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第62話 お披露目するは、万能盾

「星谷、覚悟しなさい!」


「ああ、かかって来い!」


 キリコの許可を得て、俺たちは、ハイウェイオアシスでキリエの新たな武器のテスト使用、もとい俺に対するストレス発散のための模擬戦をしていた。


 俺は、機械剣(アダプター)を構えてキリエを見る。キリコは両手に、前部分は丸ノコの刃が半分、後ろ部分は銃口、側面にエッジ部分が飛び出した、黒ベースで黄色の塗装がされており若干の高級感がある盾のようなものを装備している。


「それが、あの時使い損ねた新武器。名前は何て言ったけ?」


廻撃つ黒金の盾(ディラスターベル)よ。」


「かちょいいじゃん。さーて、どれだけの性能か。お手並み拝見……」


 俺の頬を光弾が翳める。


「ま?」


「マジよ!ブラスターモード!」


 無数の光弾が俺に迫る。だが、来るとわかれば、回避はできる。キリエの攻撃を振り切るように走りながら、遊具という遊具に身を隠し被弾を最小限に抑え、機械剣(アダプター)に鎖を付ける。


「オラッ!!」


 そして、遊具と遊具の隙間を縫うようにキリエに向かって機械剣(アダプター)を投擲する。


「甘い!」


 キリエは、迫りくる機械剣(アダプター)廻撃つ黒金の盾(ディラスターベル)で盾パリィで簡単に弾き返し、ここぞとばかりに距離を詰めてくる。


「わざわざ距離を詰めるってことは、サーベルモードか。」


「そのとおりよ!」


 廻撃つ黒金の盾(ディラスターベル)が180度回転し、側部を展開すると、そこから剣が飛び出す。


「ぐおっ…!?」


 廻撃つ黒金の盾(ディラスターベル)のサーベルと機械剣(アダプター)が火花を散らしてぶつかり合うが、何て重さしてやがるんだ!?車とでも押し合いをしてるような感覚だぞ!?


「どう、重いでしょ?」


「ああ、お似合いだぜ。だが、小回りが効かねえとは思わないか?」


 機械剣(アダプター)の鎖を付けた方をちょっと高さのある遊具に巻き付け、全力で引っ張り離脱する。まるで、鉄十字キラー蜘蛛男のように機械剣(アダプター)を建物から建物へと引っ掛け、移動を繰り返す。


「待ちなさい!」


「待てと言われた待つやつがどこにいるって……げ!?」


 空を飛んでやがった。恐らくはさっき光弾を放ってたところが、ブースターとしても機能してんのか!?だが、その状態ならブラスターモードは使用不可。俺の速度を上回らない限りは攻撃することもできないはず……


「ディバイダ―モード!」


 前部分の丸ノコの刃が回転を始める。ギュイーンというメカメカしい音とともに回転速度は徐々に上がっていき、青白く発光する。


「|旋風起こす飛円斬《ソニック・ディバイダ―》!」


 超高速回転する丸ノコが発射され、まるでブーメランのような軌道を描きながら迫り、機械剣(アダプター)に繋がれていた鎖をいとも簡単に切断する。突如、鎖が切断されたことで俺は空中へと投げ出され、停止中の観覧車の壁に激突し、落下する。


「スタッと着地……おっと!?」


 追いついたキリエが俺の体に手を伸ばす。キリエのZONEは、触れられたら行動の主導権を握られる程度には即アウト。地面を蹴り、緊急回避すると共にマンティスガントレットのブレードを展開し、手に残った機械剣(アダプター)の一本を鞘へと収める。


「それ、本当に厄介ね。剣を対処しても、常時武器を腕に取り着けてるとか」


「お前がそれを言うか?ブーメラン突き刺さってるぞ?」


「そうだったわね!」


 キリエが至近距離でブースターを起動して接近し、丸ノコを高速回転させ、メタル化させたマンティスガントレットのブレード部分と激しくぶつかり合う。金属音で耳が痛くなるも、互いに決して攻撃の手を緩めずに果敢に攻め立てる。


「どう?降参する?」


「誰がするかよ!こっちは、新たな目標というか、障壁を見つけたんでね。こんなのでも、降参するわけにはいかないんだよな!」


「それって、あの神楽坂音色のこと――かしら!!!」


 重い一撃がマンティスガントレット越しに、俺にダメージを与える。


「その通りだ!パージボルト!」


 負けじと俺も、キリエへとマンティスガントレットで強烈な一撃を入れたが、突如として体の力が抜け、俺の体は、よろよろと紙のように萎れていく。


「ぐへっ……」


 俺に追いついたキリエ呆れた声で生存確認を行う。


「あんた、大丈夫そう?」


「目の前がクララ」


「何よそれ」


「頭上で恐竜が走り回ってるのが見える……」


「相場は鳥じゃない?」


「とうぶん切れたのかも…ちょいまってて」


 最近になって、また一段と糖分が抜け落ちるのが早くなっている。シュガースティックを常備しているからまだ問題はないが、あの時、カフェインと糖分が切れた状態で火野さんの援護に向かったのを未だに引きずっている感覚だ。


 シュガースティックを近くの自販機に売っている缶コーヒーにぶち込み飲み干す。


「ぷはぁ……まあ、兎にも角にも武器の性能は大体把握できたのか?」


「依頼した通りのいい性能してるわよ。鍛冶師と言うより、武器職人の方があの人には合ってると思うの。だって、これ武器ってよりも兵器って感じするのよね……」


「そういうのって、カウザー先生と共同で開発するらしいぞ。カウザー先生側が興に乗らないと始まらないそうだけど。」


「やっぱり兵器じゃない。まあ、数百万する時点で納得はするけどさ、使っててひやひやするのがネック過ぎるのよ。武器だとしても数百万もするのに……」


「安心しろ、そのうち慣れる。」


「慣れるのが怖いのよ。何事もだけど、異常なことが常態化してしまうって怖くない?ガロウの件もそうだし、あんたの体のことも、今回の襲撃事件もそう。異常なことばっかり続いてる。平穏ってどこ行っちゃったのかしら?」


「一理あるな。でも、その平穏を取り戻すのがハンターの役目だ。」


 約200年前に、この世界で起きた第三次世界大戦から、自然の大反乱、人類含めた動植物のZONEの獲得。本当の平穏は200年以上も前に消えちまってる。この長い戦いがいつになったら終息するのか、四月の中旬だというのにそんなことを考える。


「無駄にかっこいいこと言うけど、糖分切れてぐにゃってる人が吐く台詞なの?」


「ほんますんません、気をつけます」


「パフェ奢るなら許す。」


「了解!」

武器:廻撃つ黒金の盾(ディラスターベル)

キリエの専用アームズウェポン。普段は腕時計のようなサイズだが、使用時には装着者の意思で巨大化。 基本形態であるディスクカッター、大型丸ノコの<ディバイダーモード>、180度回転しての<ブラスターモード>、側部のエッジを展開しての<サーベルモード>の3モードを用途に応じて使い分けることが可能である。表面部分は盾としても扱えるほどに頑丈な素材ロンズデーライトを使用している。

見た目は前部分は丸ノコの刃が半分、後ろ部分は銃口、側面にエッジ部分が飛び出した盾のようなデザインであり、キリコは両手にこれを装備している。


見た目はまんまマックスディバイダーであるが黒ベースで黄色の塗装がされており若干の高級感がある。

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