがいた場所から一瞬で俺の背後を取る。


 速っ!?初めて会ったってのにヤバさというか、只者じゃない感がすごい。これがプロハンターか……


「い、いえ。俺は師匠と試験のための武器を……ってあれ?」


 師匠の姿がない。というよりも、この場にいない。外にでもいるのか?


「なるほどね、キミはまだハンターじゃないのか♢キミの年齢から察するにそろそろZONEの方も目覚めてる頃合いだ♤」


「それが、自分でもよくわからなくて。」


「うーん♧それじゃあ、ボクが占ってあげるよ♡」


 ジョーカーはどこからともなくカードを取り出して確認する。


「マジシャンの正位置、意味は……才能か…♧キミがZONEに目覚めてないのは、キミ自身の才能に気づいていないから♤」


「ごもっともです…」


「しかし、その片鱗は見え始めている♢」


「え?」


「キミの師匠さんが同行できる問題かは分からないけど♢ZONEについてもっと学びたいのなら、火野くんに話を聞いてもらうのが一番かもね♧これ渡しておくよ♤」


「これは?」


「火野くんの名刺♪」


 ぶふぉっ!?いきなり渡してきた。これやっぱり付き合ってんのか?名刺すぐ渡して俺様のアピールか!?


「それじゃ、ボクはここで♢」


 ジョーカーが店を出て行った後、どこかに隠れていたであろう火野が戻ってきた


「それが幼馴染と会った時の態度か?まるで家族と買い物しに行ったら友達と会った時の気まずい感じみたいになってるけど」


「だって、会うのも久しぶりだから、もっとちゃんとした格好で会いたかったっていうか…」


 もじもじしている火野を置いて先に店の中に入る。


「いらっしゃい…ってただのガキじゃねえか。帰んな坊主。ここはお前さんの来るようなとこじゃねえ」


 そう言ったのはカウンターにいる赤髪の青年だった。


「なんだお前?店長に武器作ってほしんだ。カウンターにいる奴じゃなくてさ」


「その(オレ)が店長なんだが?」


「そんな訳あるかよ」


「だから、儂が店長だって言ってんだろ?」


 そう言い合っていると火野が入ってくる


「やあ本多店長、こいつは私の弟子でね。こいつのために武器作ってもらいに来たんだが。」


 火野のその言葉に青年は態度を改める


「なんだ、本当に客だったてのか。すまなかったな坊主。(オレ)の名前は本多製児(ほんだせいじ)、この店で鍛冶師やってる。」


「俺の名前は星谷。あんたに武器を作ってもらいたくて来た。」


「星谷って名前ね、それでお前さんは何の武器を作ってほしいんだ?ZONEに合った武器か?それとも自分のZONEを使った武器か?」


「ZONEを使うって、そんなことできるのか!?」


「ありゃ?そういった武器が欲しいんじゃないのか?」


「そういえば細かいことは説明してなかったな。ここ武器屋:本多はZONEの能力を付与した武器を作ってくれるところだ。」


「そういうこった。儂のZONE:萬鍛治(よろずかじ)を使って作った武器は材料に使用したZONEを付与できる。そんでもって、お前さんはどんな武器が欲しいんだ?」


「俺、未だに自分のZONEが何か分かってないんだ。だから、どんなZONEかわかっても使い続けれる武器が欲しい!」


「つまり、儂に型の無い武器を作れと?」


「頼めるか?」


 少しの沈黙の後に本多は笑う


「はっはは!そんな武器を作ろうだなんて考えたこと無かったぜ!儂としても作ることに断然興味が湧いて来やがった。いいぜ星谷、お前のその依頼しかと承った!ってな訳でお前さんちょっとこっちにこいや」


「は?え、ちょ…え!?」


 首元から鷲掴みにされながら作業場らしきところへと引っ張られる


「おい本多!ちょっと放せよ!」


「馬鹿言え、お前がいないと設計も何もできねえだろうが。火野、この坊主半日ほど借りるけどいいか?」


「思う存分アイデアを絞り込んでくれ」


「そいつぁ助かる」


「ちょちょ待てって!火野おおおおお!!!」


「good Lack」


 そう火野は言い、一億入ったケースを残し去って行った。かという俺は本多に連れられここから約半日の間付き合わされた。






「よ…ようやくできた…」


 半日の間試行錯誤し、本多と確認を取りながら作り上げた、世界に一つだけの俺の武器ができた。


「とりあえずは満足できるものが作れたぜ。代金の方も…お、火野のやつ置いてあるな」


「今日はありがとな。おかげで学校での心配も無くなったぜ」


「学校って言うとあれか、狩高か?」


「狩高?」


「お前が言ってる学校ってそこじゃないのか?」


「そうなのか?」


「とにかくだ、最高の出来のもんを作ってやったんだ。しっかりと使いこなしてやれよ?」


「応!」


 そう話していると火野が戻ってきていた。


「どうだ?武器の方は?」


「バッチリだ!」


「そうか、じゃ、家に帰るぞ。本多、今日はありがとう。」


「いいってことよ。儂も久方ぶりに楽しい仕事をやらせてもらったからな」


「今日は本当にありがとうごさいました!」


「応よ!また来いよな坊主。今度は一人の狩人としてな」


「わかってらぁ!」


 俺は本多から渡された武器を持って、火野と家へと帰っていった。

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