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乙女ゲームの正統派ヒロイン、いいえ武闘派ヒロインです。  作者: sirosugi
王太子編

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14/195

11 ミサ 8歳  驚愕する。

3年経過 8歳、更なるフラグがミサに立ちふさがる

 生まれ落ちて8年、私ことミサ・ソルベは最近8歳になりました。日々の鍛錬とお稽古、そして母様からの薫陶により魔法や礼儀作法と日々忙しくも充実した日々を過ごしていました・・・。

 ですが、悲劇というものは、身構えていないときに限って起こるものなのです。

「ラグ、どうして。」

 義弟であるラグの無残な姿を前に私の驚きは大きすぎました。

 何がっても訓練中は手放さない木刀を落とし、力なく膝から崩れおちる。あれ、5歳のときに泣いていらない流れていない涙まで目の奥からこみ上げてきます。

「ね、姉さん。おちついて。」

 慌てたようなラグの声は、あいかわらずだ。こちらを気遣うようで男の子らしい元気でやや無遠慮な声。大人に対する尊敬とか遠慮的な何かがなく、ただ家族に対して向けられる素の声だ。

「だって、だって。」

 だからこそ、私はラグの姿に涙が止まらない。

 生まれ落ちて8年、私ことミサ・ソルベは最近8歳になりました。日々の鍛錬とお稽古、そして母様からの薫陶により魔法や礼儀作法と日々忙しくも充実した日々を過ごしていました・・・。

 ですが、悲劇というものは、身構えていないときに限って起こるものなのです。

「ラグ、どうして。」

 義弟であるラグの無残な姿を前に私の驚きは大きすぎました。

 何がっても訓練中は手放さない木刀を落とし、力なく膝から崩れおちる。あれ、5歳のときに泣いていらない流れていない涙まで目の奥からこみ上げてきます。

「ね、姉さん。おちついて。」

 慌てたようなラグの声は、あいかわらずだ。こちらを気遣うようで男の子らしい元気でやや無遠慮な声。大人に対する尊敬とか遠慮的な何かがなく、ただ家族に対して向けられる素の声だ。

「だって、だって。」

 だからこそ、私はラグの姿に涙が止まらない。

 出会ったときの弱った子犬のような印象は、3年間でなりを潜め、小柄ながらも兵士さんのようにピンと伸ばされた背はかっこよくなった。それでいて、ひとみはボスピンの勇ましさを残していると思う。そして何よりフワフワの巻き毛。私や母様とも違うクルクルとした茶色の巻き毛はフワフワでずっとな電話したいと思う魅力があったの。   

 なのに。

「どうして、そんな髪型にしちゃうのよおおおおお。」

 8歳になり本格的な訓練が始まる今日、ラグはその素晴らしい茶色の髪を短く刈り込み。坊主ともとれる髪型になっていたのだ。頭頂部は少し残しつつももみ上げや後ろの髪は短く刈り込まれて、まるでおさるさんのような髪型になっていたのだ。

 慟哭とともに私は、弟の蛮行を嘆いた。こんなに悲しいことがこの世にあってもいいのだろうか、いやない。これは冒涜でしかない。

「えっ、似合ってない?父様は男らしくていいって言ってくれたけど。」

「おとうさまあああ。」

 なるほど、諸悪の根源はそこの父様か。私は落ちていた木刀を素早く拾って、立ち上がる勢いのままに切りかかった。アクマヲタオサネバ

「アブね。」

 シカシ、アクマハ、カルガルトケンヲハジイタ。コレジャダメダ。

「ちょっ、ちょっとミサ落ち着いてくれ。氷で鈍器を作ろうとするんじゃない。」

 氷魔法は、私の魔力、だからこそ私のイメージ通りに軽く、それでいてとげとげした形状となる。この3年で私が身に着けた力、氷魔法による武器精製。そして足元からは父様に向かって冷気を飛ばす。離れた場所で氷を飛ばすことはまだできない。

「うわ、殺意高い。」

 繰り出すは私のできる渾身の一撃。そしてそれに合わせた足元への氷のとげによる二重攻撃。ですが、父様は、鞘の付いたままの剣で私の氷を砕き、足踏みと同時に放った魔力で冷気も吹き飛ばしてしまう。

「手強い、さすがソルベ最強の戦士。」

 ですが、ここで諦めてはアクマハタオセナイ。今度は捨て身で、

「落ち着きなさい!!!」

 と思っていた私は、鋭い叱責とともに、急に身動きを止められた。私の足は氷によって地面に縫い付けられ、両手と首にはがっちりとした氷の枷がつけられた。ちなみにめっちゃ冷たい。

