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ZONE無しでもハンターになれますか?→可もなく不可もなし!~地球曰ク<生命ハ、奇妙デ、新シイ、進化ヲスルモノ>ラシイ~  作者: 葉分
サバイバルフォレスト

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第100話 燈るよ光、食べるよメシ

 作業を進めて完成した寝床で昼寝して惰眠を貪る体を揺さぶられて目が覚めた。目を擦りながら体を起こすと、松本が隣にいた。しかも、なぜか俺の隣で寝てやがる。


「あら、起きてしまいましたわ。」


「お前何してんの?」


(わたくし)は、寝坊助さんを起こしに来ましたのよ?もうそろそろ他班が帰って来る頃合いでしてよ?」


「そういやそうだった。あいつらが帰って来るんだった。」


 俺は飛び起きて昇降口から学校の外に出る。昇降口の方には、既にガロウたちが集まっていた。クラスラインの方を確認してみると、あと数分で帰るとの連絡も入っていた。


「よう、ガロウ。他班の姿は見えたか?」


「星谷、ようやく起きたか。その様子じゃ、寝心地は十分のようだな。他班の姿はまだ見えねえ。だが、連絡が来てから時間は経っている。そろそろ帰ってくるはずだ。」


 まだかまだかと待っていると、食料班が、一番先に帰ってきた。


「帰ったでー!」


「おお!どうだ?ぶどうの確保はできたか?」


「バッチリや。それにもっとええもんも手に入ったで。ミッションの方もちゃんとやっといたで。ほれ」


 そう言ってガマは自身が撮ったであろう写真を俺へと見せる。そこには、ガロウのフェンリルと同等かそれ以上のデカさの苔魔猪(モスボア)、いや苔魔猪の大主(キングモスボア)が糸のようなものに絡まれている写真だった。


「がんばったんだーよ。」


「泡美さんの弾けて混ざる泡(ミックスバブル)で作ったぶどうの泡で匂いを誤魔化して油断させ、桃太郎の飯で弱らせ、残ったメンバーで張った績の紡ぐ鋼の糸(コンストレッド)で捕縛して最後にガマの空気砲(エアガン)で止めさしして仕留めたんだ。」


「す、すごいな。お前らであいつを仕留めるとか。俺でも見かけた時は逃げてたってのに。」


 そうガマたちと話していると資材班も帰ってきた。しかも、なんかデカい箱みたいなものを大量のマネキンたちとクリーチャー?が支えながらこっちに向かっている。何これ?百鬼夜行か?


「帰ったわよー」


「お、おう、キリエたちもお疲れ様。なんか大変そうな感じがしたが大丈夫だったのか?」


「戦術的撤退で何とかなりました。ブルルル。」


「あれは勝てないよ。」


「逃げるのも立派な戦術の一つだぜ。」


「そっちの方が負けるのか。戦力的には結構十分だと思うんだが……それより、あのマネキンたちが支えてるのが話に上がってた学校に電気を通すためのやつか?」


「YES:あの巨大充電スタンドに雷などを当てて充電する。だいたい、疑似超電磁砲(インドーラ)三発分の充電ができる。あとは配線を繋げる作業があるから、先に夕飯を作ることを推奨。」


「了解。なら、そっちの方は任せる。俺たちは飯作りだ!」


「「おー!!!」」


 まだ偵察班が帰って来ては無いが、あったかい飯を用意して出迎えてやろうってなわけで、俺たちは、早速料理作りを始めた。そして、キャンプ飯ってなると、やっぱり定番所をやっておきたいとのことで、賛成多数で俺たちはカレー作りを始めた。整備したグラウンドの中心に薪を組み上げてキャンプファイヤーをし、その灯火の横に広げた学校の机の上で桃太郎の指示の下、まずはニンジン、ジャガイモなど各種野菜を一口大にざく切りにしていく。


