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乙女ゲームの正統派ヒロイン、いいえ武闘派ヒロインです。  作者: sirosugi
王太子編

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EX3 ライオネル・クラウンが見つけた花

 ライオネル殿下の正史 

 ミサが武闘派ではなく、王子の自信を打ち砕くことが叶わなかった場合の世界

 俺こと、ライオネル・クラウンは傲慢な子どもだったと自覚している。

 偉大なる父から受け継いだ魔法の才、優秀な教師による教育と訓練。同世代は当然ながら、並みの兵士にも負けない強さがあると思っていた。

「一度、ソルベの地へ行ってみるといい。」

 9歳になったある日、父である陛下からそのような言葉をいただき、その日のうちに馬車に放りこまれ、北の辺境の地へと運ばれた。なぜだろうか、近衛の連中がほっとしたような顔をしていた気がする。

 ソルベの地は美しい場所だった。

 石畳の王都とは違い、自然が溢れて風がさわやかだった。遠目に見える国境の山の頂上は白く染まっている、本で聞いた雪と言われるものだろう。なるほど見識を広げるというのはこういうことを言うのだろう。

 そんな自然の中に建城された、ソルベの城は王城と比べても見劣りしないほどの威容を誇っていたが、華やかさよりも頑丈を優先したようで、こんな言い方はあれだが、王都にある監獄に近いと思った。

「なるほど、これが北方の守りというわけなのか。」

 そこまで評価したところで、俺に悪戯心が芽生えた。

 馬車には俺一人、周囲はそれなりの護衛が警戒しているが、城が目前なのかやや弛緩した空気が漂っていた。

「いけるな。」

 にやりと笑って、魔法を発動をさせる。

 クラウン家に伝わる「音」の性質変化。自分の声を万民に届くほど大きくすることもできれば、自分が出す音を極限まで小さくして気配を消すことができる。護衛達も周囲を警戒しているので、俺の乗っている馬車には意識を向けていない。抜け出すことは簡単だったし、門番の目を盗んで城内に忍び込むことも簡単すぎて、あくびがでるほどだった。

「これが、北部の守り手だと、肩透かしもいいところだな。」

 見つかることなく中庭にまでたどり着いたとき、俺は中庭で一人で座り込んでいる女を見つけた。

「なんだ、あいつ?」

 見た目は美しかった、絵姿でみた伯母上を連想させる美しい髪に遠目でもわかる整った顔立ち。それが何やら地面にしゃがみこんで、何やらしている。何をしているかまではわからない。

「ふふふ。」

 驚かせてやろう。そう思った。あまりにザルな城の警備に、護衛達。そう言ったことばかりで退屈していたのだ。意識して、魔法の質を上げて死角に回り込むように俺は女へと近づいていく。

「・・・どのような御用か存じ上げませんが、それ以上近づいた場合は、ソルベへの敵対をみなしますわよ。」

 だが、俺の目論見はすぐに崩れ去る。

 ミサ・ソルベはだれにも破られることもなかった俺の隠形をあっさりと見抜いたのだ。

「お前が、ミサ・ソルベか。」

 動揺を隠せずに震える足を抑えながら俺は尋ねた。

「その音の消しかた、母様から聞いたことがあります、クラウン家に伝わる音の性質変化、そしてその御姿、お初にお目にかかりますライオネル・クラウン様。ベガ・ソルベが娘、ミサ・ソルベと言います。」

 ミサはこちらに向き直って、見事なカーテシーを決める。なるほど、すり寄ってくるそこらの令嬢なんかとは比べ物にならないほど洗練されている所作だ。

「ここで何をしていたんだ?」

「花の世話ですわ。」

 そういってミサは、背中を向けて地面をいじりだす。だが、そこに花はなく、地面があるだけだった。

「花などないじゃないか。」

 もしかして、俺の事を馬鹿にしているのか、そう思ったが、ミサの動きは真剣なそれだった。

「ただ種をまいても、花は咲きません。」

 スコップで丁寧に土を掘り返しながら、ミサは続けた。

「土を掘り返し、栄養を与える。種が育つ環境を作ってあげなくても、花は育ちます。ですが、環境を与えられればより美しく、力強い花が咲くんです。」

「ふーーん。」

 言っていることは分からなくもない。だが、仮にも貴族の娘がすることだろうか?

「殿下もそうですわ。たとえ高い、才能があったとしても、環境が整わねばそれなりにしかならない。その誉れ高い魔法も、それを教え育んでくれた人がいたかですし、その体格も、与えてくれる人がいたからですもの。」

 まるで子どもに言い聞かすような言いぶりに俺は眉をひそめた。

 確かに俺は天才であり、最高の環境で育てられている。その自負はある。

「殿下、くれぐでもその才におごらず、己を磨いてください。その素晴らしき力はきっとこの国をもっと豊かにし、守るためのものですもの。」

 再び立ち上がってミサは、微笑んだ。

「なっ。」

 正面切って褒められ、未来を思われたのは生まれて初めてだった。王城の人間は俺の今の成果を誉めることはあっても、先々のことを語ることもなかった。

「なるほど、これがソルベの姫なのか。」

 美しく微笑む顔は幼いながらも、確信を持っていた。俺が立派な王となると、美しくも気高い大輪を咲かす王になるのだと。

「いいだろう、お前の期待に応えて見せよう。」

 おれがそう宣伝すると、ミサは安心したように表情を崩した。まるで不安が解消されたような顔の意味を当時がわからなかった。

 ただ思う。

 いずれ、美しい花になるであろう、この女を、王となった自分は手に入れる。

 そんな思いをもったのは、この時だった。


 

現時点での改変点

物静かで聡明な令嬢   →わんぱくで特訓大好きな女の子、戦闘狂の兆候あり

氷属性への嫌悪から隠し事→両親の理解、そして、氷属性の有用性を理解。日常でも使いこなす。

義弟との関係      →3年間振り回された結果、尊敬はするが、ノウキンだと思っている。

  

            なお両親も同じ感想      


NEW

ライオネル殿下からの評価

美しい女性、守ってあげたい。  → 初対面でボコボコにする相手と仲良くできると?





       

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