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第38話 対策とテストプレイ

 ここまでクラス全員のZONEを見てきた俺の感想は。中途半端いや、器用貧乏ただそれだけだった。全体的に汎用性が高くZONEも強力なものが多かった。だが、決定打。火野先生に一撃を当て、大いにその力を発揮するような決定力が欠けていた。


「どうすっかな~」


 ぱっと思いついた作戦は物量作戦だ。運搬は恵が行うとして、大量のマネキンを集め、遊斗の贋作昇華(リアリティ)で実体化、それを二重を行く者(ドッペルゲンガー)で複製し一斉に襲い掛かる物量作戦。だが、これには全体的な耐久力が無い。火野先生が敵に囲まれたとして最初に行う行動、それは超範囲攻撃。仮に俺らが耐性込みで全員で襲い掛かったとしても、その露払い程度の範囲攻撃で生存するだろうメンバーは石田、ガロウ、冰鞠、巴、俺、アンディーのたったの五人だろう。初手でこれをされることを前提に考えるなら、物量作戦は失敗に終わるしな......


「桃太郎、火炎耐性を持たせる料理は作れるか?」


「作れはするが気休め程度にしかならないと思うぞ。完全耐性を作ろうとするのなら、必ずデメリットが生じる。それもZONEによる攻撃を無効化するほどに大きいとなれば、最悪の場合一時間の制約を超えて後遺症が生じ、残りの余生を病院のベッドの上で過ごすことになるかもしれない。」


「デメリットの操作はできるか?特定のデメリットを確定で付与できるのなら、一人だけなら完全耐性を獲得できるかもしれない。」


「どんなデメリットならそれができるか逆に教えてくれ。」


「食べると逆に飢餓状態、さらに代謝が体に支障をきたすほど良くになるってのはできるか?これならデメリットとして十分だろ?」


「でもそんなの食べて戦闘に参加できるやつはいないぞ!」


「いるんだよ、腹が減るほどに強くなるオオカミさんがな。」


「まさかガロウか!?」


「ん?何だ?」


「ガロウならその状態で最高のパフォーマンスを引き出せるはずだ。ガロウのは完全耐性、あとはガロウほどではないにしろ食べたら逆にお腹が減るというデメリットを持つ火炎耐性付与の効能を持つ料理、あとは全員の肉体強化ができる料理を頼む。」


「わかった。でもそんなにみんな食えないと思うんだが。」


「食べ順を考えれば毒は裏返る。」


「言いたいことはわかった。」


「ガロウもそのつもりでな」


「何か分かんねえが、わかった!」


「戦える基盤づくりは終えた。あとはどう戦力を振り分け、作戦を立てるか......」


「お考えのところ少しよろしいですか星谷殿。」


「ん?どうした馬場?」


「その武器を試さなくていいのですか?」


 馬場は腕に取り着けていたマンティスガントレットを指さす。


「確かにこいつが使えるか使えないか分からない以上作戦も立てられないしな。わかった。一発バトルか。キリコ、バトロワの時のデバイスって器具庫に保管されてたっけ?持ってきてくれるか?」


「既に用意してあります。」


「お、サンキュー!」


 キリコからデバイスを受け取りガントレットの上からデバイスを付ける。互いに装着し終わったところでグラウンドの奥の方へと移動する。


「初めてですな、星谷殿と戦うのは。」


「俺もお前とやり合うのは初めてだ。」


 鎌状のブレードが展開しブレードを持ち、逆手に構えカマキリが威嚇するようなポーズを取る。対する馬場はバトロワの時に持ち込んでいた大きな槍を持ち構える。


「試合実況、俺ちゃんことアンディー。解説役にキリコさんをお呼びしております。」


「挨拶:よろしくお願いします。」


「さあキリコさん、今回星谷選手が腕に装着されているマンティスガントレット。これ一体どのような性能をしているのでしょうか?」


「説明:アサシンブレードです。」


「なるほど、よく分かりませんね!では実戦で見せてもらいましょう!」


 実況がうるさくなってきたな。まあ、この間にも、チャージは進む。


「行くぞ!星谷殿!ヒヒィーン!!!」


 パカラッパカラッと音を立て、槍を振り回しながらこちらに迫る馬面のケンタウロス。絵としては神話とかに出てきそうだが、これは現実だ。あの速さで巨大な槍に当たろうものなら普通なら耐えられないだろう。


「ガントレット、鋼鉄装甲展開(メタルイゼェィシャン)!」


「おーっと!?ブレード部分が鋼のような銀色にそして光沢が現れました!?キリコさん、これは一体どうなっているのですか!?」


「解説:偽鋼(メタル)阿修羅蟷螂(アシュラマンティス)というネオクリーチャーのZONEをDr.カウザーの技術力で再発させ、武器として応用しているのです。」


「馬場、いや、狩高の呂布と流星の如き現れたルーキー、星谷の刃同士がぶつかり合いっています!」


 何て言う馬力してやがる!通常ガロウ同等レベルいや、それ以上か!だが......


「なかなか性能が良い武装ですな、この突進攻撃を諸共しないとは。ヒヒン!」


「使い方は機械剣(アダプター)とそう変わらねえ。が、こっちも色々と修羅場潜ってるおかげか、力の伝え方とか受け流し方とか身体で覚え始めてきたんだよね。」


「それはなんとも......」


 突如として割って入るように火柱が立つ。俺と馬場は緊急回避する


「乱入者です。これは......火野巴だー!」


「あんたらばっか楽しそうにやってんじゃないわよ!私も混ぜろっての!」


「こいつぁ好都合だ。火野先生とまではいかないが、同じ系統の能力使いと戦えるならいいデモンストレーションになる!」

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