「佐々木君とか桃太郎君は包丁慣れとかしてそうだからイメージ通りだけど……意外とガロウ君の包丁さばきが早い……」


「本当だ!皮むき上手!」


「まあ、家では妹に任せっきりだが、バイトで飯を作る機会は多かったからな。そこで覚えた。」


(わたくし)は全部切り終わりましたわ!」


「皮残ってんじゃねぇか!松本!お前さては料理したことが無いな!?」


「ヒヒン!?」


「馬場、お前もか」


「皮ごと食べるのが好きなもので。ほら、きゅうりとかって皮ごと食べるじゃないですか。それと一緒です。ヒヒン!」


「それとこれとは違うだーよ!?」


「玉ねぎは繊維にそって、くし型に切るのが基本だ。シャキシャキ感が残って、加熱しても形が崩れねぇ。カレーのアクセントには最適だ。」


「うぁぁぁあーーーっ!!がぁぁっ!!ああっ………目がっ…!目がぁぁぁぁあっ!!ああ、ああぁぁ……目がぁぁぁああああ〜〜〜!!俺ちゃんの目にダイレクトアタック~~!?」


「アンディー君、こういう時は眼鏡をかけると、痛くならないぞ!」


「火つけるわよー」


「猪肉は大きめにブロック状に使うで。脂の方は獣臭くあらへんかったが、出すぎるのもあれやしペーパーでふき取るで。」


「猪肉が焼けたら、クソでかい鍋に移して各種野菜を召喚して共に再度炒めるぜ!」


「具材全体に油が回って、玉ねぎがしんなりしてきたら、水をひたひたに入れるんだな。」


「沸騰させ灰汁を取ったら、中弱火で具材がやわらかくなるまで煮込むでござる。」


「よし、箸が通ったな。いったん火を止めて、ルウを割り入れて溶かす。沸騰していると溶けにくいし、ダマになっちまったりすることがある。だから火を止めて、沸騰がおさまってから、ルウを入れるのがコツだ。そして10分煮込めば完成だ。キリエたち、白米の方は炊けたか?」


「ちょっとお焦げができて良い感じ。」


「あとは盛り付けだけだ。各々自分の皿取って並べよな!」


 列に並び、皿に白米の島を盛り付け、隣りにカレーの海を並々よそっていく。スパイスの香りに混じった猪肉のガツンとしていながらもどこか柔らかい香りが食欲をそそる。


「偵察班がまだ帰ってないが、先に始めるぜ!手を合わせやがれ!」


「「いただきます!」」


 さて、まずはどっから手を付けるか。ルーだけを食らうか、ルーと白米の両方を食うか、猪肉を噛みしめるか……いいや!カレーは全ての食材が一体となって織り成す味を楽しむもの。つまり、正解は全ての食材を満遍なくスプーンで口に運ぶことッ!


「う、うめぇ!?久しぶりに猪肉食ったけど、こんなに美味かったか!?苔魔猪(モスボア)とは思えねぇ脂の量だ!赤みは柔らかくて癖はねえ、それに脂身は食うとほのかにぶどうのような爽やかな甘味がしやがるッ!?こいつは普段何食って生きてやがるんだ!?」


「ぶどう園で実っとたぶどうをたらふく食っとったみたいやったからな。」


「なるほど、スパイス以外にも何か効いていると思っていたが、そのせいか。メイたちにも食わせてやりたい味だ。恵、食料の保存もできるのなら、一人分だけ保存してくれるか?」


「一人分だけでいいだな?話の口ぶり的に二人分はいりそうなんだな?」


「ああ、本当だったら二人分がいいが、弟は三区の方に出稼ぎに行ってるからな。」


「連絡は取れたりとかできないの?」


「生憎、送り出した時には携帯なんか持ってなかったからな。向こうからの手紙を待つしかない。電話をかけるにしても、家の固定電話に向こうからかかってくるのを待つしかできない。」


