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乙女ゲームの正統派ヒロイン、いいえ武闘派ヒロインです。  作者: sirosugi
学園編

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51 ミサ 一年生 ホームシックになる。

 無事に帰ってきました。

 校外学習も無事(?)に終わり、私は相変わらずのちょっと退屈で平和な日々を。

「うううう。」

 遅れていなかった。校外学習から戻って数日後私はベットに引きこもっていた。

「お嬢様、いい加減でてきてください。掃除ができません。もう何年目ですか。」

「まだ、半日もこもってないわよ。」

 ベルカのからかい気味な声掛けに私はかみつくが、自分でもわかるぐらい勢いがない。

 らしくないと自分でも思うけど、これには理由がある。

「みんなして、あんなに怒ることないじゃない。」

 校外学習でゴブリンたちを倒した後、私はなぜか、めちゃくちゃ怒られた。

「なぜ、すぐに助けを呼ばなかったんですか!」

 駆けつけて事情を聞いた先生から泣きながら諭された。

「自分はともかく周りを巻き込むことを考えろ。自分だけ守れればいいってもんじゃないんだぞ!」

 護衛の中で比較的まともな傭兵さんには拳骨をおとされた。

「あなたって子は、どうしてこうトラブルばかり起こすのかしら。危ないとか危険って感覚はないのかしら。ああ、もうバカ、ばか。」

 マリアンヌ様には頬っぺたをグニグニされながら長いお説教をくらった。

「いいか、ゴブリンというのは上位魔物だ、その存在は危険だが貴重なものだ。命があったからよかったものの、学生が手をだしていいものじゃないんだぞ。万全の体制を敷いて森全体の安全を確保する必要があったんだ。仮に1人でできてもだ、狼煙で助けを呼んで安全マージンを最大にしてから取り組め、おい、聞いているのか?ラグやほかの子を巻き込む可能性もあったんだぞ。」

 ライオネル殿下にはしつこいくらい用兵と対応についてネチネチと説教をされ。

「いいですか、ミサ殿。我々が戦うのは守るためであり、最大の勝利はあなたたち高貴な人々の安全です。チェスで言えばキングさえ取られなければいいのです。なのに、そのチェスが先頭に突っ込まれたら私たち護衛は何をすればいいのですか?」

 レイランドさんからは護衛と貴族の在り方について長い時間。

「お嬢様は、私たちに死ねというのですね。お嬢様になにかあったなら、私たち従僕がどのような目になるのか想像されましたか?されてませんよね。万が一があった場合ラグ様やルネ様、リカッソ様がどれほど悲しまれるかわかっていませんね。」

「おじょーさーまー、しばらく外出はお控えくださいねー。」

 ベルカとラニーニャには、ピンポイントで私が嫌がるポイントを責められた。

 うん、最後のが一番ダメージが大きかった。気持ちよく戦えたと思っていたのに私のメンタルはボロボロだよ。そんなわけで今日は朝から授業をさぼってベットでゴロゴロしていた。

「これで学業に支障がないのだから、ずるいですよね。」

「ベルカ、もうちょっとやさしくしてくれないかなー。」

 ベットから出ようとしない私に付き合って、部屋に待機している時点でベルカも優しい。ただもう少し態度で示してもらいたい。

 自分でもわかっているのだ。冷静になって考えれば、上位魔物に遭遇してノータイムで討伐に走ったのは、ちょっと、うんちょっとだけあれだったかもしれない。けどさあ、もうちょっとほめてくれてもいいじゃん、私がんばったんだから。

「うう、ルネと、リカッソに会いたい。」

 あって、ねえたんすごいって言われたない。そして二人を抱きしめて温かさを感じたい。というかお姉ちゃんがいなくて泣いてないよね。お姉ちゃんは二人がいなくて泣きそうだよ。

「はあ、すっかりホームシックですねー。」

 すっかり呆れた様子のベルカの言葉に、私はうなづく。

 なんだかんだ学園に入るまでの生活、つまりソルベでの私の生活は充実していたのだ。豊かで遊び場がたくさんある自然、なんだかんだ鍛えることを誉めてくれる家族や城内の人達。モフモフのペットたちや可愛い双子。

「ルネ―、リカッソ―。」

 ああ、二人に会いたい。ほかの事はいろいろ我慢できるし、楽しいと言えば楽しいんだけど。無性に二人に会いたい。

「可愛いもの欠乏症ですねー。」

「な、なにそれ?」

「人間というのは、可愛いものとか愛着のあるものから離れると時々無性にさみしくなったり、恋しくなったりするものなんです。なんだかんだ、ミサ様も学園での新しい生活の疲れがでたのでしょう。そして今回の一連のあれです。心がお疲れになっているんですよ。」

 そうなのかしら?そんな可愛らしい名前の病気なんて聞いたことないけど。

「っふふ、それだけ世の中にはミサ様の知らないことがまだまだあるということです。それをご理解いただけたなら、今後はもう少し慎重に。」

「わ、わかったわよ、最低限、ホウレンソウはわすれないわ。」

「そうあっていただきたいものです。」

 そういってベルカは満足したのか、立ち上がって部屋の隅へと歩いていく。化粧品や小物など私のお世話をするための道具が入った箱を開ける。

「反省されたようですし、お嬢様の上位魔物討伐のお祝いです。特別ですよ。」

 そういって布団にくるまる私の近くに、何を二つ置く。

「えっこれって?」

 そこには天使がいた。

 いや、天使じゃないか。

 ふわふわした巻き毛としっとりした髪をした二体のぬいぐるみだった。ややデフォルメされているけれどフワフワした感触と特徴的な頬っぺた。この子たちは

「ルネちゃーーん、リカッソ―。」

 愛しい双子たちを模したぬいぐるみを私は抱きしめる。フワフワしているし、温かくもない。だけどああ、こんな感じだったと思い出させてくれる。

「ふふふ、ローズ様、マリアンヌ様もご協力いただいて作り上げたぬいシリーズバージョン3です。」

 バージョン3って、もしかして

「あれ、ルネとリカッソに私たちのぬいぐるみがバージョン1だったわよね。」

 復帰した気持ちから、私は胡乱気な瞳になってベルカをみる。

「あっいえ。お嬢様が落ち込んだ場合のための備えとして、ローズ様に託されたものです。」

 嘘だ。

「あれだけ言ったのに、作ったのね、あんたたち。」

 私とラグを模したぬいぐるみは、ルネ達に大受けだった。そしてそれを見た結構な人達が欲しがった。断固拒否したけど、秘密裏に開発は続いていたらしい。

「ははは、なんのことでしょう。ところで、他にもマリアンヌ様やファルさまを模したものもありますよ。」

「あんたたちはーーー。」

 私の分もあるんでしょうね?

 そんな感じにベルカに励まされたおかげか、次の日にはしっかり元気になった。

 ちなみにぬいシリーズはコンプリートセットを進呈させることで開発許可をだした。

 



 しばしの日常が続きます。

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