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第42話 最速とのタイマン

「だいぶチームワークも固まってきたな。」


「ああ、これなら火野はんにも一杯食わせれるな。」


 週三回の体育の時間を先生の許可を得て練習の時間に変更。さらには放課後に集まれるやつら全員集まっての練習。持て合わす時間を費やしての合同練習は着実に俺たちを成長させた。このまま練習を続ければ本当に超えられるのではないか?そう思わせれるほどだ。


「あと必要になってくるのは食材集めくらいか…桃太郎はそこらへんどうしてんだ?もう食材は集まり切ってるのか?」


「まあな、俺の親父は、小中の給食出すところの社長だからな。1クラス分くらいは余裕で賄えるぜ。」


「はえーすっごい。なら問題はないか。」


「今日の放課後どうする?練習する?」


「もち六時まで練習しよう。」


 ここで止めるとか、詰めの甘い事はしない。やるなら徹底的にだ。


 なんやかんや授業、掃除、帰りのSTが終わり放課後になった。俺は近くの総合グラウンドに施設利用の予約をするために一足先に教室を飛び出した。廊下を走り、階段を下り、昇降口から正門に出る。


「ん?なんだ!?」


 正門から出た先には、紅くゴツイバイクに乗り、俺を睨みつける男の姿があった。ヘルメットの上からでも分かる。こいつは只者じゃねえ。


「貴様か?星谷世一は?」


「そうだが、あんた誰だ?」


「俺は城ケ崎迅(じょうがさきじん)。お前が犀牙と黒石をやったそうじゃねえか。ちょっと面貸せ。」


 城ケ崎は俺にヘルメット投げ渡す。投げ飛ばされたヘルメットは、まるで野球選手が投げたボールのような速さ、こちらに迫る。俺は両手でガッチリとヘルメットを受け止める。


 す、すごい速度だ。ヘルメットを投げ渡されただけだってのに受け止めるのに精いっぱいだと!?


「まさか、月曜日のことで復讐でもしに来たのか?」


「早くしろ、時間の無駄だ。」


 そう急かす城ケ崎に釣られ、俺はヘルメットをかぶり、城ケ崎の後ろに乗る。そうすると城ケ崎はバイクのエンジン音を吹かせ、猛スピードでバイクを飛ばす。


 初速から何てスピードを出しやがる!?初速から100キロ出てんじゃねーのか!?


 俺は必死にバイクにしがみつく。城ケ崎はしがみつく俺をよそ目に、さらにスピードを上げる。とてつもないスピードに周りの景色が一瞬にして切り替わっていく。翻弄され吐き気を多少我慢し踏ん張っていると、徐々に速度が落ち始める。どうやら目的地に着いたようだ。着いた場所は廃校だった。


「付いて来い。」


 城ケ崎はそう言いバイクから降りると、バイクの座席の下の収納スペースからアタッシュケースを取り出し、廃校のグラウンドへと向かっていく。俺もバイクから降り、城ケ崎について行く。城ケ崎はグラウンド真ん中付近まで移動すると俺の方へと振り向く。


「星谷世一、ブラックアウトに入る気はあるか?」


「はあ?何でお前ら不良グループに入る必要があんだよ。お断りだね。」


「なら、これでどうだ?」


 城ケ崎は手に持っていたアタッシュケースを開けて、俺の足元へと投げる。開かれたアタッシュケースの中には一万円札の束がぎっしりと詰まっていた。


「これは前金だ。合計1億ある。お前が望むなら倍を出してやってもいい。」


「おいおい、こんな大金を貰ったところで俺の心は動かねえぜ。そもそもの話、なぜ俺をブラックアウトに入れさせたいのか分からねえ。」


「邪魔になる芽は早いうちに摘む。と言えば分かるか?」


「ガロウを倒した俺が、お前らにとって脅威とでも言いたいのか?」


「そうだ。懐柔してから潰そうと考えてたが、お前がその態度なら話は変わった。今からお前を速攻でぶっ潰す。」


「そんなに俺と喧嘩したいってなら、相手してやるぜ。最速の男の実力、見せてもらおうじゃないの。」


 俺はガントレットを起動し構える。


「さあ来な!」


「ああ、こっちから行ってやるぜ。初速からぶっ飛ばす!」


 そう言い放った城ケ崎は、まるでさっきのバイクのような速度の踏み込みで俺との間合いを詰める。そして城ケ崎は俺の腹を目掛けて蹴りを入れる


 速っ!?


 俺はガードをする間もなく、城ケ崎の蹴りをもろに食らう。そして間髪入れずに城ケ崎は回し蹴りを行う。回し蹴りを行う動作を見計らおうとするも反応が遅れ、俺はぶっ飛ばされる。


 とんでもねえ速さだ、俺が反応遅れてもうデカいの二発も食らっちまった…やべえの敵に回しちまったな。


「どうした?ガロウを倒したと聞いて呆れるぜ。その程度の実力かよ。」


「さっきの運転で酔ってただけだ。今ので目ぇ覚めたぜ。」


「じゃあ、これでもついて来れるか?」


 目の前にいたはずの城ケ崎の姿が消え、赤い残像のようなものが残る。そして彗星のような残像が俺の周囲を囲むと同時に俺の身体至る所に殴り、蹴られたような痛みが走る。


「貴様も気付いてるはずだ、俺にはどう足掻いたって勝てねえ。星谷世一、貴様のスピードじゃ、俺には届かないッ!」


 一方的な展開に城ケ崎は俺を煽る。その発言をへし折るように俺も動き始める。


「まだだ!」


 俺は機械剣(アダプター)を引き抜くと同時に体を回転させる。


円刃(えんじん)炎描く居合軌道(リメインバーンライド)!」


 円を描くように水平上に飛んだ斬撃が高速で動く城ケ崎へと向かう。城ケ崎はそれを紙一重で避けると。


「後ろがガラ空きだぜ!」


 そのまま背後へと回り攻撃を仕掛けるも…


「んな!?」


「ようやく捕まえたぜ…」


 俺は城ケ崎の行動を読み、城ケ崎の腕をガッチリと掴む。抵抗する城ケ崎に頭突きを入れ、怯んだところに俺も尽かさず追撃を入れる。


「チャージ5%、パージボルト!」


 ブレード部分に集中させた少量の電気を城ケ崎の足目掛けて発射する。5%の電気でも相当痺れ、動きに鈍りが生じるはずだ。


「ぐっ…!」


 読み通り、城ケ崎は足に痺れを追って一度攻撃を止め、俺との距離を離した。


「最速ってわりには、まだ目で追えるな。最速の男の実力ってのは、この程度なのか?」


「いい戦闘力だ星谷世一…こっちも、ようやくエンジンが温まって来たところだ。ここからはフルスロットルだ。」


 そう城ケ崎が言うと突如バイクのエンジン音が鳴り、城ケ崎の下にバイクが近づく。城ケ崎が指を鳴らすとバイクが変形し、まるで西洋甲冑のようなバイクを模したパワードスーツへと変わると次々に城ケ崎へと装着される。その姿はまるで特撮ヒーロー、もっと詳しく言うのならば、この七区を守っていたハンターの一人、「英雄レッドエックス」その容姿に酷似していた。


「そ、その姿は…」


「ZONE:紅く轟く炉心(レッドアクセル)、イグニッション…レッドエックス!!!」

ブゥゥゥン!燃やし尽くしてやる!燃料補給だ!!お前のスピードじゃ届かない!!!

ぶっちぎってやる!これが禁断の力だァ!!I am KNDN…

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