「ん?出稼ぎに行くにしては若くない?だってまだ年齢的には16歳とか17歳でしょ?」


「そういや、キリエたちは知らないか。ガロウの弟、竜巳はZONEの影響で成長が早いんだよ。肉体的にも精神的にも、実年齢にプラス5歳くらいの状態なんだ。」


「そういうことだ。だから、あいつは自分から出稼ぎに行っちまった。お兄ちゃんたちに心配はさせないって言ってな。年齢的には一番下なのによ。」


「何て兄姉思いの弟なんやー!感動やー!ウルウルウル……」


「泣いてる!?」


 そんな話をしながらカレーを食べ進めていると、偵察班が帰ってきていた。龍之介はヘトヘトな顔をしてグラウンドにダイブし、戻さんと双葉さんは焦ったような顔をしていた。


「どうした?そんなに慌ててよ、クリーチャーにでも追われたか?」


「じ、実は……」


「狩北の連中に、拠点がバレたかもしれない。」


「「はぁーーーー!?!?」」


「んなアホな!?1日目は他校との戦闘行為は禁止のはずやろ!?どないして、そんな場所がバレるようなこと。まさか、付けられたんか!?」


「ああ、付けられた。こいつをな。」


 そう言って、龍之介は一本の矢のようなものを手に取って見せた。それは矢にしては先端が丸く、殺傷目ではないような形状であった。


「矢による索敵……まさか、井貫見矢(いぬきけんや)残響の刻印者(トラッキングダーツ)か!」


残響の刻印者(トラッキングダーツ)?」


 俺が疑問に思っていると、三上が説明を始めた。


「そうか、星谷は知らないか。井貫見矢のZONE:残響の刻印者(トラッキングダーツ)は射抜いた対象の生体情報から好きなタイプまで、ありとあらゆる情報を把握することができるZONEだ。もちろん、対象の位置もわかる。それもここからどれだけの距離離れているか、どのような軌跡を描いて動いているかもだ。」


「マジか、チートか?」


「やつの残響の刻印者(トラッキングダーツ)の効力は、射抜くのに使ったものが相手から離れると消える。その裏を返せば、常時くっ付いていれば情報は抜き取られ続ける。そして狩北にはそれができるZONEの組み合わせがある。安達摩耶(あだちまや)のZONE:摩擦操作と佐藤静香(さとうしずか)のZONE:静聴せし聖域(サイレントゾーン)だ。」


「摩擦操作で表面の摩擦を最大限与えて摩擦接着、弓矢の発射音は静聴せし聖域(サイレントゾーン)で消して絶対に悟らせない。付けるだけなら戦闘にはならないし、相変わらず抜け目がないわね。」


「そんなのありかよ。」


「龍之介の体にくっ付いていることに気付いたのがほんの数分前。ここら周辺に拠点があることはバレっちゃったかも。」


「本当に申し訳ない。アイムソーリー!バッド、いい情報もある。これを見てくれ。ウォッチング!」


 龍之介はスマホの写真ホルダーから一枚の写真を見せた。そこに写っていたのは、樹海に聳え立つクリスタルのような輝きを放つ白い水晶の城だった。もちろん、この場所に元々こんな建物などなかったことは覚えている。だが、事実写真に城が収められている。


「まさか、これが狩北の拠点か……?立派な城じゃねえか!?」


「ああ、これも向こうのZONEによる建築だ。」


「そうなのか?」


「ZONE:我らが白き古城(キャッスル・ウォール)。素材さえあれば、どんな城でも建てることができる真城遥(しんじょうはるか)殿のZONEでござるな。狩北は、どうやら拠点を隠すつもりはないらしい。」


「こっちも拠点の強化をした方がいいかもな。話を聞いてる限りじゃ、勝ち目がなさそうだ。とりあえず今日は寝て、明日に備えよう。」

100話行きました……100話!?


さあ、こっからがサバイバルフォレスト……28×3、総勢84人の学校対抗異能力バトルが始まるのだ!(なおまだ1日目

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― 新着の感想 ―
名前とZONE把握しきれるかな俺…もうすでに4人出てきたんだけど… 百話おめでとうございます!(´;ω;`)ウッ…こんなにも大きくなって…この前まであんなにちっちゃかったのに…(後方関係者面) これか…
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