第64話 誰が為の裁きの鎖
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「おれは 投稿画面の前で投稿のボタンを押したと思っていたら、いつのまにか投稿時間は過ぎていた」
な…何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
青薔薇の麗人は、冷たくも鋭い視線でガマたちを睨みつける。その顔色は、いつもと変わらない顔であるが、怒りとも憐みとも違うオーラがにじみ出ていた。
「やるなら、外でやろう。」
「ええで、やったるわ。」
ガマは、胸ぐらを掴む手を振り払い、同じく鋭い目線で睨み返す。四人は外にでて、河川敷へと移動する。互いに距離を離し、キリコの掛け声で始まる。
「相手が降参するまで喧嘩を行います。両者、見合ってください。」
「喧嘩にルールとかいるか?」
「さあ、掛かって来るがいい。」
来いと言わんばかりのジャスチャーでガマを挑発する。
「本気で行くで!ワイが勝ったら、あんさんと星谷はんの関係と、星谷はんに何を話したのか聞かせてもらうで!」
地面を蹴り、弾け飛ぶ衝撃を発動させ、ガマは高速で間合いを詰めながら、蝦蟇の三叉槍を取り出し、突きを入れる。しかし、蝦蟇の三叉槍は神楽坂の胸の前からピタリとも動かない。
「無駄だよ。」
「なんやと!?」
鎖が、蝦蟇の三叉槍を絡め取り、攻撃を防いでいた。
「何や、この鎖は……?」
ガマ、鎖を観察するとそれは、神楽坂の背中から伸びていることに気づく。その数は12本。剣の刀身のような切っ先を持ち、先端は金色、鎖部分は銀色に輝いていた。攻撃を止められたガマだったが、ガマはニヤリと笑う。
「無駄なのは、あんさんの方やで!」
ガマは、蝦蟇の三叉槍の槍先から針を発射する、神楽坂は気付かずに被弾し、弾け飛ぶ衝撃が発動する。神楽坂は、突如として喰らった攻撃で鎖を緩めてしまう。
「もろたで!」
それを見過ごさなかったガマは、さらに足を踏み出し、槍の先が神楽坂の胸辺りに触れる。しかし、次の瞬間、ガマは攻撃の動作のまま神楽坂の後ろに立っていた。
「すり抜けたんか!?」
「さあ、どうだろうね?」
惚けた顔をした神楽坂は、12本の鎖を束ねた一つの巨大な鎖をガマへと向かわせる。ガマはこの体勢からは避けることは無理だと判断する。
「避けられへんのなら、弾くまでや!爆ぜろ!弾け飛ぶ衝撃:空気雷!」
ガマは攻撃に合わせて握り拳ではなく、ボールを受け止めるような形で手のひらを向け攻撃する。攻撃に対する攻撃によって弾け飛ぶ衝撃の発動条件が満たされ、ボールを掴むように空気が圧縮されていく。ガマは、空気は圧縮することで空気分子の運動エネルギーは大きくさせ、圧縮熱を生み出す。そして、 ぎゅっと凝縮された空気を放出し、手のひらから地雷のような爆発を引き起こす。爆発の風圧で鎖は弾かれ、神楽坂は笑みを浮かべる。
「塞いだか……なかなかやるね。」
「それは、おおきにやで!」
「なら、これはどうかな?」
神楽坂は、背中から生える鎖を一本ずつ独立させ、高速で突きのラッシュを放つ。ガマは蝦蟇の三叉槍と弾け飛ぶ衝撃による加速で追撃を避ける。だが、避けても神楽坂の鎖は、軌道を変えながら着実にガマの動きを抑制し、ダメージを与えていく。
「本気っていう割には、弱くないかい?」
「その言葉、そのままそっくり返したるわ!」
ガマは河川に飛び込むと、巨大な岩を持ち上げる。そしてニヤリと笑うと、それを空中へと投げ飛ばし、ガマも空中へと駆け上がると、拳で上から岩を叩き割る。
「弾け飛ぶ衝撃:散弾空気銃!」
岩が握り拳ほどの大きさに砕け、逃げ場なし、回避不可能の範囲攻撃が、神楽坂の上から凄まじい速度で降り注ぐ。一見すれば圧倒的に神楽坂が不利な状況であるが、神楽坂は平然とした顔で降り注ぐ攻撃を見た。まるで、この状況でも危機感を抱いていないかのようで、回避をするような素振りを見せず、ただ茫然と突っ立っている。そして、神楽坂に攻撃が直撃しようとしたその時、背後から伸びる鎖に付いた刀身が岩を貫き通す。
「そんな攻撃じゃ、僕と勝利と断罪の鎖を倒すなんて夢もまた夢だよ。」