「母様、冷たいです。」

「少し頭を冷やしなさい。」

 振り返るといつの間にか背後に来ていた母様の魔法で私はがっちりと拘束されていた。

「まったく、どうしてこうお転婆なのかしら、思いつき動かないようにといつも言っているでしょ。」

 母様は怒っていた。うんそれは当たり前だ。実の娘が領主であり父親でもあるベガに本気で襲い掛かったのだ。倒れたり慌てたりせずに制圧に動いている時点で母様の技量と胆力の高さがわかる。とか思っているうちに私も冷静さを取り戻したと思う。

「母様も知っていたのですが、ラグのこの惨状を。」

「男子が訓練のために髪を切ることなど常識です。むしろ前の髪型のままではほかの兵士たちになめられます。旦那様もそういった考えがあるのですよ。」

 私の思いは分かってもらえないらしい。

「むーー。」

 いや、私もソルベの娘です。ラグの髪型も男の子なら仕方ないとわかってはいたのです。

「私にも相談してほしかった。」

 でも、私は蚊帳の外だったことが寂しいのだ。そんな恨み言を漏らしつつ弟を見れば、あきれつつもどこか嬉しそうであった。あれか、姉が両親に怒られている姿はそんなにも面白いか弟よ。

「姉さんに相談したら、絶対騒ぐでしょ。」

 弟が冷たいです。

「うう、家族が冷たいよ、氷も冷たいよ。」

 ラグがうちの子のなって3年、毎日のように一緒に訓練したり、遊んだりした。最初は素直でかわいい子だったのに、気づいたら生意気になってしまった。まあこれはこれで可愛いんだけど。こんな不意打ち気味な反抗は初めてだった。

「あっこれが反抗期ってやつなのね。」

「なわけないでしょ。」

 ぺしっと母様に頭を叩かれて、氷が解ける。なぜだろう、母様も厳しさが少し変わった気がする、そういえばマリーも弟や妹ができると、親は姉や兄に雑になると言っていたけど、こういうこと。


「しかし、8歳の攻撃とは思えなかった。魔法も併用されると真剣に対処しないと危ないな。」

「ラグが来てくれて訓練にもさらに真剣になってますからね。魔法なしでは安全に止められませんわ。それにしても、こんなお転婆になってしまうなんて、育て方を間違えたかしら。」

「いや、あれはどちらかというと素だと思うぞ。むしろラグと出会ったからこそ、見えた子供らしさだ。むしろ早めにわかってよかったと考えるべきだぞ。」

「姉さん、あれで僕には手加減してくれてんですよねー。」

「ふふふ、ラグのことが可愛くて仕方ないのよ。万が一にもケガはさせないと思うわよ。」

「それは、それで複雑です、母様。」


 なにか家族が私のことを話しているが、きっといつも言われていることだから気にしない。


「わかりました、ラグも8歳です。髪型やしたいことについて、私もうるさくは言いません。だから、今度は、私にも相談してください。仲間外れは寂しいです。」

 認めるべきところは認めるべきだ。私は女でタグは男だ。それぞれに事情があることを理解すべきなのは姉である私の務めだ。

「姉さん、ごめん。次はちゃんと相談するから。」

「ううん、ラグも男の子だもん、したい恰好やなりたいことがあるもんね。」

 私の思いが通じたのか、ラグも素直に謝ってくれた。なんやかんや、こういうやりとりも何度かあった。父様いわく、ため込むぐらいならこうやってぶつかりあったほうがいいらしい。私もそう思う。

「よし、じゃあ今日も訓練を始めるわよ。せっかく男らしくなったんだから、レベルを上げましょう。」

「ま、まってそれはちょっと。」

 気を取り直してラグの手を引き、訓練場へと歩きだそうとする。訓練は嫌がってもやらせる。これ大事。

「ああ、ミサ、ちょっと待ちなさい。話があるんだ。」

 そんな様子を優しく見守ってくれていた父様だけど、何かを思い出したかのように回り込んできた。

「訓練の前に、話がある。執務室まで来なさい。」

 何やら真剣な様子の父様にまず、ラグを見る。ラグも分からないと首を振る。うん、今回は私だけ仲間外れじゃないのでよしとしておこう。

「どうしたんですか、まさか今度は妹ができるとかですか?」

 冗談めかして私が言うと、父様は首をふった。

「さすがにまだ、それはまだだ。」

「あなた!!」

 何やら母様も慌てているが、父様は咳払いを一つして居住まいを正した。

「近いうちに、王太子殿下が、このソルベ城へ視察にいらっしゃると報せがあった。お前たちにも説明したいことがある。」

 そう、父様のこの言葉が、殿下との因縁の始まりであったと覚えている。けしてラグの髪型がショックだったからではない。





ラグの髪型はいわゆるスポーツ刈りです。もともとはプードルパーマな美少年。

そして、段々と淑女から、武闘派になっていきます。

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