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第53話 突貫野郎Bチーム

「まずは、拙者から行かせてもらおうぞ。」


 我一番に佐々木が名乗り出た。


「炎が封じ込められているこの状況下、求められるのは己の肉体と技量のみ。ならば拙者が適任だろうさ。」


 現状、火薬小麦の泡は先の爆発でほとんど消えてしまったが、冰鞠さんの邪魔(フォロー)によって泡水さんが十分に泡を再展開できている。炎のカーテンが消えてしまったことで若干の防御性能は落ちたものの、火野さんの周囲を包む半透明の氷でできたコロッセオは、まだ生きている。


 佐々木が刀を抜く。佐々木の刀はあの佐々木小次郎の持つ物干し竿という刀がモデルに作ってるらしく、本人のZONEも相まって創作作品の佐々木小次郎に限りなく近い技量を持つ。佐々木が言うようにこの状況は佐々木にとって非常に好都合だ。一方、火野さんは不利な状況に見えるだろう。技量がZONEによって底上げされた佐々木の戦闘力はこの状況下では非常に強力、技量と言う一点だけで考えれば超えている可能性がある。しかし、火野さんも佐々木より上回る経験と勘、そして規格外のZONEがある。


「さて、どうなるかねえ。」


 両者が睨み合い、達人同士の間のような空気感が流れる。


「参る!」


 佐々木が間合いを詰める。佐々木の刀と火野さんの大剣の間合いは、ほぼ同じ。正面戦闘に置いて武器の重さは重要だ。本人の技量が相手の剣の重さに押し殺されることなどよくある事、この場合だと佐々木の方が不利だが、佐々木にはZONEにも引けを取らない独自の技術がある。


 佐々木と火野の激しい攻防が行われる。佐々木はその剣技と技術で火野の攻撃を寄せ付けず、試合が長引く。


「…剣筋が読めない?」


「どうやら、先生相手でも通用するらしいでござるな。模倣剣「三角飛翔輝斬」!」


 バックステップで火野さんの斬撃を殺すと共に、空中に三角形を描くように刀を振るった後、その三角形が一つの大きな斬撃となって火野さんへと飛んで行く。それを火野さんは大剣を振り下ろし


「星谷に教えた技でも使うか。炎描く居合軌道(リメインバーンライド)!」


 炎の斬撃が飛び、互いにぶつかり合った後に三角飛翔輝斬の斬撃はかき消され、炎の斬撃が佐々木へと迫るも、佐々木はその斬撃を撃ち落とし、間合いを詰めて接近戦を持ちかける。佐々木は、火野さんの大剣を、まるで水が流れるかのように受け流し、圧倒的なリーチを活かした剣技を至近距離から放つ。


「模倣剣「燕返し」…!」


 放たれたのは三方向からの同時の斬撃だが、今の俺には見えるあれは同時じゃない、数秒ほどのズレがある。動きは模倣ができてもスピードが遅い。それに…


 キキキン!と連続して金属同士がぶつかり合う音がグラウンドに響き渡る。


「この質感、まさか…」


「三方向からの攻撃を受け止める方法は簡単だ。それは、全部防御すればいい。」


 佐々木の前に倒れた火野さんの大剣が全てを物語っていた。火野さんは燕返しを繰り出されるタイミングで大剣を前へと投げ、全ての攻撃を受け止めさせた。


「だから、あのような金属音が…」


「そういうことだ。」


「だが、これでガラ空きだ!模倣剣「居合一閃」」


 その一言の後、超高速の居合が火野さんの首を狙うも、直感の判断からか火野さんは体を倒して避けると同時に地面に転がった大剣を足で蹴るようにして持ち上げた後、仰け反った体勢から大剣を両手でつかみ、そして地面へと振り翳す。そうすると一直線上に火柱が立ち上がり、弾け混ざる泡(ミックスバブル)が熱によって弾け、引火し、連鎖的に粉塵爆発を起こし、そして氷の城壁を突き破った火柱が待機しているこちらに迫ってくる。


「まずい!?」


 火柱が直撃するかと思った次の瞬間


「ドドドドドドドド!!!!!」


 とそのままのフォントで具現化されたカタカナの()の列が差し込まれ、炎から守る盾となって俺たちは攻撃を受けずに済んだ。


「大丈夫ー!?」


「何とか平気やー!」


「今の小野田さんのZONEか!」


「ああ、あの人のZONEやっぱ面白え!だが…」


 佐々木の相手に初見の状態を維持させる技術、名前を「読破(どくは)」と言うその技能は佐々木の家系に伝わる秘術。俺もこれで負けたのだが、一つだけ突破口があるように思えた。それは、超高火力の一撃で簡単に破れてしまうという、単純な質量同士の押し合いに弱いのが欠点ということ。火野さんと言う化け物火力の前にはこの読破(どくは)もお茶を濁す程度の期待しか得られない。まあ、それを見事に突かれてしまったわけだが。


 煙が未だに渦巻く中、その場に残った人影が一瞬3人になったのを火野は確認する。


「増えた?」


 しかしその場に立っているのは佐々木以蔵だった。だが、少しばかり様子が変だ。何というか、無生物に近い外見をコピーしたようなロボットにも見える。火野はそれに斬りかかりに行くと佐々木の身体はまるで塵になるように崩壊していく。


「これは…分身?」


「(佐々木、大丈夫か?)」


「(ケホッケホッ…直撃は回避した、問題ござらん。)」


「(酸素が薄くなってるはずだ。ちょっと休憩しろ。確かこういう時用の飯を桃太郎が作っておいてくれたはずだ。肌も多少焼けてるかもだし、恵のとこで飯もらって食いながら蓬さんに見てもらえ。)」


「(かたじけないでごさる。)」


 俺たちBチームの目的はタイマン勝負。一人やられれば空いている一人が入るローテーション方式。傷を負った者は戻さんが逆転する運命(ロールバック)で回収し、双葉さんの二重を行く者(ドッペルゲンガー)で複製、遊斗の贋作昇華(リアリティ)限りなく本人の実力に近づける。ドッペルゲンガーが時間を稼いでいる間にローテーション。回収された者は蓬さんの超回復(リプロダクション)と恵の四次元収納から取り出した桃太郎の食事で回復。軽い怪我などは:死者との契約(ゴーストレード)で医者の霊を降ろした早苗さんが夢原の紡ぐ鋼の糸(コンスレッド)を包帯代わりに使用し治療。弱音を吐いたら松本さんにやる気スイッチをオンにしてもらう。切り込み部隊も回復次第、このローテーションに参加してもらう。残った小野田さん、馬場、三上は準備組の防衛に専念してもらっている。


「まあ、火野はんの完全にメタれるZONE持ちはおらんし、妥当な作戦やと思うで。」


「まあ、決定打は複数用意してあるが、今回は俺たちは、あくまでサポートだからな。くれぐれも一撃で沈むなよ。」


「わかっとるわ。時間稼ぐだけならワイのZONEが適しとる。ヒット&アウェイで何とかするで。さあ、選手交代や!」

デュエプレにようやく寄生ギョウのスキンが実装されてむちゃくちゃ叫んだ。ドラゴン龍、オンセン、寄生ギョウ、No.2、俺全部好きなんですよ!みんなもやろう!デュエプレ!

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