岩の鎧を着た鎖を呻らせながら、ガマを一瞥する。そして、一歩踏み出したかと思うと、空中にいるはずのガマの背後に立っていた。
「いつの間に…ぐはっ……!?」
「「え!?」」
神楽坂は、ガマの後ろに立ち。岩の鎧を身に纏った鎖がガマの脳天に降り下ろされる。ガマは、脳への衝撃によって半ば気絶状態になり、力は抜けて。足踏みが行えなくなり空中から地面へと頭から落下する。
「(何が起きた?何をされた?確かにワシは、やつに攻撃を行った。避けるでもなく、防御するでもなく、なぜワシの後ろにおった?)」
ガマは思考するも理解が及ばなかった。瞬間移動系のZONEなら何らかの前動作が現れる。頭に指を当てたり、体が発光するしたりなどだ。だが、ガマが見たのはいつの間にか背後に移動した神楽坂の姿だけだった。
「キリコさん、一体何が起きたのですの!?まさか、戻さんと同じく瞬間移動をしましたの!?」
「違う…あれは超スピードとか、瞬間移動だとか、そんなチャチなもんやない!もっと、恐ろしいもんの片鱗を味わったで……これが、狩北最強の男の実力かいな。」
「堪能してくれたかな?」
神楽坂はうつ伏せの状態のガマを見下ろすように空中からゆっくりと降りて地に立つ。
「そうやなあ。ときに神楽坂はん、角に小指をぶつけたことはあるか?」
うつ伏せの状態ながら神楽坂の方へと顔を上げでガマは問いかける。
「何をいきなり聞いている?まあ、たまにあるけど…」
「そうよなあ、意識してへんと痛い目に会う。足元には注意せんとな。」
「何が言いたい?」
「ワイが散弾空気銃を打った時、ワイはさらに空中にあるもんを投げた。さあ、そろそろ落ちてくるんとちゃうか?」
「何ッ…!?」
思わず神楽坂は、ガマの言葉に釣られて空を見上げる。
「しめた!隙アリっ!!!」
ガマはうつ伏せの状態から地面を蹴り、弾け飛ぶ衝撃でまんまと騙され空を見上げる神楽坂に飛びかかり、手足を押さえつけ馬乗りになる。
「素直な子やな。ワシは、そういう子は好きやで!」
「悪いけど、僕には運命の人がいるんだ。遠慮させてもらうよ。」
そういうセリフを吐きながらも、神楽坂は抵抗を見せない。
「じゃあ、どうやって、可愛がってやろうかのぉ〜?この状況なら、あんさんは、ワシにラッシュを決められて終了や。鎖を使うてみ、その瞬間にお前の体に……待てよ?あんさんもしかして……うっ!?」
ガマが何かに気づいた次の瞬間だった。ガマの体が吹き飛ばされる。その体には多くの傷が刻まれ、状態として表すのなら、再起不能状態になった。その不可思議すぎる状況を冷静に分析していたキリコが口を出す。
「至近距離のデータ収集ができなかったため、現在まで神楽坂音色のZONEに関する情報は得られませんでした。ですが、今回の戦闘により明確になりました。」
キリコは、ありのままの事実を告げた。
「神楽坂音色のZONEは、時を止める能力です。」
「そ、そんなZONEありえますの!?」
「解答:オルキス先生などの規格外として認定されているZONE保持者は、その名前の通りに規格外のZONEを持っています。そういった事例を見れば、可能性としては十分にありえます。」
「だとしても、無法過ぎますわ。時を止めるだなんて、対策しようがありませんわ。」
二人が話していると、神楽坂が話しかける。
「ねえ、この喧嘩は僕の勝ちでいいよね?」
「肯定:蟇野錯牢は意識を手放しています。戦闘続行不可能と判断し、今回の喧嘩は神楽坂さんの勝利となります。」
「ありがとう。それじゃあ、僕は失礼するよ。」
そう一言残して神楽坂はその場を去って行った。動かなくなったガマを寝起きのキリエがツンツンすると、ガマは起き上がり大爆笑した。
「ぶっははは!!!!」
その異様すぎる光景にキリエはドン引きしながら話しかける。
「ちょ、ちょっと何笑ってるの?」
「お!キリエ起きとったんか。いやーホンマおもろい事になってきたで。キリエ、ますます神楽坂には負けれへんことになってきたで!」
「え?ちょっとどういうこと!?」
ネッ友とマスターデュエルで原作準拠+新規をピン刺ししたジャックのデッキ使ってファンデッキ同士デュエルするのが楽しすぎる。